にこまる/PIXTA(ピクスタ)

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 12月2日、永谷園ホールディングスは同日開催の取締役会で、英国のフリーズドライ食品会社「チョウサ―・フード・グループ」(Chaucer Food Group)の親会社であるブルームコ(Broomco Limited)の株式を産業革新機構と共同で取得した。

 また、株式取得に伴う資金借入れを決議し。同日付で株式譲渡契約の締結を行った。出資比率は同社が60%、産業革新機構が40%。取得価額は概算合計1億3300万米ドル。同社がブルームコ社の株式を100%取得後、産業革新機構に40%を譲渡することになっている。

 このブルームコとはどのような会社なのだろうか? ブルームコの子会社であるチョウサー・フード・グループについて見ていこう。

 チョウサー・フード・グループは、英国を本拠とし、世界各地にグローバルな販売チャネルと生産拠点を持つフリーズドライ食品及びパン製品メーカーである。

 同グループは、英国を本拠とするグローバルな販売チャネルと生産拠点を持ち、米国、フランスなどにも生産拠点がある。その他、南米、中国、香港、北アフリカにも拠点がある。業務用のフリーズドライのイチゴなどを製造・販売している。1995年に同社はユニリーバからソミュール(Saumur、フランス)のフリーズドライ工場を買い取り、フリーズドライ野菜・ハーブ事業に参入した。1999年には、ケロッグ社欧州へ、2000年にはケロッグ社米国へ、フリーズドライ・フルーツの供給も開始している。そしてアジアでの展開にも余念がなく、2006年には、中国山東省臨沂市でフリーズドライの生産を開始している。さらに、2012年には、スターバックスのリフレッシャー・フリーズドライ・フルーツも供給開始するなど、グローバルかつ多角的に展開をしている。2015年12月期の連結売上高は1億3932万1千ドル(14年12月期1億1893万9千ドル)、営業利益は▲26万6千ドルだという。(参照:日刊食品通信)

 真空凍結乾燥法(FD製法)を使って作る食品をフリーズドライ食品ということは比較的知られた事実だろう。凍結乾燥法は、液相を経ず固相(凍結相)から直接「昇華」により凍結した物質から水分を取り除く方法である。食品を凍結させ、気圧を下げ真空状態にした中に置き、昇華させて乾燥させる。気圧を下げると低い温度で昇華させることができ、熱を与えないため、味、香り、栄養素などをそのまま長期間維持することができるといく特長がある。また、水分を加えると、すぐに元の状態に戻すことができるのも特長だ。

 独立行政法人農畜産業振興機構によると、“高齢化や食の簡便化志向により消費が伸びているフリーズドライ食品市場は、今後も拡大が予測され、国産重視のメーカーと結びつく産地にとっては需要拡大が期待できる。”としている。(参照:「フリーズドライ食品の生産および商品開発状況〜国産野菜を重視する天野実業(株)の取り組みを中心に〜」)

 フリーズドライ食品は、インスタントラーメンのスープのかやくに使われるねぎから始まり、国内で50年余りの歴史がある。フリーズドライ食品には、みそ汁、スープ、カレー、親子丼、中華丼などがある。フリーズドライ食品の現在の市場規模は1000億円近いと推計されている。このカテゴリに属するものはインスタントラーメンのかやくやお茶漬けなどの具材として使われる「素材類」と、みそ汁に代表される「成型食品類」に大別できるが、そのいずれもここ数年で生産量が増加傾向にある。

 永谷園もすでにこの分野で高い技術を誇っている。今回の買収では、これまで同社が培ってきたフリーズドライ加工技術をさらに進化させると同時に、ブルームコの海外における豊富な経営資源と販売チャネルとの相乗効果を狙っていると言えよう。

<文/丹羽唯一朗>