「Thinkstock」より

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 夢のマイホーム購入を考えたとき、自己資金の関係から「頭金ゼロ」という物件を探す人も多い。最初にまとまった資金を用意しなくて済むなら、簡単に購入できそうな気がしなくもないが、結論を出す前によく考えておきたいことがある。それは「仲介手数料」だ。

 仲介手数料とは、売買が成立した場合に、売主と買主が物件を紹介した不動産会社に対して支払う「成功報酬」のことだ。しかし、安さを競うかのように、最近ではこれを「無料」と謳う不動産会社も少なくない。無料にできる会社があるということは、仲介手数料はなくしてもよいものなのではないか。

「株式会社不動産投資の教科書」代表取締役社長で宅地建物取引士の八木チエ氏によれば、仲介手数料の上限は法律で定められているが下限は決まっていないので、業者によって利率が異なるとのこと。

 つまり、儲けの幅を決めるのは不動産会社次第なので、上限を超えなければいくらに設定してもよい、ということになる。

「そもそも、仲介手数料は、不動産会社が売主から委託された物件を購入する際に発生するものです。デベロッパーのように、売主と直接契約する新築マンションなどの購入時には発生しません。

 中古物件などを購入する際は仲介手数料が必要なケースがほとんどですが、その上限は400万円超の物件で、購入価格の3%+6万円です。つまり、3000万円の物件を購入する際の仲介手数料は、税込で103万6800円が上限となります」(八木氏)

 この仲介手数料は業者にもよるが、契約時に50%、物件の引き渡しの際に残りの50%を支払うのが一般的だ。ここで注意したいのが、仲介手数料は現金で支払う必要があるということだ。

「頭金が不要な物件でも同様ですので、仲介手数料を払えるかどうかも検討する必要があります。契約によっては分割払いが可能な場合もありますが、仲介手数料は住宅ローンを利用することができません。一般的な借り入れとなりますので、金利が高くなることも多いです」(同)

 住宅購入費用とは別に、仲介手数料が約100万円必要で、さらに登記費用などの諸雑費も数十万円かかるが、これらも現金で用意する必要がある。まったく準備していないと、すぐに調達できるような金額ではない。仲介手数料の下限がないのであれば、値引きしてもらうことはできないだろうか。

「交渉は可能ですが、現実には難色を示す業者が多いはずです。なぜなら、彼らの収益のほとんどをこの仲介手数料が占めており、わざわざ儲けを削ることになるためです。

 値引きを依頼する場合でも、ただ一方的に安くしてくれなどと強気な交渉をするのではなく、条件は合うが予算オーバーということを正直に伝え、交渉の余地があるか探るのがいいでしょう。成功報酬である仲介手数料をもらうために、物件を探したり、何度も現地案内し、契約書を作成するなど、いろいろと動いているからです。その働きに感謝の気持ちを込めたうえで、値引き交渉するべきです」(同)

●「両手」の業者なら割引してもらえる可能性も

 八木氏によると、売主と買主、双方の仲介をしている業者相手には値引き交渉がしやすいという。不動産業界では、このような形態を「両手」という。両手の場合、売主と買主の両方から仲介手数料を受け取ることができるが、これでは不動産会社が手数料を二重取りしているようにも見える。しかし、「現行法では問題ない」と八木氏は言う。

 値引きしてもらえる可能性があるとはいえ、両手の業者なら必ず値引きしてくれるとは限らないとも付け加える。

「なぜなら、仲介業者のほとんどが売主と買主の双方の仲介をしているからです。自分の状況を訴えつつ、交渉の余地があるか探るのが現実的ではないでしょうか」(同)

 百戦錬磨の不動産業者を相手に、こうした交渉をする自信がなければ、手数料無料を掲げている会社を選ぶこともひとつの手だが、ここにも注意点があるという。

「最近は仲介手数料を取らない業者も増えていますが、自社に売却を依頼された物件を優先して紹介する傾向が強いです。買主の希望とかけ離れた物件しか情報を持っていない場合もあり、満足できる物件と出合うまでに時間がかかることもあります」(同)

 仲介手数料の利率や価格が安いのは確かに魅力的だが、ニーズに合わせて物件を紹介してくれる、信頼できる担当者を見つけることも大事なポイントといえるだろう。

 そのためにも、不動産業者に言われるがまま契約を進めるのではなく、自分でも情報収集し、関連法規などを勉強することが必要だ。目先の価格を安くすることは現実問題として必要だとしても、結果として損をしないように価格の全体像を見極められるようにしたい。そうすることが、納得したマイホーム購入につながりそうだ。
(文=OFFICE-SANGA)