駐米英国大使が航空自衛隊との初の共同訓練のため日本に派遣した英空軍戦闘機を帰途、中国が軍事拠点化を進める南シナ海上空を飛行させると発言。これに中国は不快感を表明している。写真は南シナ海。

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2016年12月10日、中国を念頭に新たな「日英同盟」?駐米英国大使がこのほど、航空自衛隊との初の共同訓練のため日本に派遣した英空軍の戦闘機を帰途、中国が軍事拠点化を進める南シナ海上空を飛行させると発言した。これに中国は不快感を表明。良好とされる英中関係に波紋を広げている。

ロイター通信などによると、英国のキム・ダロク駐米大使は今月初め、ワシントンで開かれたシンポジウムで、中国が広範な領有権を主張し周辺諸国と対立している南シナ海問題に言及。「日本に派遣している英空軍のタイフーン戦闘機に南シナ海上空を飛行させる」と述べた。

ダロク大使は「航海の自由を守り、航路や空路を維持するという米政府の目標を共有する」と、米国が中国をけん制するため南シナ海で繰り返している「航行の自由作戦」の支持を表明。「2020年に就役する空母2隻を太平洋に派遣する見通し」「太平洋地域でのわれわれの役目は果たすつもりだ」」とも語ったという。

防衛省によると、共同訓練には英空軍から最新鋭主力戦闘機のタイフーン4機、ボイジャー空中給油輸送機、C17輸送機と人員約200人が参加。青森県の空自三沢基地や周辺空域で防空戦闘訓練、対戦闘機戦闘訓練、戦術攻撃訓練を繰り広げた、日本国内で米軍以外との共同訓練は初めてだった。

訓練期間は10月17日から11月6日まで。駐米英国大使はいつ英戦闘機が南シナ海上空を飛行するかは明言しておらず、発言時点で既に飛行していた可能性もある。その場合も、中国が造成した人工島上空や周辺は避けたとみられる。

駐米英国大使の発言に対し、中国外交部報道官は「全ての国は国際法に従って南シナ海を自由に航行、飛行できる」と平静を装った。その一方で、国営新華社通信はシンポジウムに日本の佐々江賢一郎駐米大使も出席していたことから、「日本の同志を感動させようとしたのだろう」と皮肉っぽく前置きし、英国を非難した。

新華社は「英国がこれまでの南シナ海問題から距離を置くという態度から外れるのなら、日米のように『よけいなおせっかい役』をこの地域で演じ始めたという印象を与えることになる」と指摘。さらに「いわゆる『航行の自由作戦』に乗り出そうとするなら、問題をより複雑化し、中英関係に重くのしかかる」などとも警告した。

日英同盟は日清戦争で勝利した日本に対し、フランス、ドイツ、ロシアの3国が遼東半島を清国に返還することを求めた「三国干渉」などを契機に1902年(明治35年)に締結された。特に南下政策を進めていた帝政ロシアに対抗するのが狙いで、その後の日露戦争では日本の戦費調達などに貢献した。

日英共同訓練については、中国共産党中央委員会機関誌・人民日報の電子版も「日本の胸算用は?」と報道。「軍事専門家の見解によると、日本は近年一貫して現役戦闘機の世代交代によって海洋紛争での空中抑止力を高めようとしてきた」などと関心を示していた。(編集/日向)