ポケモンショックはテレビの映像表現に大きな影響を与えた

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ポケモンショック」を覚えているだろうか。1997年、細かく点滅するテレビアニメの映像効果により、全国の多くの視聴者が「気分が悪くなった」と訴えた。これにより、テレビ業界はアニメの映像手法に一定の制限を加えるようになった。

あれから19年たった2016年、ツイッター上で 「ポケモンショック」が改めて注目されている。

「#ポケモン死語コンテスト」で取り上げられる

再注目のきっかけは、ツイッターでハッシュタグ「#ポケモン死語コンテスト」をつけた投稿が16年12月12日未明に始まったことだ。1996年にゲーム第1作「ポケットモンスター赤・緑」が発売されて以降マルチな広がりを続けるポケモンをめぐり、これまでの「はやり廃り」を振り返ろうと、ユーザーがこぞってツイートした。

その中で「ポケモンショック」を挙げるツイートが現れた。ユーザーは「ポケモン最大の危機で放送中止まで発展」と説明し、13日13時までに5000回以上リツイートされた。同時に「今の子供達には何の事かさっぱり分からない言葉になっているかも」と書いており、「ありましたね」「懐かしいです」「これ見てました」と当時を思い出す返信が数多く寄せられた。

ポケモンショックは「ポリゴンショック」「ポケモンフラッシュ」とも呼ばれる。1997年12月16日、アニメ「ポケットモンスター」(テレビ東京系)の放送時に起きた。この問題は、テレ東が99年4月28日に開催した講座「テレビが視聴者に与える身体的、社会的影響について」をまとめた同局ウェブサイトで触れている。それによると、放送中の複数個所で見られた赤色と青色の激しい点滅により、「光感受性発作」を起こして気分を悪くした視聴者が続出し、全国で700人以上が搬送された。後の調査で、点滅が1秒間に3回以内ならば発作のリスクは300万分の1にまで下がると分かったが、問題の放送では1秒間に12回点滅した場面が25か所あった。

当時テレビ・新聞各社が大々的に報じ、映像手法についてのガイドライン(後述)が策定される98年4月まで、アニメ放送は中止される事態になった。

詳しい症状について、医師が運営するウェブサイト「メディカルノート」で16年7月26日、国際医療福祉大学・保健医療学部・視機能療法学科の原直人教授が解説している。光の刺激を受けて「けいれんや意識障害などのてんかん発作を起こす」といい、「視覚刺激の強い映像を見たときに疲労や目がチカチカとするような症状を感じた場合は、すぐに画面から離れること、休息をとることが大切です」としている。

報道やバラエティー番組でも「注意テロップ」表示

ポケモンショックを受け、テレビ業界では映像表現を自主規制する取り組みがなされた。日本放送協会(NHK)と日本民間放送連盟(民放連)は共同で98年4月8日、「アニメーション等の映像手法に関するガイドライン」を発表し、光の点滅、コントラストの強い画面の反転、パターン模様(渦巻き・縞など)の使用、の3つを制限するよう促している。

J-CASTヘルスケアの2016年12月12日の取材に答えた民放連の番組・著作権部担当者によると、テレビ局が同ガイドラインに違反したとしても「直接的な罰則規定などはありません」。ただ「問題事例があれば、必要に応じて対応を検討することになります」という。

また「部屋を明るくして離れて見てください」といったテロップが表示されるようになったのも、ポケモンショックの影響だ。同ガイドラインには、「明るい部屋で受像機から離れて見るなど"テレビの見方"に関する適切な情報を視聴者に提供することは予防手段として有効である」と書かれており、民放連担当者によると「視聴方法に関する注意喚起を表示するよう、内規で定めている放送局もあります」。

ポケモンショック以降、報道やバラエティー番組でも「激しい光の点滅に注意」といったテロップが表示されるようになった点についても、民放連担当者は「アニメに限定せず、番組およびCM全般の映像手法について注意を喚起しています」と答えた。こうした取り組みの結果、「97年の『ポケモン』の事例以降、取材を行った2016年12月12日 までに映像表現に起因する同種の被害事例の報告は民放連にはありません」と明かした。