フランスのマルセイユで行なわれたフィギュアスケートのジュニアグランプリ(GP)ファイナル女子。7年連続で頂点に立ったロシア勢の勢いが目立つ中、日本女子は何とか3年連続で表彰台の一角を占めた。

 日本は今回のファイナルに3人の選手を送り出したが、大会前にインフルエンザが判明した世界女王の本田真凜が出場を取りやめ、全日本ジュニア女王の坂本花織と、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を習得中の紀平梨花が初めての出場で表彰台を目指した。

 11月に全日本ジュニア選手権を制したばかりの坂本は、タレント揃いのロシア選手の胸を借りるつもりでチャレンジャーとして臨んだ。だが練習から圧倒されてしまい、だんだん自信をなくしていったようなところがあった。それでも、「自分の演技に集中すれば結果はついてくる」と信じて戦ったという。

 目標に掲げたノーミスの演技をしたショートプログラム(SP)では、自己ベストに迫る合計64.48点で2位につけ好発進。だがそれで逆に欲が出てしまったのか、フリーでは緊張から体が重かったという。自分の出番がくると、リンクに入ってすぐに外したエッジケースを落とすなど、気持ちの焦りが表に出ていた。

「今日は朝から一日ずっとドキドキしていて、本来の自分をあまり出せなかった。ミスしたジャンプを跳ぶときに体がすごく重く感じました。降りられたジャンプもすごくフワフワしてしまっていて、安定感がなかったです。ランディングも滑らなかったかな。緊張があって体が重かった。原因は、自分自身のメンタルの弱さと、あとは体力のなさだと思います」

 反省点を振り返りながら、ポロポロと流れる悔し涙をぬぐった。

 フリー演技は全体的にスピードがなく、ジャンプも精彩を欠いた。3回転ルッツでは「eマーク」の不正エッジを取られ、プログラム中盤の3回転フリップで転倒、その後の3回転ループでオーバーターンとミスが続いた。結局、フリーは111.85点の4位に沈み、合計176.33点の総合3位だった。

 14年の樋口新葉、15年の本田に続いて3位になった坂本は、演技内容については悔し涙を流したが、結果については素直に喜んだ。

「初めてのジュニアGPファイナルで3位になれてすごくうれしいです。表彰式で3つの旗が上がったときに、ひとつでも日本の旗が上がったのですごくよかったし、国内で表彰台に立つのとひと味違った表彰台だったので、うれしい気持ちでいっぱいでした」

 ただその一方で、大きな課題が目の前に出現したことを実感したという。

「今までで一番緊張した試合でした。ロシアの選手がすごすぎて、自分が弱いなと思って引いちゃっていたなと思いました。練習からロシア選手のスピードが速すぎて、ずっと邪魔しちゃっていて、もう全然ダメだな、と。自分の力としては普段の30%くらいしか出せなかったです。全日本ジュニアのときみたいな感じで臨めればと思いましたが、そんなに世界は甘くなかったです。

 ジャンプとスピンにこだわりすぎて、表現の部分がちょっと手薄になってしまっていたと思うんですけど、ロシアの選手と比べると全然違っていて、その部分がまだまだ世界で戦えないところだと思ったので、いい勉強になりました」

 坂本を指導する中野園子コーチも、今回の戦いで見えた課題をこう語る。

「フリーはスピードもなくて、あまりよくなかったです。なぜか落ち着きがなかったですね。(SP2位だったことで)欲を張っていたかもしれない。今大会ではスピンが上手なロシア選手との実力の差を見せつけられた。もっともっとスピンをうまくしていかないと、世界の舞台では通用しないと分かりました。緊張した中でもしっかりと表現できるように、そこをもっと磨いていかないといけない。今後はメンタルと体力の強化が必要です」

 持ち味のダイナミックなジャンプをさらに磨くとともに、課題のスピンや表現力を向上させれば、世界の舞台で十二分に戦える逸材だけに、今後の成長を期待したいところだ。

 一方、坂本とともに表彰台を目指した紀平だったが、SPは5位。トリプルアクセルに挑戦したフリーでは3位に浮上したが、合計175.16点の総合4位に終わった。

「ファイナルの舞台だと意識しすぎて、すごく緊張しました。緊張があるとトリプルアクセルは絶対に降りられないので、試合のときに練習のような心の面を完璧に作らないといけないと思いました。気持ちでほぼ結果が決まるという感じなので、気持ちが一番大事かなと思いました。今日のフリーは試合前から緊張感があって、試合後も震えが止まらなかった。余裕な気持ちで臨むことができなかった」(紀平)

 ジュニアGPファイナルを制したのは、SP首位のアリーナ・ザギトワ。フリーでプログラム後半にジャンプ要素のすべてを集中させる構成で勝負した14歳は、自己ベストの136.51点をマーク。合計207.43点を叩き出して初優勝を飾った。

 勢いを増すロシア勢に何とか食い下がろうとする日本勢。女子フィギュアはしばらくそんな時代が続きそうだ。

辛仁夏●文 text by Synn Yinha