ハーバード流 人脈づくり「相手の名前を3回呼ぶ」

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ビジネスマンにとって人脈が貴重な財産であり、情報源であることは論をまたない。しかし、社会に出てからの人脈は、仕事関係以外には広がりづらい。そこで、ヒントになるのが、「ハーバード・ビジネス・スクール」(HBS)の学生たちの人脈づくりだ。

グローバルビジネスの領域ではHBSの人脈が“超一流”といわれる。「彼らは、在学中にコネクションをつくることにも長けていました」と、HBS出身の経営コンサルタント、戸塚隆将さんは振り返る。戸塚さんは勤めていたゴールドマン・サックスを退職してHBSに留学した。

「当時のゴールドマン・サックスの幹部はHBS修了者が多く、自分も世界トップレベルのフィールドで学びたかった。人脈づくりを強く意識するようになったのは、HBSに入学してからでした」

HBSは厳しいカリキュラムで知られているが、一方では俗に「パーティースクール」とも呼ばれるほど、イベントやサークルといった課外活動が盛んだ。学生はそれだけ、同窓生との時間の共有を重視しているということなのだ。戸塚さんも複数のサークルに所属し、欧州や中南米の友人が増えたという。

「HBSの学生の多くは社会人経験があるので、人脈の価値をよく知っていました。ただし、利害関係が先に立ってしまうと、友人関係に発展しにくい。そのバランスを取るのが難しいのです。その点、学校なら仕事と離れているので、友人をつくりやすい。特に課外活動は、プライベートでの交流を深める、よい機会と捉えていました」

アップル創業者のスティーブ・ジョブズは、「先を見越して点をつなぐことはできない」といっている。つまり、人間関係も将来、どんなプラスをもたらすかわからないので、日頃からの人脈づくりを大切にしろということだ。

■信頼関係があれば仕事と友情は両立

戸塚さんはHBSを修了後、帰国してマッキンゼー&カンパニーに入社。経営コンサルタントとして活躍した後、2007年に独立した。マッキンゼー時代、世界各国にいるHBS修了生たちとは、情報交換などでお互いに助け合ってきたという。

「独立したときも、友人たちに支えてもらいました。実は、私は『金がからむと、友情が壊れるのではないか』と心配していたんですが、最後に頼れるのは友人だと痛感しました。会社の看板といった社会的信用がなくなっても、友人は私のことを理解し、協力してくれたのです。個人的な信頼関係があれば、仕事と友情を両立させることができると思います」

その戸塚さんが、初対面の人とすぐに親しくなれるHBS流のテクニックを教えてくれたので紹介しよう。基本は相手の名前を3回呼ぶこと。

まず、お互いを自己紹介するとき、「山田太郎さんですね」と、相手の名前を必ず口に出す。次に、会話のなかで質問するときも、「山田さんは、どこにお住まいなんですか」といった具合に、相手の名前を呼ぶ。そして、最後の別れ際の挨拶でも、「山田さん、また今度、お会いしましょう」などといって、相手の名前を口にする。

人間は自分の名前を呼ばれると、相手に親近感を抱く。相手の名前を3回呼べば、その場で記憶できるし、相手にも好印象を残せる。「質問の際も具体的な仕事の内容などを質問すると、相手は『自分に関心を持ってくれた』と感じます」と戸塚さんはいう。

【人脈づくりの第一歩、初対面の人の「名前」を覚える3つのコツ】

相手の名前を口に出す●名前を覚えるのは友情の入り口
   ↓
相手の名前を呼びながら質問●具体的な仕事の内容など相手に関心を示す
   ↓
別れ際にも名前を呼ぶ●親しくなりたいことをダメ押しで意思表示
   ↓
電話やメールなどでの次のアポ取りや相談もスムーズに

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経営コンサルタント 戸塚隆将
1974年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業。ゴールドマン・サックス勤務を経て、ハーバード経営大学院でMBAを取得。マッキンゼー&カンパニー勤務の後、2007年にシーネクスト・パートナーズを設立し社長に就任。グローバル事業開発などを支援している。

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(野澤正毅=文 南雲一男、宇佐見利明、加々美義人=撮影)