photo by アラツク via Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

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 12月7日、「サカタのタネ」の終値が 2971円となった。ブレグジット(英国のEU離脱) 、6月23日の英国民投票の翌日の月曜日に年初来安値2051円を付けた後、上昇トレンドを続けている。ちなみに、年初来高値は2月2日の3,150円。年末までに年初来高値更新が見られるかもしれない。

「サカタのタネ」は、“2016年6-11月期(第2四半期累計)の業績に関して、営業利益は前年同期比20%増の60億円程度になったようだと報じられた。従来予想は同21.9%減の39.00億円とされていたが、一転して最高益になる模様である。健康志向の高まっている北米でブロッコリーの種子が伸びたほか、新興国でも野菜種子が好調で、円高の悪影響を吸収したという。市場予想では53億円程度とみられており、想定を上回る業績進捗となる模様だ。

◆種苗の市場規模と日本の輸出

 世界の種苗の市場規模は、約370億ドル(約4兆円)と推定されている。また、我が国の種苗産業の市場規模を示すデータとして、一般的に用いられるものはないものの、各種の試算が試みられており、おおむね2000億円から3000億円程度と推計するものが多いとされる。(参照:一般社団法人 日本種苗協会)

 種苗業界では、モンサント、デュポン(以上、米国)、シンジェンタ(スイス)が世界のトップ3である。しかし日本企業も健闘しており、「タキイ種苗」「サカタのタネ」ともにシェア1.1%で9、10位にランクインしている(※2007年の数値)。特に、野菜種子において両者とも上位を占めているのだ。(参照:農林水産先端技術振興センター「我が国における野菜種苗の安定供給に向けて」)

「サカタのタネ」が、“当種苗業界は、国内需要は頭打ちの状況が続いておりますが、海外におきましては、成長を持続している新興国を中心に、野菜種子、花種子の需要は拡大を続けております。”と記しているように、海外需要も拡大しているのだ。(参照:サカタのタネ 四半期報告書)

 財務省が公表している「貿易統計」を基に、我が国の品目別の農林水産物貿易状況を取りまとめたものを見ても、同様に輸出品として重要な位置を占めていることがわかる。2015年の我が国の農林水産物輸出入額の上位20品目について、金額上位20か国が掲載されているが、種苗に相当する「播種用の種等」が輸出額の9位と、上位にランキングしているのだ。(参照:農林水産省 品目別貿易実績)

 日本の「播種用の種等」の輸出は増加傾向にあり、2015年は151億円である。輸出相手国は、1位香港、2位中国(ともに約31億円)、3位韓国(14億円)、4位デンマーク(10億円)、5位米国(9億円)となっている。6位以下では、総じて、アジア各国への輸出が多い。

◆「サカタのタネ」の種子ビジネスは好調

「サカタのタネ」の四半期報告書(既出)を読むと、国内卸売事業では、ブロッコリー、ニンジンを中心に野菜種子は大幅に売上を伸ばしたとしている。では、海外の国や地域で、種子の売上の状況はどうなのであろうか?

 同じく、「サカタのタネ」の四半期報告書には、海外卸売事業では、アジア向け輸出は、ブロッコリー、トルコギキョウ、ヒマワリなどが伸び、前年同期比増収となり、また、北米については、ブロッコリー、メロン、ホウレンソウなどの野菜種子が好調に推移して、前年同期比大幅増収となったと記されている。一方、欧州では、野菜種子が為替の影響から減収となり、全体でも前年同期比減収となった。南米については、トマトなどの野菜種子が好調に推移し、前年同期比増収となったとある。品目別では、野菜種子ではブロッコリー、ホウレンソウ、トマト、スイカなどが売上を大きく伸ばし、前年同期比増収となっている。

 海外事業の環境は良い。米国、中国、インドに関しては、今後も人口増加が予想されており、野菜消費、種子ビジネス拡大につながると考えられる。中国は、中間層が増えることが、ビジネス拡大に寄与するのではないだろうか?今後円安方向に行くとなれば、その効果も企業業績向上に期待できるかもしれない。

<文/丹羽唯一朗 photo by アラツク via Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)>