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トレーディングをしていると、「誰が売っているのだろう」とか「誰が買い注文を入れているのか」ということが気になって仕方がなくなることがあります。

まず、知っておいていただきたいことは、今の時代、コンプライアンス(法令順守)や規制が厳しくなっており、銀行から情報が漏れることは、原則ないと言えます。ですので、逆にそれらしい情報が出ているとしたら、その出ていること自体を疑ってかからなければなりません。

それでも、知りたいという方のために、特に日本の輸出企業が入れてくるドル売りオーダー(注文)の法則性をお教えしましょう。

一番大きく入れてくるのは、116.00とか116.50といった切りの良い00、とか50です。そして、その次に注文を入れてくるのは、20、40、60、80です。また、輸入企業が入れてくるドル買いオーダーは、主に00と50ですので、こうした法則性を知っているだけでも、十分お役に立つものと思われます。

○鍛えるべきは自分自身の相場観

ただし、タイトルにもありますように、「誰が売った、買った」だけでは、相場の世界で生き残れません。もっと、鍛えなければならないのは、自分自身の相場観です。オーダー(注文)ばかりを気にしていると、自らの相場観が狂います。

良い例があります。

例えば、116円ちょうど以上に売りオーダーが並んでいて、とても上に抜けきれないという噂があったとします。この噂を信じて、マーケットは、116円より手前で売ろうとします。そして、実際にも、116円手前で買い上げられたところを売ってショートを作ったとします。さらに、他の多くのマーケット参加者も同じように売ってしまったとします。

そうすると、116円以上の売りオーダーがあるかないかに関わらず、116円手前のショートポジションがかなり出来上がってしまうことになります。この売り過ぎ状態になると、下がっても、多くのマーケット参加者が、ほぼ同じ水準で売っているため、誰かしら買い戻してきます。

そのために、下がらなくなり、116.00手前で動かなくなってしまいます。

そして、これは下がらないと悟った、目端の利くマーケット参加者が買い戻しに入って、徐々に116.00の売りが成立し始めると、これはまずいと急いで買い戻そうとするショート筋が増え、瞬く間に、116円の売りは消化され、今度は、ショート筋の買い戻しが殺到することで、売りがあるとされた116円台をあっという間に駆け上がります。

こうなると、ショートの買い戻しが一巡しても、マーケットのポジションはほぼスクエア(ポジションなし)となり、下がらなくなって高止まりしてしまいます。

こういうときに、値頃感(例えば、上げもこれぐらいだろうという感覚的なもの)から売っても、一時的には緩んでも、単にショートができるだけですので、結局下げきれずに買い戻しとなり、場合によってはもう一段上がってしまいます。

このように、オーダー頼みは、自分自身だけでなく、多くのマーケット参加者が同じようにやるため、多くの場合、うまくいきません。それよりも、ご自身の相場観を磨くことが大事です。

○相場観を磨くために必要なこと

それでは、どうすれば、相場観は磨かれるかですが、相場の世界では訓練も基本的には、リアルなマーケットでしか行えません。

つまり、多くの経験を積むことが大事です。

もちろん痛い目にも遭うかもしれません。しかし、失敗は多くのことを教えてくれますので、恐れず相場にチャレンジすることが大切です。

こんな例があります。「国際線のパイロットと国内線のパイロットのどちらの腕が上か」という質問です。もちろん、パイロットにもよると思いますが、傾向的には、国内線のパイロットに軍配が上がるそうです。

なぜかと申しますと、国内線のパイロットの方が、国際線パイロットよりも、もっとも危険とされる離着陸の回数が多いためだそうです。つまり、離着陸の回数が多いほど、操縦の熟練度が上がるということです。

これは、相場の世界でも言えることです。

「習うよりも慣れろ」という言葉もありますが、トレーディングの回数をこなすことで、相場の中でも一番難しいエントリーとクローズをいろいろな状況下で経験し、自分のものにすることは大変大事なことです。

要するに、自分がマーケットから受ける印象を尊重する、言い換えれば、自分を信じることが大切なわけです。

○執筆者プロフィール : 水上 紀行(みずかみ のりゆき)

バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀に於いて為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売される。詳しくはこちら。

(ストラテジスト 水上紀行)