実業家で不動産王のドナルド・トランプ氏は、ヒラリー・クリントン氏との極めて激しい選挙戦に勝利して選出に必要な数の代理人を獲得し、第45代アメリカ大統領に選出されることがほぼ決定的になりました。大統領選挙をめぐっては、トランプ陣営を有利にさせるためのロシア側からのサイバー攻撃が行われたという疑惑が伝えられていたのですが、この件をめぐって「ロシアからの攻撃があった」とするCIAの報告書について、トランプ氏は「馬鹿げている」とする一方で、オバマ大統領が徹底的な調査を行うよう情報機関に指示する状況となっています。

Trump breaks with Obama, intel agencies on election hacking - POLITICO

http://www.politico.com/story/2016/12/obama-orders-full-review-of-election-relate-hacking-232419

Obama asks intel community to conduct “full review” of election-related hacks | Ars Technica

http://arstechnica.com/tech-policy/2016/12/obama-asks-intel-community-to-conduct-full-review-of-election-related-hacks/

2016年12月9日にワシントンポストが報じたところによると、CIAは第45代大統領選でトランプ氏を当選させるためにロシア側の関与があったとする報告書を作成しています。この大統領選をめぐっては、国務長官だったヒラリー・クリントン氏が私用のメールアドレスを業務に使用していたことが明らかにされていたのですが、この情報の出どころであるWikileaksにハッキングによって盗み出されたメールのデータを持ち込んだとされる人物を特定した、とCIAの報告書には記されているとのこと。政府高官の1人は「情報関連コミュニティーの調査では、ロシア側の目的は他の候補に対してトランプ候補を有利にして勝利させることにあった」と語ったとのことです。

Secret CIA assessment says Russia was trying to help Trump win White House - The Washington Post

https://www.washingtonpost.com/world/national-security/obama-orders-review-of-russian-hacking-during-presidential-campaign/2016/12/09/31d6b300-be2a-11e6-94ac-3d324840106c_story.html

このCIAの報告書について、当のトランプ氏は「馬鹿げている」と調査結果を一蹴。FOXテレビのインタビューでワシントンポスト紙の記事について尋ねられたトランプ氏は「また別の言い訳を出してきただけだ。私はその内容を信じないし、(そのような報告書が出た)理由もわからない。毎週のように言い訳が発表されているが、私は306人の代理人を獲得するという地滑り的勝利を収め、ヒラリー・クリントンは非常に少ない数しか得られていない」と語っています。

また、ハッキングについてトランプ氏は「ハッカーは現行犯でつかまえられない限り、実際に誰が関わっていたのかを特定するのは難しい。なぜこの件が選挙の前に取り上げられなかったのだろうか?」とツイートしています。





この件に関し、オバマ政権でテロ・国家安全保障関連のアドバイザーを務めるリサ・モナコ氏は、2016年の大統領選でヒラリー候補が所属していた民主党に対して行われた一連のサイバー攻撃について、詳細な調査を行うようにオバマ大統領が指示したことを明らかにしています。モナコ氏は、調査結果はオバマ大統領が2017年1月に退任するまでに公表されると語っています。

これに対してトランプ陣営は反応を示し、「そのようなことを言っているのは、サダム・フセインが大量破壊兵器を持っていると言っていたのと同じ者たちだ。この選挙は、歴史的な選挙人を獲得するという結果とともに、とっくに終わっている。今は前に進んでアメリカを再び偉大にする(Make Amerika Great Again)時だ」と声明を発表しています。

高い諜報能力をもとに確実な証拠をつかんだとするCIAに対してトランプ氏が「馬鹿げている」と語るのは、実際に大統領に就任した時にCIAの情報を認めないという構図にもなるため、CIAとトランプ氏の対立は重大な状況を生むことになりかねません。トランプ氏は大統領に対して毎朝行われている安全保障情報に関するブリーフィングを「週に一度でいい」と回数削減の意向を表明しています。その理由についてトランプ氏は、毎朝同じ内容を聞かされるのはご免だと言った様子で「必要な時だけでいい」と語っています。

トランプ氏は中小企業局長にプロレス業界の大物・マクマホン氏を選出しているほか、国務長官に外交経験のないエクソンモービルのティラーソンCEOを指名するなど、周囲の予想のナナメ上を行く施策をとろうとしているわけですが、自身のウェブサイトでこちらも非常に珍しい試みを行っています。以下のサイトでは、2017年に発足する予定のトランプ政権に対して支持を表明する「発足政権メンバーシップカード」の申し込みを受け付けています。メンバーにはカードが発行され、35ドル(約4000円)以上の会費を支払うと自分の名前がカードに印字されるようになるとのこと。

Official 2017 Inaugural Membership Card | Donald J. Trump

https://www.donaldjtrump.com/splash/2017-inaugural-membership/



いわば、トランプ政権への寄付受け付け、もしくは事実上の「ファンクラブ」ということになるわけですが、トランプ陣営は過去にも同様の試みを実施していたとのこと。大統領選が白熱していた2016年8月にも、100ドル(約1万1500円)以上の寄付を行うことで「ゴールドメンバーカード」をゲットできるというキャンペーンが実施されていました。

Trump Campaign Is Selling a (Now-Discounted) Gold Membership Card | Mediaite

http://www.mediaite.com/online/the-donald-trump-campaign-is-selling-gold-exclusive-membership-cards/

当初は100ドルだった金額も、最終的には35ドル(約4000円)に減額されていたとのこと。申込者には以下のような金ピカのカードが発行されるのですが、左下のトランプ氏のサインの下には「Authorized by the future President of the United States (将来のアメリカ大統領により承認)」と書かれていた模様です。