『前回の駅伝は青学大が完全優勝』

 青学大が出雲駅伝(10月10日)と全日本大学駅伝(11月6日)を制した。これがいわば駅伝シーズンの開幕で、1月2、3日開催の箱根駅伝と続く。

「箱根駅伝が注目度も重要度も頂点です。出雲、全日本と距離が伸びていくなか、各大学は箱根に向けて調整していくのです。全日本が終わると、各大学は合宿に入り、12月10日までに、箱根出場選手16人を絞り込んでいきます」(スポーツライターの生島淳氏)

 箱根へ出場する大学には、出雲と全日本は前哨戦の位置づけだ。

「出雲は全6区で、距離も短い。スピードのある6人を揃えればいいのですが、全日本は全8区で、距離も伸び、総合力の勝負になります」(同前)

 全日本は3区9.5kmから8区19.7kmまで幅広い。選手層の厚い青学大が優位というのが一致した見方だ。

 青学大・原晋(すすむ)監督が「史上最強」と称した前回大会のメンバーと比較すれば小粒感は否めないが、「青学四天王」で唯一残った一色恭志(4年)を中心に充実している。

「青学大の練習量は圧倒的。その自信があるからこそ、現状のメンバー構成でも、『優勝できる』と確信を持って走っている。近年は、青学大を追うのが東洋大、駒大という図式。東洋大には学生ナンバーワンのスピードを誇る服部弾馬(4年)、駒大にはユニバ1万メートル銅メダリストの中谷圭佑(4年)がいる」(スポーツ紙担当記者)

 一色と服部は仙台育英高の同級で、ともに愛知・豊川高校に転校した仲。

「服部を筆頭に、東洋大は4年生全員が1万メートル30分を切る。だが、服部の兄で昨年のエース、勇馬(現トヨタ自動車)が抜けた穴は大きい。駒大・中谷も10月の出雲駅伝を右足底痛で欠場しており、心配だ」(同前)

 東洋大、駒大の苦戦が予想されるなか、ダークホース的な存在が、古豪・山梨学院大と新興勢力の東海大だ。

「山梨学院大は3年前の高校駅伝で優勝したときのメンバーで、上田誠仁監督の息子・健太(3年)、1万メートルで28分を切るドミニク・ニャイロ(2年)と「大砲」を2枚揃えている。北京五輪マラソン代表で、同大OBの大崎悟史が昨年、コーチに就いたことも大きい。

 東海大は長野・佐久長聖高で数々のタイトルを獲得した名将・両角速氏が2011年に監督に就任したことで急成長。彼を頼って關颯人(せきはやと)と、鬼塚翔太、館澤亨次(すべて1年)ら、高校陸上界のスターたちが集まった」(陸上担当記者)。

 出雲駅伝では1〜3区をこの1年生トリオが走り、なかでも、佐久長聖出身の關は、激戦の3区で区間賞。結果3位と、躍進の立役者となった。

 来年の箱根は、前回大会では4区18.5km、5区23.2kmだったのが、それぞれ20.9km、20.8kmに変更される。これは何を意味するのか。

「前回大会までは、4区は(走力が高くない選手が起用されることが多い)『つなぎ区間』でした。20kmを切っていたので、長距離経験の少ない1年生にもまかせることができた。全10区間すべて20km以上になる来年は、4区が特に重要な区間になる。

『花の2区』の次のエース級を4区に置かないと、差がついてしまう。距離が長かった5区の山登りでの逆転劇は減るでしょうし、復路でひっくり返すことも難しくなるでしょう」

 青学大・原監督はスポーツ紙の取材に、「結果的に選手層の厚いチームが有利になり、上位と下位の差が広がる」と自信を見せている。

 当分は青学大の独壇場が続くのか。

(週刊FLASH 2016年11月15日号)