今の高齢者の経済状況は?

 先般、個人型確定拠出年金の愛称がiDeCo(イデコ)に決まり、これからiDeCoも少額投資非課税制度(以下、NISA)と同様、金融機関がプロモーションに力を入れることが想定されています。NISAについても、金融庁が平成29年度の税制改正要望の中で「積立NISA」の創設を求めるなど、日本においても資産形成を促進するための制度が充実しつつあります(「積立NISA」は、非課税枠は60万円と現行NISA対比で半減するものの、非課税期間を20年に拡大する制度)。今後、公的年金や企業年金の老後を支える力が弱まっていく中で、このような非課税制度をフル活用して老後に備えていくことが求められる時代になりつつあるのです。それゆえ、最近は新聞でこれらの制度の特集も増え、セミナーなども活発に開催されるようになりましたので、「これからiDeCoに取り組むぞ!」と気合いたっぷりの人たちもいるかもしれません。しかし闇雲に始めても、リスクを取りすぎたり、逆に取らなすぎたりして、適切な投資行動ができなくなってしまう可能性があります。そこで今回は、投資計画、特に目標額を設定する際の前提情報として、今の高齢者の現状を高齢社会白書(平成28年版)から見ていきたいと思います。

 すでに60歳を超えている高齢者に、老後の経済生活の備えのために50代までに行ったことを聞いたところ、「特に何もしていない」が42.7%と非常に高くなっています。「今の高齢者は、相対的に恵まれているので、特段準備しなくてもよかったのでは」と思う人もいるでしょう。でも、今の高齢者の57.0%が現在の貯蓄や資産は足りないと感じ、現役時代に計画的に資産形成をしてこなかったことを後悔している人が多いと思われます。では、資産が十分に増えなかった原因は何でしょうか? 最大の理由は、「何もしなかった」ことですが、次の理由として資産形成の中心が預貯金だったこともあげられると思います。実際、先ほどの老後の生活費に対する備えに関する質問に対して、最も多い回答は「預貯金」で46.6%となっている一方、「債券・株式の保有、投資信託」と回答した人は7.1%しかいません。このように当白書から、多くの高齢者は現役時代に資産形成していないか、していたとしても正しくできておらず、老後の生活資金が足りない状況に陥っていることが確認できました。

日本は海外の先進国と比べてもひどい状況

 今の高齢者は相対的にはこれから高齢者になるオヤジ世代の皆さんよりは恵まれているはずなのですが、上記の通り老後の生活が厳しいと感じている人が多いのです。このような状況は日本だけで起こっているのでしょうか? もちろん、少子高齢化は日本のみならず世界中の先進国の問題なので、どこも同様の問題を抱えていますが、それでも日本では特に多くの高齢者が厳しいと感じているようです。具体的に見てみると、老後の備えが足りないと答えた人は、日本の高齢者は57.0%(再掲)でしたが、アメリカは24.9%、ドイツは18.0%、スウェーデンは18.9%と、海外の先進国では足りないと感じている高齢者が圧倒的に少ないのです。その最大の要因としては、海外の先進国では「特に何もしていない」と回答した人たちの比率が、日本の42.7%(再掲)に対し、アメリカは20.9%、ドイツは26.1%、スウェーデンは25.4%と少ないことが考えられます。

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