写真提供:マイナビニュース

写真拡大

Coltテクノロジーサービス(Colt)は12月13日、調査報告書「キャピタルマーケットで成熟するクラウド」を発表した。これによると、キャピタル・マーケットにおいてはクラウド・ベースのサービスに対する関心が高まり、今後12〜18カ月間でクラウドに対する考えが変化し、市場参加者はクラウド型システムのセキュリティ/安定性/信頼性を受け入れるようになるという。

今回の調査は同社がスポンサーとなり、オリバーワイマングループにおける金融IT業界専門のリサーチ&アドバイザリー・ファーム部門であるセレントが実施。

報告書では、クラウド採用の背景にあるのはMiFID IIやDodd-Frank法といった規制強化、コストに対する圧力、イギリスのEU離脱や中国経済などのマクロ経済の不安定さ、FinTechの台頭など、主に4つの要因が挙げられている。

また、クラウドの利用によりこれらの課題を容易に解決できるようになるほか、企業は機敏なインフラで変化を続ける法的・規制要件、増加する取引アプリケーション、そして複数の市場との接続などに迅速に対応できるようになるという。また、クラウドの利用で新規アイデアの実現が容易となり、万が一失敗した場合のコストも抑制できるため、FinTechによる革新が推し進められるようになるとしている。

キャピタル・マーケットにおいて、特に小規模の運用会社(バイサイド)はサービス型の採用に積極的なためトレーディング管理を含め、ほとんどのシステムにホスティング・ソリューションを利用。とりわけヘッジファンドは積極的であり、クラウド・モデルを魅力的なものにしているという。

一方、証券会社(セルサイド)は自社システムの制御権を堅持する傾向があるが、優れた流通モデルを構築するソリューションや、より低コストの可変コスト・モデルを調査することにも積極的だという。すでに多くの企業が主要リソース向けにはプライベート・クラウドを構築し、それほどセンシティブでないアプリケーションはパブリック・クラウドに移行している状況となっている。

また、クラウド型システムの採用度合はビジネス部門によっても異なり、コア・データや独自データ以外のデータをクラウド環境に移行する動きは普及しつつあるが、フロント・オフィス機能や独自または顧客情報などを移行させる動きは遅れているという。

さらに、今後はTradingTechやRegTech(レグテック、技術による金融規制の管理)および相場情報サービスなども、クラウドへの移行が期待されているものの、クラウドがさらに普及するためには、データ保管場所やリスク責任/組織の硬直化など、解決しなくてはならない障壁が存在する。

セレントのリサーチ・ディレクターであるBrad Bailey氏は「クラウド採用の障壁はテクノロジーに対する不信ではなく、各種規制に準拠したソリューションを無事に展開できるかどうかという懸念にあります。このような懸念は、クラウド・ベースかどうかにかかわらず、すべてのテクノロジー・ソリューションで共通しています。多くの場合、パブリック・クラウドは社内システムよりセキュリティは高くなっていて、『絶対に使用しない』から『クラウドをいかに活用していくか』という形に企業の姿勢も変化しています」と述べている。

また、Coltの執行役員でキャピタルマーケッツ部門のJohn Loveland氏は「市場からの圧力で、企業は自社のコア・ビジネスに注力し、テクノロジーは専門家に任せるようになっています。したがって、キャピタル・マーケットでもクラウドが受け入れられ、企業はクラウドを利用して自社の中核ビジネスに専念し、規制やコスト圧力に対応するようになっています。キャピタル・マーケットの企業は、金融市場の厳しい要件やスピードに対応できるよう設計された、セキュアなオンデマンド・ネットワーク・サービスを要求しています。クラウド移行成功のためには、企業は最初から適切なパートナーと組むことが大切になります」と指摘している。

(山本善之介)