体験しないと損?ネットの美術館Google Arts & Cultureの機械学習も活用したアートとの新しい出会いと楽しみ方

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世界中のアート・文化関連の画像を集めた「Google Arts & Culture」で、いま試験運用されている面白い機能がある。

最近話題の機械学習も活用し、膨大な画像コレクションをさまざまな角度からダイナミックに検索できるという機能だ。

試験中なので、今後、仕様が変わる可能性もあるが、とても魅力的で面白い機能なので、ぜひ試してほしい。

●試験運用中の5つの機能がスゴイ
Googleの「Google Arts & Culture」は、世界中の美術館や博物館などと提携し、絵画や彫刻、写真、工芸品、歴史的な発掘物……等々のアート・文化に関わるあらゆる画像を集めたサイトだ。

膨大なアートの画像を検索する方法も充実している。
アーティストや歴史上の人物で検索できるのはもちろん、水彩や油彩などの技法、金属や紙などの素材などで検索したり、作品を時系列に並べたりすることができる。

そのGoogle Arts & Cultureで、いま試験運用中の機能があるのだが、これがスゴイ。

メニューの[試験運用機能]を選択すると表示される「EXPERIMENTS」がそれだ。
用意されているのは、次の5つだ。
・TAGS
・X DEGREES OF SEPARATION
・FREE FALL
・CURATOR TABLE
・T-SNE MAP


Google Arts & Cultureのメニューを表示したら、[試験運用機能]を選択する



「EXPERIMENTS」のページが表示される。5つの機能が用意されている。


●膨大なアート・文化画像を3Dのダイナミックなアニメーションで検索・整列できる
EXPERIMENTSの説明は英語だが、使い方は簡単なので問題ない。
たとえば、「FREE FALL」を起動すると、Google Arts & Cultureに登録されている画像が、ブラウザ内の空間に宇宙のビッグバンのようなアニメーションで爆発的に広がる。この状態でマウスをドラッグすれば、空間を自由に移動して、個々の画像を表示することができる。

メニューの[Sphere]や[Wave]をクリックすれば、球形や波形に変形することもできる。さらに、[Timeline]をクリックすると、すべての画像が時系列に並び変わる。紀元前165万年の人類が使った手斧の画像から、2016年現在までのアート・文化画像をズラリと並べ、自由にブラウズできるのは、なかなか感動的だ。


Freefallを起動すると、画像が空間中に爆発的に広がる。マウスのドラッグで自由に探索できる。



[Sphere]にすると、画像が球状になる。1つ1つのドットが画像である。



マウスのホイールを回転してズームインすると、画像が拡大される。



[Timeline]を選択すると、すべての画像が時系列に整列する。同時代の画像は上方向に積み上がって表示される。


「CURATOR TABLE」もスゴイ。起動すると、すべての画像が巨大な点描画のように奥行きのある平面上にズラリと並ぶ。キーワードを入力すると、そこから関連する画像だけが抽出されて、時系列や色別に並べ替えることができる。これまでとはまったく違った新しい検索体験ができる。


CURATOR TABLEの起動直後。1つ1つのドットが画像だ。



キーワードを入力すると、関連する画像だけが抽出される。



抽出したあとで時系列や色別に並べることもできる。


「X Degrees of Separation」も面白い。これは、2つの画像をピックアップすると、2つの画像の視覚的な関連性を機械学習で自動的に判断し、あいだを埋める画像を自動的に見つけ出してくれる機能だ。


X Degrees of Separation。下段から2つの画像を上の段にドラッグする。



2つの画像のあいだを埋める画像が自動的に検索される。機械学習の技術が使われているということだ。


機械学習で自動的に生成されたタグで検索できる「TAGS」、同じく機械学習によって画像の見た目の類似性だけで作成された3Dの画像群の中を探索できる「T-SNE MAP」も、とても面白くて美しい。どの機能も、触り始めると時間を忘れてしまう面白さだ。キリがないので、続きはぜひ、自分の目で確認してほしい。

Google Arts & Culture


井上健語(フリーランスライター)