アップル、自動運転のカギを握る「業界歴30年」の元GM社員

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自動車メーカーやテクノロジー企業が自動運転車の開発にしのぎを削る中、アップルに関しては、その取組みが依然としてベールに包まれている。

しかし、アップルが国家道路交通安全局(NHTSA)に提出した書簡によって、自動車メーカーのビッグスリー の元幹部で、業界キャリアが30年に及ぶベテランが同社の自動運車開発プロジェクト「タイタン」に加わったことが明らかになった。

書簡の執筆者はSteve Kennerで、肩書は品質管理部門責任者となっている。書簡の内容から、アップルが自動運転車の公道テストを実施する考えを持っていることが読み取れる。しかし、同社は具体的な計画を明らかにしておらず、自動運転技術の商業化を目指しているのかも現段階では不明だ。

これまでKennerの名はメディア記事やアップルの資料に一切登場しておらず、今回の書簡によって初めてその存在が明らかになった。リンクトインのプロフィールを確認すると、2011年からフォードの「Automotive Safety Office」でグローバル・ディレクターを務め、現在もその職にあると記されている。

フォードに問い合わせたところ、Kenner は2015年4月に同社を退職していることがわかった。アップルのPR部門にも問い合わせたが、回答を得ることはできなかった。

1978年にGMに入社した大ベテラン

Kennerは、1978年にゼネラルモーターズにエンジニアとして入社し、14年間務めた後にクライスラーに転職。12年間に渡って同社でエンジニアリング部門ディレクターを務めた後、2004年にフォードに移った。そして、チーフエンジニアを皮切りに様々な管理職を経て、2011年から2015年までAutomotive Safety Officeの責任者を務めた。

アップルのタイタンプロジェクトは、これまで様々な憶測を呼んできた。グーグルやウーバー、フォード、ボルボ、テスラ、ゼネラルモーターズなどが開発プロジェクトを拡大する中、10月にはアップルがタイタンプロジェクトの関係者数百人を解雇したことが報じられ、計画が縮小されるとの噂が流れた。

Kennerのリンクトインの経歴が更新されていないことから、アップルがKennerの雇用を外部に知られたくないことがうかがえる。自動車のように厳しく規制され、資本集約的な業界では、Kennerのような経験豊富な人材が不可欠だ。

イーロン・マスク率いるテスラは、2008年から電気自動車の販売を行っているが、いまだに州ごとに異なる規制や部品メーカーとの関係構築、技術革新や生産能力向上のための資金集めなどに苦労している。

また、天才ハッカーのGeorge Hotzは、普通車で半自動運転を可能にするキット「Comma One」を999ドルで販売しようと試みたが、規制当局が安全性を立証するための技術データの提出を求め、中止を余儀なくされた。アップルが自動車業界に参入する上で、Kennerはまさにうってつけの人材だと言える。

アップルのティム・クックCEOが多くを語らない中、同社の方針はまだ不明瞭だが、Kennerの書簡を読む限り、アップルが自動運転車の開発に引き続き強い関心を抱いていることは確かなようだ。