蒼井 優&松居大悟監督インタヴュー:「足下に結婚と出産は落ちていなかった(笑)」

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近年注目を集める新鋭監督・松井大悟による映画『アズミ・ハルコは行方不明』。主演の蒼井 優と監督がゥ▲坤漾Ε魯襯栢イ鯆未靴篤鷽佑感じるッ砲判の人生のこじらせ方イ修靴同撚萓作裏話と共に自身の経験を語った。

行方不明になったOL。街に貼り出される謎のグラフィック・アート。無差別に男達に暴行を加える女子高生達など、複数のエピソードを交差させながら世代を越えた女性達の物語を描き出した映画『アズミ・ハルコは行方不明』。ヒロインの安曇春子を演じたのは蒼井 優で、監督は近年注目を集める新鋭、松居大悟だ。同世代だからこそ意見をぶつけあって、映画を通じて親交を深めた二人が、映画について、そして、男と女の人生のこじらせ方について語ってくれた。

―蒼井さんをヒロインの安曇春子役にキャスティングした決め手は何だったんですか?

松居:プロデューサーと僕と安曇春子が同い歳だったんです。だから、演じる人も同い歳で、プラス、失踪して消えちゃうのに存在が膨らんでいくという設定なので、顔が印象強い人がいいなと思って。それで、プロデューサーとイ察爾簾イ婆樵阿鮓世辰燭蕁二人とも蒼井 優だったんです。


(C)2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会

―意見が一致した。蒼井さんは春子役が来た時、どう思われました?

蒼井:監督とプロデューサーが自分と同じ歳っていうのを聞いて、まずワクワクしたんです。その後、脚本を読んでみてイ海譴鰐滅鬚ぁイ隼廚辰董それで松居監督の作品を観直してみてス圓韻襪勝イ隼廚い泙靴拭松居作品っていうと、こじらせた男子がメインで女の子は女神っていうか・・・。

松居:天使だね(笑)。かつては、そう思ってやってました。

蒼井:女子は男子の向こう側にいる存在だったんです。それが今度は女子が前に来るから、どんなふうに撮るんだろう? っていう興味もあって。

―確かにそこは気になるところですよね。初めて女性の物語を撮ってみていかがでした?

松居:自分のなかにイ海Δ穿イ辰討いεえがないから、まわりの女性スタッフに意見を訊いて、結構それで振り回されることも多かったですね(笑)。でも、そのおかげで自分が見たことがない世界に連れて行ってもらえて、それは面白い体験でもありました。これまでの作品に比べると、ちょっと作品に距離を置いてたかもしれません。でも、物語に息を吹き込んでくれるのはスタッフや役者の女性達だし、彼女達のことを信じていましたから。

蒼井:松居組って、すごく結束力があるんです。ゾ承錣鮖戮┐襪勝イ辰討いΕ┘優襯ーもすごいし、セ戮┐蕕譴襪勝イ辰討いΕ┘優襯ーもすごい(笑)。


(C)2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会

―(笑)ほかの現場とは違う雰囲気がある?

蒼井:ほかではあまりない感じですね。松居組を経験しちゃうと、他の組へ行った時にちょっと不安になるというか。イ澆鵑福△發辰箸舛磴鵑帆箸發Δ茵イ辰道廚辰燭蠅垢襪鵑任垢韻鼻イい筺違う違う、あの組が特別だったんだイ辰道廚つ召靴董松居組は大人らしさが一切ないというか。

松居:みんな面白がってやってるしね。そもそも、僕にはみんなを引っ張るほどの自信はないし。自分が考えることより、それぞれのセクションが考えていることのほうが深いじゃないですか。だからまわりの意見は積極的に訊くようにしているんです。とくに今回の作品はそうでしたね。みんなが意見を持ちながら作品を作っていくほうが良いんじゃないかって。

―じゃあ、春子の人物像について、蒼井さんといろいろ意見を交換したりも?

松居:それはしてないですね。シーンごとに細かいことを言ったりしたかもしれないですけど。自分より、蒼井さんのほうがアラサー女性について詳しいのは間違ないし、グ惰渊媚劼辰討海Δい人イ辰討いΔ海箸亡悗靴董∨佑両霾麥未両なさは半端ないなと思ってますから(笑)。

蒼井:私からすれば、春子のなかでもやもや渦巻いているものって痛いほどわかるし、自分で経験してきたことなんで、演じていくうえでそんなに不安はなかったですね。

―でも、世間から見ると、事務の仕事をしながら実家で暮らしている春子と女優=蒼井 優は結びつかないかもしれないですね。

蒼井:役者とか芸能界ってすごい華やかに見えるかもしれませんが、実はものすごい地味で。だから、私は今までやった役を自分に近いと思ったりしたことはあまりなかったんです。でも、安曇春子は嫌なほどわかるっていう感じでしたね。唯一わからなかったのは、曽我を追いかけるシーンぐらい。映画オリジナルのシーンなんですけど。

松居:曽我に捨てられるシーンね。

蒼井:そう、捨てられそうになってダ簑亶せにするからイ澆燭い覆海箸鮹らなきゃいけないシーンなんですけど、私は何かを追いかけたことがなくて。遠くで輝いている夢とか希望とかを追いかけたりせず、足下に転がってる程度の夢と希望を拾ったりしてきましたから(笑)。これまで、あまり体力を使わずに来た人間なんです。だから、あのシーンは気持ち的に難しくて。あれって松居監督の実体験なんですよね。

松居:あれ、ちょっと待って(笑)。撮影で蒼井さんに感情的に演じてもらったら10代の女の子みたいになったので軌道修正したくて・・・。

蒼井:ジ漏蕕垢襪辰討匹ΔいΥ兇犬覆鵑任垢ね?イ辰栃垢い燭蕁枯渇させた側の体験談を話されたんです。ほんと、21世紀に入って一番どうでもいい話で、すぐに記憶から削除しました(笑)。ゥツカツってヒールの音が聞こえてたイ箸、そんな想い出、大事にとってるんじゃねえよ! って。


(C)2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会

―そういう記憶が削除できないのが男かもしれないですね。

松居:すみません、憶えててしまって。

蒼井:向こうは忘れてると思うよ。女の人はどんどん、そういう記憶を削除していくから。

松居:そういうものなんだ。

―また新たに女性についての情報が(笑)。

蒼井:その余計な情報はともかく、別のアドバイスを求めたらイ發Δ舛腓辰半陲韻覆、ダサくやってくれイ辰童世錣譴董△修里箸りにやってみたら春子の気持ちがよくわかった気がしたんです。ズ、自分の前からいなくならないで欲しいイ辰討海箸覆鵑世覆辰董2燭が終わることを恐れているんですよね。ソわるのなら私のタイミングで終わってほしいイ辰討いΔ海箸覆鵑世蹐Δ覆辰董

―孤独に生きてきた春子にとって、曽我との関係が終わることで、また孤独な世界に戻るのが耐えられないわけですね。

蒼井:そう。人間関係がゼロになるのが恐ろしい。

松居:自分のことを見てくれる人がいなくなるのは怖いですもんね。僕、プライベートは全然孤独なんです。でも、映画を撮ってたら人と関わっていられる。それで焦って撮り続けているんですよ。映画を1本撮ったら、2年くらいみんなと一緒にいられるじゃないですか。

蒼井:だから、松居組の再集結の仕方ってハンパないんですよ。ッかが焼き肉券もらったから今度みんなで食べに行こうイ箸(笑)。


(C)2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会

―松居監督にとって映画は友達づくりのツールなんですね。

松居:そうなんです。

蒼井:映画をダシに友達作ってるんだ(笑)。

松居:だから、みんなの意見を訊いたりするのが好きなんです。王様になりたいんじゃなくて、友達になりたい。

―春子と曽我だけじゃなく、この映画はダメな男女のすれ違いの物語でした。監督と蒼井さんは共に30代に突入したばかりですが。同じ30代でも男と女のこじらせ方に違いはあると思いますか?

蒼井:あると思いますね。男の人のダメさって、まだ可愛げがあると思うけど、女って自分が女だと思った瞬間に、女であることの憎悪みたいなものが生まれるんですよ。女であることが誇りもあるはずなんですけどね。それで、20代後半にソとしてイ辰討いΔ海箸鬚垢瓦す佑┐燭蠅垢襪鵑任后

松居:結婚ってこと?

蒼井:結婚とか出産が、大きな問題として目前にドーンと現れる。周りからも言われるし、自分でもイ修蹐修躾新に考えないとなイ辰董それでイ覆鵑覗阿らもうちょっと考えとかなかったんだろう?イ辰胴佑┐襪Δ舛万イ△譟 私、何してきたんだろ?イ辰銅分の人生を振り返り始め、イ呂◆像イ辰禿喨に暮れて。後ろを振り返って人生をやり直すことはできないし、だったら、とっとと前に進めばいいのに、自分の力で進むほどの体力がもう・・・。17歳ぐらいからバーッと生きてきて30歳を目前に足が一回つる感じ。でも、人生はそれでも進んでいくでしょ? 空港の歩道エスカレーターみたいに。

松居:うん。進んで行くね。

蒼井:そして、30歳っていう扉がバン!って開いた瞬間に、ゲ燭鬚笋辰討燭鵑世蹐Αイ澆燭い縫薀になるんです。


(C)2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会

―男性以上にシビアな分岐点があるんですね。結婚と出産っていう。

蒼井:そうなんです。20代半ばぐらいまで私が勘違いしてたのは、世の中にはたくさん家族がいるし、普通にしてたら結婚も出産も出来るもんだと思ってんです。でも、ちゃんとそっちのレーンに乗っていないと出来ないんですよね。足下に結婚と出産は落ちていなかった(笑)。

―監督はそういう分岐点に立ったことは?

松居:結婚とか考えたことないですね。同棲したいと思ったことはあるけど(笑)。でも、20代後半は焦ってました。

蒼井:男も焦るの?


(C)2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会

松居:うん。30代より、20代のほうが考えることは面白いだろうし、今のうちに自分の結果を出さなきゃ行けないって。わかりやすく言えばイ發辰版笋譴覆ゃイ辰討海箸覆鵑任垢韻鼻でも、30になってからはイいい、別にイ辰董だから浅いんですよ、男は。

蒼井:男じゃなくて松居が浅いの!(笑)

松居:いやいや!(笑)たぶん、男なんか恋愛に関して、ずっと14歳くらいの感じ。それから何ひとつ進んでない気がします。


YU AOI
蒼井 優 1985年8月17日、福岡県生まれ。2001年に岩井俊二監督の『リリイ・シュシュのすべて』で映画デビュー。李相日監督作品『フラガール』(06)では日本アカデミー賞最優秀助演女優賞ほかを受賞した。現在映画、ドラマ、CMなど多方面で活躍中。2016年は『オーバー・フェンス』にも出演し、2017年は『東京喰種トーキョーグール』も公開予定。


DAIGO MATSUI
松居大悟 1985年11月2日、福岡県生まれ。2009年、NHK『ふたつのスピカ』で脚本家デビュー。2012年2月、『アフロ田中』で長編映画初監督。『ワンダフルワールドエンド』(15)ではベルリン国際映画祭出品、『私たちのハァハァ』(15)でゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて2冠、両作でTAMA映画賞最優秀新進監督賞を受賞した。

『アズミ・ハルコは行方不明』
監督/松居大悟
出演/蒼井 優、高畑充希ほか
12月3日(土)より、新宿武蔵野館ほかロードショー
http://azumiharuko.com/