人間の皮膚は、一番外側から「表皮」(厚さ0.2ミリで何層もの細胞が重なって構成されている)、その下の「真皮」(主に繊維や細胞で構成)、さらに脂肪組織からなる「皮下組織」の三層からできている。
 このうち「表皮」は、細胞が絶えず新陳代謝を繰り返している。最下層では新しい細胞がどんどん作られているため、古くなった細胞は少しずつ押し上げられ、やがて“垢”となって自然に剥がれていく。
 ただ、加齢とともにそのサイクルは遅くなり、高齢になるほど、表皮の最上層にある角質細胞は剥がれにくくなる。つまり、皮膚が厚くなってしまうのだ。加えてキメが粗くなり“保水力”は極端に低下、ドライスキンの状態になる。
 さらに角質細胞の間に隙間も増え、中の水分が外に逃げやすくなり、脂と水分の分泌バランスも崩れてしまう。こうなると皮膚の表面はカサカサの乾燥状態になる。皮膚を保護するバリア機能も衰え、外界からの刺激を受けやすく、ちょっとした刺激にも反応し、かゆみを誘発するのだ。

 東京都立多摩総合医療センター皮膚科担当医はこう語る。
 「本来、肌表面の角質細胞が、細胞間脂質(セラミド)や天然保湿因子によって、レンガの塀のようにぴったりと重なり合い、体内の水分を閉じ込め、細菌、ウイルス、ダニ、花粉といった遺物の侵入を防ぐバリア機能を果たしています。ところが、重大病などによって極度の乾燥肌になると、角質細胞がバラバラになり、干ばつ時の田んぼのようにひび割れて水分が蒸発、大量の異物の侵入を許してしまいます」
 そして、かゆさに耐えられず、掻きむしればさらに角質が壊れ、異物の侵入も進み、悪循環に陥るのだ。この状態まで来ると、睡眠を妨げるほどのかゆみが襲う。

 では最後に、大学病院の皮膚科・アレルギー科の医師らの意見を参考に、かゆみと乾燥を防ぐ生活改善策を挙げよう。
 (1)暖房は必要最低限に…エアコン、こたつ、電気カーペットの暖房器具で室内を暖めすぎると、空気が乾燥して肌も刺激を受けやすくなる。加湿器の使用や、濡れタオルを部屋に干すなどして湿度を50%程度に保つ。
 (2)入浴は39℃前後…熱い湯での長時間入浴は、体内の水分を奪う。39℃程度の湯に約20分浸かる。
 (3)肌の擦りすぎは厳禁…タオルでの擦りすぎは注意。脂が取れて乾燥肌になりやすくなる。ナイロンタオルは厳禁。石鹸も不要なくらいで、顔や首、脇の下、陰部、足裏などの汚れやすい部分だけ軽く洗えば十分。
 (4)保湿クリームを塗る…入浴後は手足にクリームなどを万遍なく塗り保湿する。
 (5)下着、寝間着は綿製品…吸湿性が優れた綿製品の下着、寝間着がお勧め。ゴワゴワ、モコモコは肌の擦れでかゆくなる。ゴムがきついものも同様。
 (6)ビタミンA・B・Eを摂取する…これらのビタミンをたっぷり摂り、加えて夜に睡眠を取ることで、皮膚の再生を促すホルモンが分泌される。睡眠は6時間以上欲しい。

 かゆみと言っても原因は様々。まずは医療機関へ足を運び、適切な処置を受けよう。