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 「スター・ウォーズ フォースの覚醒」の興奮から早1年。シリーズ初のスピンオフ実写映画「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」が、12月16日から公開される。来年の「スター・ウォーズ エピソード8(仮題)」への“つなぎの1作”と侮るなかれ、星々のアウトローたちが紡ぐ今作は、シリーズ史上最も泣ける「スター・ウォーズ」と言い切ることができる。

 レイア姫とR2-D2に託された帝国軍の最終兵器「デス・スター」の設計図は、いかにして反乱軍の手にもたらされたのか。「エピソード4 新たなる希望」のオープニングロールでさらりと触れられた出来事を映画化し、「エピソード3 シスの復讐」との間にあった謎を補完した。

 「帝国軍が惑星を破壊できる兵器を開発中」と密告を受けた反乱軍は、その設計に携わった科学者ゲイレンの娘であるジン・アーソに、ゲイレンが伝言を送ったとされるソウ・ゲレラに接触するよう命じる。情報を追う過程で、ジンの周囲には星々の無法者たちが、光に導かれるようにして集っていく。エドワーズ監督は黒澤明監督作「七人の侍」の影響を公言しているだけに、同作をほうふつさせる演出が随所に施されている。

 ゲレラと接触し使命感に貫かれたジンは、反乱軍・評議会の許可を得ないまま、チーム“ローグ・ワン”を名乗り強行的に設計図奪取のため出撃。設計図が眠るタワーがあたりを睥睨(へいげい)する惑星に到着すると、そこからはもう、カタルシスのつるべ撃ちだ。愛や絆から生まれる力、圧倒的巨悪に立ち向かう勇気という、普遍的だからこそ力強いテーマを、寄せ集めのローグ・ワンが次第に連帯し戦う活劇に象徴させた。結末については言及できないが、希望の灯を守るべく戦う人々の姿は見る者の胸を打つ。

 そんなスペクタクルな物語を、そろいもそろってアウトローなキャラクターたちが補強し、観客の情動を喚起する。ローグ・ワンを率いるのは、フェリシティ・ジョーンズ扮する主人公ジン。レイア姫とパドメは自らブラスターを取る勇ましい女性、レイは生きるためのずる賢さを持つヒロインだったが、ジンも一筋縄ではいかない。そもそも、当初は窃盗や暴行などの罪で投獄されていたし、その攻撃的な行動は常に驚きをもたらしてくれる。一方で愛を知らなかったジンが、紆余曲折を経てデス・スター破壊のために立ち上がるさまは、涙なしでは語ることが出来ない。

 さらに、アジアが誇る宇宙最強の男ドニー・イェン演じるチアルートも印象的。盲目だが棒術の達人という設定は「座頭市」を思わせ、そのスピードと切れ味は一目では追えないほど。「イップ・マン 葉問」などでも見せたイェンのハイスピード・アクションに引っ張られる形で、映画全体のアクションの質が底上げされている。世の理を知り尽くし、一寸先を見通す聡明な人物像もたまらなく魅力的だ。

 もちろん美術、世界観、音響など、どれをとっても紛れもなく「スター・ウォーズ」の手触り。そして設計図奪取の謎を、誰もが納得できる完ぺきな回答と、驚嘆すべき完成度をもって描ききってみせた。今作の後に「エピソード4」を鑑賞すると、今までの印象がガラリと覆されているだろう。その意味で、スター・ウォーズ・サーガの新たな地平を切り開いたと言っても過言ではない。

 シリーズ生みの親であるジョージ・ルーカスは、今作に対し最大級の賛辞を送り、これにギャレス・エドワーズ監督が「これで思い残すことなく死ねる」とコメントを出した。「GODZILLA」を大ヒットに導いたエドワーズ監督らしい、迫力の仕掛けも見どころだ。激戦必至のクリマス&正月興行で、今作がどう評価されるのか、目を離すことができない。