訪韓する中国人観光客が増加している。在韓米軍へTHAAD配備決定後、中国は「禁韓令」を出したとされるが、観光分野までは及んでいないよう。対照的に台湾への中国人観光客は5月の民進党・蔡英文総統就任後、激減した。写真は台湾入国許可証。

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2016年12月10日、韓国を訪れる中国人観光客が増加、11月末までに前年同期の3割増になった。在韓米軍への高高度迎撃ミサイル(THAAD)配備決定後、中国は韓国文化を閉め出す「禁韓令」を発動したとされるが、観光分野までは及んでいないよう。対照的に台湾への中国人観光客は5月の民進党・蔡英文総統就任後、3割も激減した。

聯合ニュースによると、韓国観光公社の推定で訪韓外国人観光客は今年年初から11月末までに1590万4370人となり、前年同期比31.3%増加した。このうち、中国人観光客が36.6%増の754万230人を占める。

日本人観光客は約210万人。昨年は中東呼吸器症候群(MERS)流行が響き減少したが、今年はこうした要因がなかった14 年(1〜11月に約211万人)並みに回復している。台湾(64.0%増)や香港(25.2%増)、インドネシア(53.4%増)、ベトナム(53.2%増)、マレーシア(39.7%増)が20%以上の増加率となった。

「禁韓令」に関して、聯合ニュースは「中国の国家新聞出版広電総局や外務省はしらを切っているが、韓国芸能人の中国番組、広告、映画への出演が事実上中断されたことが分かった」と報道。韓国のドラマや映画、韓国芸能人は事実上、中国から締め出された状態であり、中国の映画館でも韓国映画は上映できず、中国メディアで頻繁に報じられていた韓流スターのニュースも急減したという。

中央日報も「非関税貿易障壁を日増しに高くする中国」との記事を掲載。北京の消息筋の話として「中国は韓国に簡単に衝撃を与えられる韓流・観光・人的交流・文化産業規制に集中しているが、貿易分野にも規制を拡大する傾向だ」と伝えた。

それでも、中国人観光客が増えているのは個人客の割合が多くなっているため。中央日報は「来年4月まで中国人団体観光客を20%縮小するようにとの口頭指示にもかかわらず、個人観光客の増加で今年の中国人観光客訪韓目標である800万人達成には問題ない」と報じている。

一方、台湾メディアによると、独立志向とされる民進党の蔡主席が総統に就任した今年5月20日から11月1日までに、台湾を訪問した中国からの観光客数は昨年同期比32%減になった。

国慶節の連休で多くの中国人が海外に出かける10月に台湾を訪れた本土からの観光客は、前年比48.1%(15万人)減。08年7月に中国本土客に対する観光を開放して以降、単月としては最も大きい下げ幅となった。

台湾当局は日本や東南アジアからの観光客増加に向けた取り組みを強化。ベトナムやタイからの観光客は前年比で7割、フィリピンは同5割ほど増えているが、いずれも数万人規模で中国人観光客の穴埋めには程遠い。こちらは中国の締め付けが着実に効果を上げている。(編集/日向)