マツダの年間販売台数で1/4を占めるというCX-5。新型CX-5の進化(深化)をひと言で表現すると、「Be a Driver.」というキャッチフレーズを掲げるマツダらしく「走る喜びの深化」だそうです。

その「走る喜び」は、新型CX-5は運転する喜びだけでなく、乗員すべてが人馬一体感を得られるようなフェーズにまで「深化」させたといいます。

1

主査の児玉眞也氏が新型CX-5で最も「深化」したと力を込めるのが静粛性。

2014年11月のアテンザ、CX-5の商品改良時にも静粛性を向上させていますが、開発陣からは「まだ向上できる余地が残っているはず」という話を聞いた時ことを思い出しました。

今回の新型CX-5では、「高速道路でも全席で快適に会話できる」というのが分かりやすい成果とのこと。高い静粛性を実現するために、「音源の抑制」、「キャビンへの音の侵入を遮断」、「吸音による残響音の抑制」の3つを掲げています。

たとえば、ワイパーをフロントフード上端部よりも低い位置にすることにより、正面から侵入してくる風騒音を抑制しているほか、ピラー曲率の見直し、ドアのゴムシールの見直しや段差、隙間の低減をすることで風切り音などの音源を抑制しています。

見た目で分かりやすいのがワイパー。先代はボンネットの上から少しワイパーがのぞいていますが、新型ではボンネットラインよりも下に配置され、風の乱れを抑えることで音の抑制につながっているそうです。

ほかにも、フロントスクリーンのガラス板厚を向上さているのをはじめ、フロントのサイドガラスの遮音膜の設定、フロアアンダーカバーの吸音化などが盛り込まれています。

今回、とくに注力されたのが、後席の静粛性向上。SUVは荷室から大きめの音が侵入してくるため、トランクボードと内装材、サブトランクと内装材の隙間を小さくしたり、荷室からの音の経路を遮断すべく、トノカバーフラップにより後席との隙間を減らしたりしています。

さらに、マツダとして初めて採用されたのが、ドアを閉める際に車内の空気(圧)を逃がすエキストラクターの改良。エキストラクターは車内の圧を逃がすのと同時に、後席に高周波の音が侵入してくる要因にもなります。

先代では、ダイレクトに音が侵入してきたものを新型CX-5では、トリムの隙間を吸音材で埋めただけでなく、通気グリルの位置も極力後方に配置しています。

そして「音の時間変化」にも注目です。車内に侵入してきた音がトリムなどに反射すると反射音になりますが、内装材の吸音力を高めることで速やかに音を低減。具体的には、天井にあるトップシーリングの吸音特性を高めることで車内の音を素早く低減させているそうです。

前席だけでなく、後席の静粛性を高めることにより、高速走行時でも容易に前後席間で会話が楽しめるようになったのは朗報でしょう。

車内の音の減衰特性が進化したのは、ドアを閉める時の音を素早く低減(減衰)させることによって実感できるはずとしています。運転席、後席に座って何度か開け閉めしましたが、密度の濃い「バッフッ」という音は確かに静かで高級車の香りがしました。

(文/塚田勝弘 写真/ダン・アオキ、塚田勝弘)

新型マツダ・CX-5のこだわりはワイパーとドア閉まり音で分かる!?(http://clicccar.com/2016/12/10/424848/)