台湾の蔡英文総統と電話会談したトランプ米次期大統領が正式就任を前に、中国への“口撃”を強めている。通貨や関税に加え、中国が軍事拠点化を進める南シナ海についても大統領選後初めて言及、やり玉に挙げている。NYのトランプホテル。

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2016年12月9日、台湾の蔡英文総統と電話会談し、物議を醸したトランプ米次期大統領が、その後も中国への“口撃”を強めている。やり玉に挙げたのは通貨、関税と中国が軍事拠点化を進める南シナ海。これに対し、中国側はトランプ氏が正式就任前のため正面からの批判は避け、静観する構えだ。

トランプ氏は蔡総統と電話会談した2日後、自身のツイッターに「中国は自国通貨を切り下げること、中国向けの米製品に重税を課すこと、南シナ海のど真ん中に巨大軍事施設を建設することに関して、われわれに了承を求めただろうか? そうは思わない」と書き込んだ。

中国について、トランプ氏は選挙戦中、輸出を有利にするため、米ドルに対して人民元安に操作しているとして「最も強大な為替操作国」などと批判。大統領就任の初日に中国を「為替操作国」に認定すると公約している。

中国の反発を知りつつ、トランプ氏が今度は南シナ海問題にも踏み込んだ真意は不明。背景説明もないが、中国による南シナ海の軍事化に反対を表明したとみられる。同氏は米国メディアが中国の反発を招く可能性を報じると、「米国は台湾に何十億ドルもの兵器を売ってるのに、おめでとうの電話を受けちゃいけないって、興味深いな」ともツイートした。

蔡総統との電話会談について、台湾を自国の一部とみなす中国の王毅外相は台湾を「小細工した」と非難する一方、「米政府が長年堅持してきた『一つの中国』政策を変えることはできない」と述べるにとどめた。中国外交部の陸慷報道局長も5日の定例記者会見で、トランプ氏による中国への批判的な発言について「トランプ氏と陣営による一切の措置の背景に関しては、臆測しない」として、反論しなかった。来年1月の新政権の発足を前に対立激化を避け、同氏の出方を慎重に見極める方針とみられる。

さらに、陸報道局長は「台湾問題は中米関係で最も重要で敏感な問題だ」と強調。「一つの中国」原則が協力への政治的前提だと訴え、「トランプ陣営を含む米国は、この問題に対する中国の厳しい立場を理解している」と一定の配慮も示した。蔡総統との電話会談が対米関係に影響しないよう「過小評価」する思惑ものぞくが、会談やトランプ氏の相次ぐツイートには今後の米中間関係をにらんだ計算が働いているのは明らかだ。

トランプ氏は蔡総統との電話会談に先立ち、中国の習近平国家主席とも電話で協議。両者は米中の協力強化と前向きな関係構築の意向で一致した。しかし、トランプ氏は米国と諸外国との関係に「予測不能性」を持ち込む必要性を公言している。中国をめぐる一連の発言は、その主要な兆候となりそうだ。(編集/日向)