北朝鮮の漁業取締船が、違法操業を行っている中国漁船に対して海賊行為を行っていることについては、デイリーNKジャパンでも報じている。一方、北朝鮮の大型漁船も他の漁船に対して海賊行為に及んでいることが明らかになった。上から押し付けられたノルマを達成するためだ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、政府が自国の領海の漁業権を中国に売り渡してから、漁獲量が激減し、漁師たちの生活が非常に苦しくなっている。

限られた漁場に、大型漁船、小型漁船、木造船が入り乱れ、定置網、刺し網など様々な漁具を総動員して漁を行っているため、事故が絶えない。

各漁船は、上部から「ノルマを達成せよ」としつこく言われており、海賊行為に及ぶことも少なくない。一例を挙げると、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)9軍団水産基地は、500馬力と200馬力の大型漁船を所有し、大々的に漁を行っている。

ところが、水揚げが少ない日もしばしばある。そういう時には、清津(チョンジン)水産事業所、高抹山(コマルサン)水産事業所など、国営企業の漁船を襲撃し、魚をすべて強奪するなど、海賊行為を行っている。

同様の行為を行っているのは、9軍団だけではない。7総局、空軍大学、600軍部隊、保衛司令部所属の漁船も、別の漁船を襲撃し、魚はもちろん、燃料まで強奪する。

咸鏡南道(ハムギョンナムド)でも同様の事態が起きているが、当局は傍観していると現地の情報筋は伝えた。

厳しい状況が続く中、凶悪な事件も起きている。

新浦(シンポ)水産事業所では10月末に、殺人事件が発生してしまった。軍隊を出たての30歳の漁師は、経験が少ないとの理由で他の人の半分以下の給料しかもらえなかったことに不満を持ち、船主に強く抗議した。すると、船主は彼を海に突き落とし、殺してしまったというのだ。

北朝鮮では、計画経済という建前を残したまま、市場経済化の道を進んでいる。国から独立採算でやっていくよう命令された国営企業や機関は、資金も資材もなく、操業がまともにできず、従業員への給料もまともに払えない。

状況を打破するために、様々なビジネスに乗り出しているが、その一つが漁業だ。ところが、競争の激化で、残り少ない海産資源を奪い合う状態に陥っている。このままでは資源が完全に枯渇するのも時間の問題だろう。