『新国王の誕生で、タイの混乱は落ち着くか?写真:AFLO』

 タイに新国王が誕生した。

 10月にプミポン前国王が崩御し、約1カ月半「元首不在」の非常事態が続いていたが、12月2日、ワチラロンコン新国王がようやく即位した。

 ワチラロンコン新国王はプミポン前国王の長男で、唯一の子息として1972年から皇太子となっていた。

 プミポン前国王といえば、タイ国民の尊敬と敬愛を一身に受けていることで知られ、国内のさまざまな政治の難局にも見事な手腕を発揮してきた。

 だが、その息子であるワチラロンコン新国王は、少し様子が違うようだ。

 新国王は現在64歳だが3回の離婚歴があり、現在はタイ航空の元客室乗務員だった年下のガールフレンドを王妃に迎える意向だと噂されている。

 敬虔な仏教徒が大半を占めるタイ国民には、このこと自体が受け入れ難いようだ。

 彼の母親であるシリキット前国王妃が「率直に言って、私の息子は、ちょっとドン・ファンのようなところがある」とアメリカの雑誌のインタビューに答えたことすらある。

ワチラロンコン新国王の「やんちゃ話」はこれだけではない。大の犬好きなのである。どれくらい犬好きかというと、3番目の王妃が飼っていた白いプードル「フーフー」にタイ空軍の最高位の称号を与えていたほど。「フーフー」が死亡したときは、仏教のしきたりに従って4日間の葬儀を行い、その後、火葬されたことも話題となった。

 自身にも軍隊経験があり、戦闘機やボーイング737といったジェット機を自在に操る。しかし今年7月にドイツの空港で撮られた写真では、丈の短いタンクトップを無理やり着た上半身にタトゥー風のボディペイントが施されていた。

 こうした話は、タイ国内ではほとんど聞くことができない。王室に対する侮辱は不敬罪に問われる。

 実際、12月3日には、新国王を中傷する記事をFacebookで共有したとして、活動家の男子学生が逮捕された。新国王に対する国民の信頼はまだ薄く、こうした動きはこれからも続くとみられる。