学校カラーのケミカルライトが輝く
 - (C) 許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト

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 アニメ化から今年で15周年を迎えた「テニスの王子様」(原作・許斐剛)。“子どもの頃に流行したアニメ”として思い起こす人も多いかもしれないが、実際はいまなお多くのファンに支持される長寿コンテンツとなっている。なぜ「テニスの王子様」はファンにここまで愛され続けるのか。その理由は同作ならではの魅力にあった。

 10月15日、16日にわたり、同アニメシリーズの声優陣によるライブイベント「テニプリフェスタ2016〜合戦〜」が行われた。会場は、約10,000人を動員する日本武道館。2008年にパシフィコ横浜で開催されたイベント以来、ファンに“テニフェス”の呼称で親しまれながら、今年は武道館3公演、客席をいっぱいにするほどに規模を拡大している。「テニスの王子様」のアニメ地上波放送は2001年〜2005年、続編である「新テニスの王子様」が2012年にとどまるが、今でも人気を維持し続けている。

 2.5次元演劇ブームの先駆け的存在であるミュージカル「テニスの王子様」の盛り上がりによる相乗効果はもちろんあるが、アニメシリーズの根強い人気の要因は、特に女性ファンからの強い支持にある。原作は少年誌に連載される“少年漫画”でありながら、キャラクターに実際にチョコを贈る「バレンタインチョコレート獲得数ランキング」が恒例となるなど、女性をターゲットにした企画が多く行われてきた。少年漫画がアニメ化されると、女性からの関心が高まる傾向があるが、いまや日本のアニメ産業を支えていると言われている女性ファンの心を掴むコンテンツを早い段階から提供してきたことは長い間支持を受ける題材となる布石だったと言える。

 先日行われたテニフェスにも多くの女性が集まった。ライブで披露されるのは、すべてキャラクター名義で発表された担当声優によるキャラクターソングだ。「テニスの王子様」のキャラソンは400タイトル以上、約800曲存在する。現在では劇中のアイドルとして多数の楽曲が発表されることは珍しくないが、「テニスの王子様」のキャラクターたちは、テニスに打ち込む普通の男子中学生だ。にもかかわらずここまでのキャラソンの量は異例。さらに、キャラクターをイメージした楽曲だけでなく、J-POPヒット曲のカバーや、作中でほとんど絡みのないキャラクター同士のユニットを作るなど、意外性も生み続け、常にファンを楽しませてきた。アニメがレギュラー放送されていない間にも、楽曲は発表され、テニフェスのような大型なイベントだけでなく、キャラクター単位のソロライブが全国規模で行われた。映画化、OVAの発売やグッズ展開という一般的な取り組みに加え、音楽に関連した同シリーズならではのエンターテインメント性の供給により、一度掴んだファンの心を逃さずにきた。

 また、原作とアニメの深いつながりも特筆すべき点だ。通常、原作者は一企画に参加することはあってもアニメのキャラソンやイベント制作に継続してかかわりつづけることは珍しいが、“ハッピーメディアクリエイター”を自称する許斐剛は、原作者や漫画家という枠におさまらず、アニメ関連企画にも率先して声を上げている。今年のテニフェスのラストを飾った「Love Festival」「テニプリ☆パラダイス」の作詞作曲は許斐。最終日にはステージに登壇し、ファンに直接メッセージを送った。先述のバレンタイン企画からは、キャラクターたちが歌う「バレンタイン・キッス」がシリーズ化し、今年の1月に17作目が発売されている。許斐は原作の1シーンについてキャラソンをイメージして描いたと打ち明けることもあり、もはや原作とアニメの間に壁はないと考えられる。連載中の原作シリーズとアニメ関連コンテンツの相関関係が人気を支える一つの理由であり、「テニスの王子様」の独自性でもあるのだ。

 さらに、ただ一方的に応援するという立場にファンを置いておかないというのも、ファンを惹きつける魅力であるだろう。テニフェス最終日で披露されたのは、36キャラ、36人の声優陣による、45曲。この日間違いなく一番の熱気を生んだ柳生比呂士(CV:津田英佑)の「LASER BEAM」について、作詞も務めた津田はライブでファンと共に盛り上がる曲を目指したと明かしているが、1キャラクターの楽曲が制作段階から客前でのパフォーマンスを見越して作られるのだ。アニメのイベントでは、客席の熱気に圧倒されることも多いが、テニフェスは舞台上のキャストから伝わる熱量もすさまじかった。主人公・越前リョーマの声を15年演じ続ける皆川純子が涙ながらに「みんなの笑顔、その声援があるから俺たちはもっと上に行こうと思えるんだ」とリョーマに代わり想いを伝える姿をはじめ、キャストたちが涙ぐむ姿が何度も見られた。出演が叶わなかったキャストからメッセージが届いたことが知らされるとステージも客席も涙を浮かべたりと、ファンのみならずキャストたちの同作への強い思い入れとファンへの感謝がひしひしと伝わってきた。

 同イベントでは、劇場版プロジェクト始動も発表。許斐が製作総指揮を執るといい、ファンの期待に応える作品になることは間違いない。アニメ化から15年、「テニスの王子様」のますますの盛り上がりに目が離せない。(編集部・小山美咲)