何でもござれ俳優・ピエール瀧

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 岡田准一が主演を務める映画『海賊とよばれた男』で、脇役ながらいぶし銀の存在感を見せているピエール瀧。テクノバンド・電気グルーヴのメンバーとしてコンスタントに活動する傍ら、日本の映画・ドラマに欠かせない俳優として不動の地位を確立しつつあるが、この現状を本人はどう捉えているのだろうか? 撮影現場では「いまだに物見遊山」というピエールが、自身とプロの役者との違いについて赤裸々に語った。

 悪党、正義漢、普通のお父さん、何でもござれの俳優・ピエール瀧。まさに映画・テレビドラマで引っ張りだこだが、この勢いについてピエールは、「芝居がどうこうではないと思う。キャスティングされる方に『こいつ面白そうだな』と思っていただいているだけ。そこに尽きる」とあくまでも謙虚。

 とはいっても、画面に映し出されるピエールは人間味あふれる唯一無二の存在感を放つ。近年、星野源や浜野謙太らピエールと同じく音楽畑でも活躍する逸材が映画やテレビドラマで異彩を放っているが、彼らが持つ特別な魅力はなんなのだろうか。「最近というか、クレージーキャッツの皆さんとか、昔から星の数ほどいますよね」と先輩方に敬意を払いながら、ピエールは考えをめぐらす。

 「誤解を恐れずに言えば、ミュージシャンは自由というか、不真面目な方が多いからじゃないですかね。プロの俳優さんは演じる方の資料を読んだり、ゆかりの地を訪ねたり、ときには体型を変えたり、いろいろ努力されますが、そこまでやる人間はなかなかいない」と分析。「ミュージシャン自身は不真面目だという意識はなく普通にやっているつもりなんですが、澱(おり)が溜まるほど全力を出さない、少し力が抜けている感じが良い方向に転ぶと独特の味につながるのかもしれないですね」と持論を語った。

 音楽活動とのバランスも良好のようで、「電気グルーヴとして今年はフジロックにも出ましたし、音楽はいいペースでやれていますね」というピエール。「芝居に関してはそもそも基本スキルがないので、プランをたてて撮影に臨むことはありません。演じる瞬間に役になりきるだけ。だからストレスを感じることもありませんし、逆にストレスを感じるような役はやれない。『大変そうだなぁ』と思うとすぐ顔に出るので」と笑った。

 第10回本屋大賞を受賞した百田尚樹のベストセラー小説を、『永遠の0』の名コンビ、山崎貴監督&岡田主演で実写映画化した本作では、明治から昭和にかけて石油事業に尽力した国岡商店の店主・国岡鐡造(岡田)の人生が活写される。そんな作品で終戦直後、国岡商店のもとにラジオの修理事業を提案しにくる元海軍大佐を演じているピエールは、「国岡商店を支える熱い人たちとは立ち位置が違う、ちょっとよそよそしさのある役柄。ポイントは海軍上がりに見えるかどうかだったのですが、これに関しては『軍人顔』に産んでくれた母に感謝したい」と最後まで謙虚に照れ笑いを浮かべていた。(取材・文・写真:坂田正樹)

映画『海賊とよばれた男』は全国公開中