優れたリーダーがデジタル化に乗り遅れる理由

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テクノロジーは変化している。市場も、ビジネスモデルも、顧客も、従業員もだ。世の中のあらゆるものは常に変化しているのに、多くのリーダーたちは変わっていないように思える。彼らは、フェイスブックやマイクロソフトなどで働くデジタルエリートたちに後れを取り続けているのだ。

今、リーダーたちには新しい戦略が必要だ。古い教訓を捨て、デジタル時代に合ったスキルを身に付け、新たな価値を築いていかなければならない。

過去のリーダーシップモデルが時代遅れというわけではない。ただ不完全なだけなのだ。専門的な能力を持った集団と手を組み、ビジネスを展開していく上では、新たな「ネットワーク型」のリーダーシップが極めて重要になる。ネット通販のザッポス(Zappos)などの企業では、従来のピラミッド型の組織から、より自立したネットワーク型の組織を作るアプローチを取り入れている。

しかし多くのリーダーたちは依然として、組織として「何を創出できるか」ではなく、「何をコントロールできるか」に重点を置き、「何にアクセスできるか」ではなく「何を所有できるか」を重視している。

これは彼らのリーダーシップやガバナンスに関する思考モデルが、時代遅れの好みや習慣、偏見に基づいているからだ。だが、デジタルの時代で成功するためには、こうしたモデルはもう役に立たない。

古い時代の教育者や作家、専門家から得た教訓を捨て去るための5つのステップを以下に紹介する。

1. 自分の信念や考え方がビジネスにどう表れるかを認識する
自分の方針、時間や資金の分配パターン、指標となる基準は何なのかを考える。例えば資産運用会社のリーダーの場合、モノの効率的な生産や所有、管理を中心に据えていることが多い。

2. 自分の行動の動機となる”根底にある考え方”を明らかにする
このステップには通常、継続的な内省が必要であり、また、業界のベストプラクティスが影響している可能性が高い。資産や価値の創造、ビジネスモデルに対する「自分の考え方」に集中しよう。例えば、「物理的資産は永続性も信頼性もある。人間は移り気でリスキーだ」という考えを軸にするなどだ。

3. 自分の考えを逆説的に捉え、その意味について考える
例えば先述の物理的資産については、「物理的資産はその他の資産よりもリスクが高い」という考えもあるかもしれない。逆に考えてみて、自分が共感を覚えるもの、本当にそうかもしれないと思えるものを見つける。そして、その新たな考えが自分の行動をどう変えるのか検証してみよう。

4. 「新たな考え方」が自分の測定基準に持つ意味を推量する
新たな考え方をすることが、戦略や資金配分、顧客や従業員、サプライヤーや投資家にとって、どのような意味を持つのかも考えてみよう。

5. 新たな信念に基づいて行動し、それをチームにも共有する
新たな習慣が根付くまで、特に資金配分については意識的に行動を変えていこう。また、採用や研修、重要業績評価指標(KPI)などにも言及し、行動していくことが重要だ。

ベストセラー『ビジョナリーカンパニー2/飛躍の法則』の著者であるジム・コリンズも、このステップを正しく理解している。偉大な指導者とは、自分自身よりも他の人々のことを気にかける「レベル5」のリーダーだと彼は主張している。

しかし、彼の指摘に抜けていたのは、デジタルプラットフォームの時代において、リーダーは時としてリーダーシップそのものを放棄しなければいけないということだ。我々は、これを「レベル6」のリーダーと呼ぶべきかもしれない。「レベル6」のリーダーは、社内外のグループにおいて自主性を引き起こす存在だ。

これからのリーダーは、自ら変革を導いたり行動を指揮したりするものではない。古い考えを捨て、チームのファシリテーションや価値の共創をはじめとする新しいスキルを身に着け、組織を自立させることが重要だ。

組織をコントロールすることを放棄し、信頼するのは難しい。しかし、新たな考え方やリーダーシップモデルを取り入れるためには、きわめて重要なことだ。デジタルの世界で成功したいのならば、古い考えを捨てなければ未来はないだろう。絶え間なく変化し続けるこの世界で成功するためには、新たな思考を取り入れ、成長し続けることが重要なのだ。