広がるブロックチェーン技術の用途、証券業界でも進む導入

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ブロックチェーンはまだ発展の”初期”の段階にある。だが、米国では企業も規制当局も、その利点を活用すべきだという考えを受け入れている。

ブロックチェーン技術によって、金融の世界ではコスト削減と同時に、安全性と透明性の向上が実現できるとみられている。また、取引中もその完了後も、資産の所有者を追跡して明確にしておくことができるこの革新的な技術は今後、私たちが投資を行う方法も変えていく可能性がある。

分散型台帳とも呼ばれるブロックチェーンは、ブロックと呼ばれるパッケージにまとめられた変更不可能な取引データが保存されている簡易データベースだ。チェーンでつながったブロックの一つひとつに、古い情報も含めた取引記録が残されている。この技術によって、現在の決済プロセスや取引業務を最新化し、簡略化することができると考えられている。

企業による技術の活用

バンクオブアメリカ、メリル・リンチ、シティグループ、クレディ・スイス、JPモルガン・チェースの各行と金融サービスのマークイットなどは今年、金融デリバティブ取引であるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の処理にブロックチェーン技術を導入した。

米大手決済機関デポジトリー・トラスト&クリアリング・コープ(DTCC)は、店頭取扱有価証券の取引において利用が可能であるかを検討するため、ブロックチェーン技術についての試験を実施。UBSグループはBNPパリバ、バークレイズと共に、プラットフォーム「イーサリアム(Ethereum)」の開発を進めている。

シティグループはブロックチェーン技術を使った独自の通貨「シティコイン(Citicoin)」を開発したほか、3種類のブロックチェーンをつくった。

当局も前向き

ブロックチェーン技術を取り入れる企業が増える中、規制当局も導入の支援に前向きだと考えられている。

米国では連邦証券取引法に基づき証券取引を監督・監視する証券取引委員会(SEC)が、この技術と現行規則との関連性に対する証券代行業者らの意見を募った。すでに同業界への技術導入に関する規制の在り方について、有用な見識を得ているもようだ。

一方、ドイツでは中央銀行であるドイツ連邦銀行と、ドイツ証券取引所がすでに証券決済用のブロックチェーンのプロトタイプの運用を開始した。これにより、ブロックチェーンを使った支払いや有価証券の移管、証券取引の決済・清算を行うことが可能となった。今後はさらに開発を進め、ブロックチェーンに基づくプラットフォームの能力について、分析を行う計画だという。

政府機関、中央銀行、企業も注目するブロックチェーンは今後、その利用方法がさらに合理化され、より能率的になっていくだろう。米通販大手オーバーストックは昨年、ブロックチェーン技術を使った独自プラットフォームでの”株式”発行の許可を得た。このように当局の承認を得てこの技術が導入される業務が増えれば、業界全体におけるイノベーションもさらに進んでいくはずだ。