「女子会やめた。」第6回のゲストは、インタビュアーでコラムニストの芳麗(よしれい)さん。

NHK山形放送局のキャスターを経て、24歳でライターとして活動開始。aiko、椎名林檎など大物アーティストを長期にわたりインタビュー、人気のジャニーズタレントの連載を担当するほか、大物俳優、お笑い芸人、クリエイターまで3000人を超える有名人のインタビューを担当し、このたび新刊『3000人インタビューして気づいた!相手も自分も気持ちよく話せる秘訣』(すばる舎)を上梓しました。

インタビュアーとして、有名人から直々にインタビューの指名を受けることも多い芳麗さん。第1回に続き、今回は女性同士のコミュニケーション術についてお話を伺いました。

女同士は年上が気を遣うべき

小沢:人間関係において自分から踏み込むのは、勇気が必要ですよね。女性同士だと、特にそう。同性の先輩と話す時は「下手なことを言って損しないように、あまり喋らないでおこう」と身構えてしまうこともあります。

芳麗:なるほど(笑)。でも、仕事に支障がないなら、苦手な人とは距離をとればいいと思います。

小沢:すがすがしい! そんなふうに割り切って考えられるようになったのは、いつ頃からですか?

芳麗:30代後半くらいからですかね。みんなに好かれようと思うと苦しいけれど、自分から仲良くしたい、尽くしたいと思う人以外と、付き合う必要はないと思えば楽だなと(笑)。

小沢:なるほど。でも、好き嫌いにかかわらず、先輩女性には何かと気を使ってしまいます!

芳麗:気持ちはわかります。ただ、自分が先輩と呼ばれる年齢になって気づいたのは、年下の女の子に気を遣わせちゃう年上の女ってどうかなっていうこと。そんな先輩ってダサいから、そうならないように気をつけようって(笑)。

女性同士の場合、年上が年下に多少の気を遣った方がスムーズだし、楽しくなりますよね。一緒に食事に行く時も各々の経済状況もあるから常に「自分が奢らなきゃ!」と身構える必要はないと思うけど、年上が互いの状況や気分を慮ってお店を決めたりした方が互いに楽ですよね。

私は特別“姉御肌”ではないものの、ナチュラルに気を遣える年上でありたい。単純に一緒に楽しみたいから誘っているんですから。

まだマウンティングで消耗してるの?

小沢:女同士の人間関係でよく話題に上がるトピックとして、マウントの取り合いがありますよね。いわゆるマウンティング。芳麗さんは、どうやって波風立てずにやってきましたか?

芳麗:実は私、マウント意識がほとんどないんです。おそらく、マウント意識が強い人だったら、他人の話を楽しんで聞けないし、よいインタビュアーにはなれないですよ(笑)。

きれいごとっぽく聞こえるのもイヤだけど、マウントなんてない方が、人生楽しいですよね。人並みに嫉妬心もあるし、自意識も強い。けれど、全部自分の内側に向かっているから、人に対しては別になんとも。

小沢:本当ですか!

芳麗:本当! だって、仕方ないですもん。敬愛する映画監督の西川美和さんが、「経験によって人の性格が決まるわけではなく、生まれながらの性質が人生を決める」とおっしゃっていたんだけれど。私がもし、女優みたいなルックスを授けられても、この気弱な性質なら女優には絶対になれない(笑)。

私は私のようにしか生きられない。そう考えると、彼女は自分より若いからとか、美人だからみたいなコンプレックスを持つのは無意味だなと思えます。

小沢:でも常に穏やかでいるって、難しい。私はマウントというより、穴を掘っちゃう時がありますね。攻撃性が強い女性を、ちゃちゃっと上に行かせたいんです。円満にやり過ごすために、自分から下にならなきゃいけないと感じる時がよくあって。勝手に疲れて、瘴気(しょうき)に当たっちゃう。

『VERY』を開けば、滝沢眞規子が笑っているけれど、本当は……?

芳麗:そんなことする必要ないですよ。そんな人とは付き合わなくていいと思うんだけどなぁ(笑)。30歳くらいの頃は、自分の生き方に確証が欲しいし、自分がやっていることを肯定したいから、他人を否定したくなる。だから、マウントっていう概念が生まれると思うんだけど、40歳くらいになると「人それぞれ」ってことが、肌身でわかるようになるんです。

たとえば、私は結婚していないことにコンプレックスは抱いていないけれど、30歳の頃は「私ってダメな女かも」とは思っていました。仕事ばかりしちゃっているなと。でも、話を聞けば、結婚してママになった友だちも子育てしながらも、まだ迷っているんですよね。

現実ではそれぞれ大変なんだけれど、すべてを優雅に手に入れているよう見える女性が雑誌に出ていますからね。『VERY』を開けば、完璧な滝沢眞規子さんが笑っているから。自分ももっといろいろと欲しくなる(笑)。実際は、タキマキさんだって、大変だし、悩みもたくさんあると思いますよ。基本的に、人生で多くを得ている人は、その分の苦しみを引き受けている。多くを欲しがる人は、その分の努力が必要。

小沢:なるほど。

芳麗:私が25歳くらいで、作家の林真理子さんにインタビューした時、「女は自分の自己顕示欲、自己承認欲求の分だけ、仕事しなくちゃならない。私は人の何倍もそれが強いから、作家としてとても努力した」っておっしゃっていたんです。あの言葉の意味がとてもよくわかる。その潔さがかっこいいなと思います。

次回は、12月16日更新です。