百度でも人気検索キーワードに

写真拡大

 8月26日の公開後、興行収入200億円を突破した大ヒット映画『君の名は。』(中国語で『你的名字。』)が12月2日から中国全土で公開が始まり、日本映画では興行収入歴代1位ペースのスタートダッシュを切っている。

 中国全土約7000か所での公開も日本映画史上最多で、7日までの6日間の興行収入が3億5000万元(約58億4000万円)に達している。

 中国における最大ヒットの邦画は、2015年5月に上映された『STAND BY ME ドラえもん』で興行収入5.3億元(当時のレートで約106億円・上映期間1か月間)。昨年ドラえもんは、日本映画としては3年ぶりに上映された。『你的名字。』はそのドラえもんを抜くのではと中国の映画専門メディアは早くも伝えている。

 上映されている『你的名字。』は、107分と日本と変わらずノーカット上映されている。中国では政治的な理由で、作品の一部をカットすることが多く、オリジナルより上映時間が短くなることが多いだけにレアケースと言える。

 そもそも外国映画の上映本数に制限がある中国で日本映画が2年連続上映されること自体が異例で、しかも2作品ともヒットしているので日本の映画界としては喜ばしい限りだが、『你的名字。』の上映は、事前に予定されていたものではないという噂が中国国内で囁かれているのをご存知だろうか。

 実は、『你的名字。』中国上映の裏には中国にとっての韓国との関係性が関係している節が有ると言われているのだ。

 韓国は、今年7月に対北朝鮮防衛強化のため「THAAD(終末高高度防衛ミサイル)」の配備を決定するとTHAADは北京も射程圏内に入るため中国は猛反発し、中韓関係は悪化している。より正確には、韓国が、THAAD配備決定間近と伝えられた昨年11月以降、関係冷え込みは始まっていた。

 中国政府は公には認めていないが、中国は、THAAD配備を決定した韓国に対する報復措置として、韓国排除「禁韓令」の動きを見せ始め、韓国人俳優出演のCMや広告、韓国関連のイベントが中止になったり、韓国製品も姿を消している。台湾の『中国時報』によると、日本から数年遅れて到来した中国での韓流ブームは、音楽、映画、ドラマ、化粧品、美容整形など日本の最盛期の韓流ブームの4倍の市場規模だったが、 中国政府による禁韓令の影響で急速にしぼみつつあると報じている。

 韓国映画についても昨年まで年間3、4本(合作映画も含め)は中国で上映されていたが、今年は0本だ。つまり元々韓国映画だった上映枠に日本映画である『你的名字。』が滑り込んだのではないかと見られている。当初、吹替版と字幕版の両方を上映するとしていたが、間に合わなかったのか、現在、上映されているのは、字幕版のみとなっている。もちろん、中国には日本の声優ファンなども多いため、これだけで予定外の上映と決めつけることはできないが、そんな風にも勘ぐりたくなる。

 数年前を振り返ると、韓国朴槿恵政権になってから印象的なのは、中韓蜜月関係の演出だった。その象徴とも言えるのが、中国黒竜江省ハルビン駅に2014年1月に開館した「安重根記念館」だ。同館は、朴大統領が強く希望したことを中国が巧みに利用した言わば、中韓歴史連携の象徴だった。

 一時期はさらに展示スペースを拡大するとも発表されたが、中国語SNS「微博」を見ると、今年8月以降は休館で入れなかったという写真付き投稿が目立つ。公式に閉館とはなっていないが、安重根記念館は、ほぼ閉館状態となっているようだ。

 そうすると今年10月に上海の大学構内に建てられた慰安婦問題を象徴する少女像も今後、中国全土へ広がるペースは大幅に鈍化するのかもしれない。中国初となるこの少女像は、中韓の芸術家が善意で寄贈したとされているが、両国政府が背後で何かしらの意図を持って後押ししたことは容易に想像できるものだ。