ギャレス・エドワーズ監督の胸中はわかりませんが、最高でした!
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 これはベスト『スター・ウォーズ』ムービーかもしれない! シリーズの原点『スター・ウォーズ エピソードIV/新たなる希望』(1977年)へとつながる初のスピンオフ『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』を観てそう思った。(編集部・入倉功一)

 期待はあった。昨年の6月ごろ、あまりにシリアスな内容にディズニーが不満を抱き、撮り直しが命じられたと報じられた時だって、不安以上に「これは、かつて観たことのない『スター・ウォーズ』になるかも……」と期待値の方が高かった。結果、完成した映画はその値をはるかに上回っていた。

 『エピソードIV』の劇中で、惑星を消滅させるほどのパワーを備える帝国軍の究極兵器デス・スター破壊の要となった設計図。『ローグ・ワン』は、『エピソードIV』のオープニングクロールで触れられるだけにすぎなかった、この設計図奪取作戦に挑んだチーム“ローグ・ワン”の運命を描いた作品だ。

 ローグ・ワンのメンバーはごく普通の人々。ヒロインのジン・アーソ(フェリシティ・ジョーンズ)も、デス・スターの開発にかかわる科学者ゲイレン・アーソ(マッツ・ミケルセン)の娘ではあるが、フォースを秘めていたり、隠された出生の秘密があったりするわけではない。この“何者でもない”人々が、団結して、数も力もはるかに勝る敵に立ち向かっていく物語がストレートに心に響く。「希望」をつなぐため悲壮な戦いに挑む彼らの姿は、多くの日本人の琴線に触れるはずだ。

 壮絶で感動的なクライマックスに、自然と涙があふれていた。『フォースの覚醒』も素晴らしかったが、その感動は『スター・ウォーズ』シリーズを知っているという前提があってこそだった気がする。シリーズの正統な続編として100点満点だったと思うし、何ら不満はない。しかし『ローグ・ワン』は、しっかりと『スター・ウォーズ』のルールを守りながら、父娘の悲しい運命や希望を胸に強大な敵に立ち向かう人々の姿が涙を誘う、シリーズを全く知らない観客にも等しく感動を与えてくれる一本になっていた。

 『スター・ウォーズ』ほどの一大シリーズの新作に求められるのは、ファンサービスと同時に初見の観客も楽しめる作品にすること。実際にそれを実現できる作品はほぼ皆無だが、本作はその高いハードルを見事に越えたと思う。映画を観終わるころには、またローグ・ワンメンバーに会いたくなり、もう一度観たい衝動にかられるはずだ。

 またアクション面の出来栄えも最高の一言。監督のギャレス・エドワーズは、映像的にも黒澤明作品の引用を試みたというが、多くのシーンで自ら手持ちカメラを持った撮影にも臨み、圧巻のリアリティーとスピード感あふれるアクションを本作にもたらした。バトルシーンは、個々のキャラクターにしっかりと見せ場を用意した「熱い」展開のオンパレード。盲目の戦士チアルートを演じたドニー・イェンも期待通りの貫禄のアクションを披露している。

 さらに本作が見事なのは、しっかりと『エピソードIV』への橋渡しもしていること。実際の製作時期でいえば実に39年もの時が開いているのに、『ローグ・ワン』のアクションに興奮し、物語に涙した後で『エピソードIV』を観たくなり、かつての感動がよみがえってくる。撮り直しの影響がどれだけあったのかは不明だが、これだけの作品を生み出したエドワーズ監督の実力はいよいよ本物と言っていいかも。本作には続編がないそうだが、フランチャイズから抜け出した後に生み出される完全オリジナルの新作には今後も期待ができそうだ。