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奈良市観光協会が「しかまろくん」を投入したとき、すでに奈良で有名だったゆるキャラの「せんとくん」が見捨てられるのでは?とインターネットで話題になっていました。あのせんとくんは奈良市から駆逐されたのでしょうか。現状を確認すべく奈良観光に繰り出すのでした。

こんにちは、自転車で世界一周をした周藤卓也@チャリダーマンです。世界一周の旅は終わりましたが、引き続きライターとして活動させていただくことになりました。人生は死ぬまでお勉強。日本、海外問わず面白いものを伝えていけたらと思います。

◆日本を旅する

2016年7月29日に長くなった自転車世界一周に区切りをつけました。一息ついた8月下旬、愛媛と長崎にいる祖母、親戚に挨拶するべく青春18きっぷを使って西日本を周りました。友達にも会いたかったので大阪にも足を伸ばし、いつものように西成あいりん地区のドヤ街に身を寄せるのでした。

◆奈良の鹿

その大阪滞在中に「インドの牛」と「奈良の鹿」は似ているかという疑問を確かめたくなって、約14年ぶりに奈良を訪れました。

インドを旅したのは2015年のこと。ヒンドゥー教の神様であるシヴァ神の乗り物ですので、インドの牛は信仰の対象となっています。悠々と街中を歩いていました。一方で奈良の鹿も神の使いとして大切に扱われています。タケミカヅチという神様の乗り物が鹿だったそうです。インドと同じ!

奈良公園で草をムシャムシャする鹿さんたち。



木陰で休息中。



大きく澄んだ優しい瞳、余裕のある優雅な動作、奈良の鹿は神々しくもありました。インドの牛そっくりでした。お土産物が並ぶ道路を歩いていたり、人間が与える鹿せんべえに夢中だったりと、人々の生活に動物が溶け込んだ光景に、ちょっとインドが恋しくなるのでした。

◆鹿キャラ

このように奈良のシンボルといったら鹿です。タイの人なら象、台湾の人なら熊のように、奈良の人は何でも鹿にしていました。

電柱にも鹿のイラストが描かれています。



奈良市の警察官は鹿、住民は大仏でした。



マンホールの図柄も鹿でした。



リニア中央新幹線の新駅をめぐる誘致合戦で、奈良市をPRするのも「りにまね」という鹿キャラでした。リニア招き鹿だそうです。きゃりーぱみゅぱみゅやPerfumeを彷彿させるテクノポップ調の「りにまねのうたプロモーションビデオ」のMVは必見。

りにまねのうたプロモーションビデオ - YouTube

◆しかまろくん

だからこそ、奈良市のゆるキャラにも鹿が起用されています。久しぶりに日本を旅すると空前のゆるキャラブームとなっていました。愛媛県にはみかんの顔をした犬の「みきゃん」、長崎県の島原市にはお化けの「しまばらん」がいました。

このビッグウェーブに乗るしかないと奈良市観光協会は2013年5月に新しいゆるキャラを投入。奈良のシンボルである鹿をモチーフにした「しかまろくん」の誕生です。古い鹿キャラ「せんとくん」と違って「かわいい」を全面に出したゆるキャラの王道。ぷっくらとした2頭身の体、ニコーっとした垂れ目で奈良市に訪れた人たちを歓迎してくれます。

しかまろくん|奈良市観光協会公式ホームページ

http://narashikanko.or.jp/shikamaro/

JR奈良駅を出てすぐの観光案内所にあった立て看板。



観光記念スタンプもありました。



鹿せんべいを頬張る大きなポスター。



近鉄奈良駅の観光案内所もしかまろくんだらけ。



市内のマクドナルドの店頭にも立像がありました。



◆せんとくん

一方で奈良の鹿キャラといえば「せんとくん」が思い浮かびませんか?ビックリマンシールに混ざっても違和感ないデザイン。小坊主に角が生えた常人離れした格好は「気持ち悪い」「仏様を侮辱している」と物議を醸しながらも、大手メディアにも取り上げられいつの間にか人気者に。せんとくんは2010年に開催された平城遷都1300年祭の公式キャラで、2011年からは奈良県のマスコットキャラになっています。

せんとくんの仕事部屋へようこそ!!_奈良県公式ホームページ

http://www.pref.nara.jp/36939.htm

しかまろくん登場時は、「しかまろくん誕生でせんとくんはどうなるの?」という話題でネットが盛り上がりました。

せんとくん政権崩壊!? 奈良のゆるキャラに異変が起こっていた! - All About NEWS

http://news.allabout.co.jp/articles/d/84622/

せんとくんに死亡説?ネット上で話題に - 奈良経済新聞

http://nara.keizai.biz/headline/848/

「リストラ」「クビ」と容赦なくネタにされるせんとくん。しかし、しかしですよ。あれから3年が経った2016年になっても、せんとくんは健在でした。

世間一般のイメージに近いせんとくん。JR奈良駅に立っていました。



鹿と鹿キャラのせんとくんが「ようこそ奈良へ」と迎えてくれます。



道端ではエジプトのスフィンクスのように歴史クイズを出題していました。



奈良県庁の入口前には烏帽子と朝服スタイルの立像がありました。



県庁の国民文化祭をカウントダウンするボードに描かれた袴スタイルのせんとくん。



◆共存共栄

このような感じでせんとくんはしかまろくんに駆逐されることなく、2つの鹿キャラは奈良市で共存共栄していました。人間と鹿が共に生きる奈良市らしい光景でした。

観光案内所に並んだ2つの鹿キャラ。



……実は「しかまろくん」は奈良市観光協会、「せんとくん」は奈良県という権利関係の違いなんですけどね。奈良市にしかまろくんが誕生したからといって、奈良県はせんとくんを手放しません。

「©NARA pref」(奈良県のコピーライト表記)がついたせんとくん。



◆この扱いの差

しかまろくんのポスターがミス奈良の着物美女と盛り上がっているというのに……



せんとくんのポスターは夜の寺院でヒャッハーしているだけで……



「この扱いの差は……」と突っ込まずにはいられませんでした。

ネタにしたのですが、実はせんとくんには蓮花ちゃんという恋人候補がいるそうです。それどころかよどりちゃんにも好意をもたれるというプレイボーイ。(ミス奈良は奈良市観光協会主催でした)

「しかまろくん」も「せんとくん」も共に奈良を盛り上げていました。この記事を読んだ皆さんは、どっちの鹿キャラが好きでしか?

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン

自転車世界一周取材中 http://shuutak.com

Twitter @shuutak)