エキレビでもたびたびインタビューやイベントレポを行ってきた「水曜どうでしょう」の“藤やん”こと、藤村忠寿ディレクター(以下、藤村D)。ニフティ株式会社が運営するイベントスペース&飲食店「東京カルチャーカルチャー」の渋谷移転こけら落としイベントに藤やんが現れると聞いて駆けつけた。


12月7日に開催された同イベントは、ニフティが運営する読み物サイト「デイリーポータルZ」(以下、DPZ)のライター陣を相手に、藤村Dが説教を繰り広げるというもの。なぜ、説教なのか。きっかけはDPZの名物イベント“札束風呂”だった。藤村Dは自身が司会を務めたイベントで、偽札が詰まったバスタブで嬉々として記念撮影する親子連れを目撃。「ガキにこんなことさせちゃいかんだろう!」と、DPZウェブマスター林雄司さんをつかまえ、思わず説教したという。

林 「僕、ホントにそういうのがわからなくて。その発想はなかった!! って」
藤村 「バカじゃねえか。誰しもがおかしいと思うよ!」
林 「ネットの中では褒められっぱなし。会社でも、最初の頃はやめろと言われてたのに、ここ10年ぐらいは言われない。この前なんて、社長を人間大砲にして飛ばしちゃったし。いい加減、これは良くないなと思って」

そこで企画したのが、今回の“ご指導ご鞭撻イベント”だというのである。


ルールはこうだ。DPZのライター陣が前半8名、後半8名の計16名登壇し、1人ずつ藤村Dに自薦記事をプレゼン。説教する気満々の藤村Dが迎え撃つ。要は「説明した段階で怒られる」(藤村)というわけだ。もっとも一方的にやられるDPZ勢ではない。ここでは組んずほぐれつの熱い戦いの中から、とくに印象に残った名勝負を紹介したい。

名勝負その1:むかない安藤、藤村Dをビビらせる


「むかずにそのまま食う男、むかない安藤」は10秒で見られる動画シリーズ。スイカもパイナップルも、皮をむかずに食べる。さらには、ハマグリまでも殻ごとバリバリ喰らう。プレゼン映像が流れると「そういうことか!」と納得していた藤村Dだが、理解と評価は別もの。情け容赦なく突き放す。


藤村 「君はこれでも生きていけるぞ、という人生を提示しているわけだ。でも、誰1人として受け取ってないぞ。第一、むいたほうがいいんだろう?」
安藤 「やってみなければわからないです!」
藤村 「ほとんどの人はわかってるって!」
安藤 「スーパーで迷いの時間があるじゃないですか。むかずに食べられるのか、むいたほうがいいのか……」
藤村 「迷わないよ!」
安藤 「効率化ですよ」
藤村 「でも、むいたほうがいいんだろ?」
安藤 「やってはじめてわかることってありますよね」


どこまでもポジティブ。トライ&エラーの大切さを説く安藤さんに、藤村Dはうっかり「いつからやってるの?」と質問してしまう。すっかり、むかない安藤のペースだ。

安藤 「5年ぐらいです。300近くやってます」
藤村 「もうむくものもないだろ?」
安藤 「まだまだ皮はありますよ!」
藤村 「やめろよ! 俺のセーターとか食うなよ!」

名勝負その2:バイトの藤原くん、藤村Dを絶句させる


この日、もっとも緊張が走ったのは、DPZの“バイトの藤原くん”こと、藤原浩一さんの登壇時だった。他のDPZライター陣がニコニコ笑いながら着席したのに対し、藤原くんは真顔。座ってからもだいたい真顔だった。自薦記事は「クビになった会社の前で食べるのに向いているパンベスト3」。藤村Dも「これはどういうおつもりで……?」と思わず敬語になる。しかも、質問を重ねても意図をつかめず、次第に口数が減っていく。そしてなぜか唐突に、藤原くんの饒舌スイッチがオン。果敢に藤村Dに挑む。


藤原 「カレーパンはクビになった会社で食べるのに向いてると思いますか?」
藤村 「え? いや、やっぱり……ちょっと重いよね。あんまり向いてないかな」
藤原 「向いてないのは合ってます! でも理由は違います!!」
藤村 「どんな理由?」
藤原 「会社で働いていた頃、お昼ごはんによくカレーを食べていたから、そのことを思い出してつらくなるからでした!」
藤村 「知らねえよ!」


さらに、「クビになったとき、会社の前で食べるのに向いているパン」の情報が、会社員の役に立つのかどうかという議論が紛糾。

藤村 「なんの利益もないだろう」
藤原 「クビになったとき役に立ちます」
藤村 「(パンを食べに)行かねえもん! ……これでノーベル賞とるつもりないでしょ?」
藤原 「ノーベル賞はとろうと思ってとるものじゃないらしいです」
藤村 「帰れ!!」

名勝負その3:藤村D、“パンツとバレない帽子”に心を奪われる


「パンツとバレない帽子をつくる」記事をプレゼンした小堺丸子さん。「パンツをかぶるのってみんな大好きじゃないですか?」(小堺)という問いかけに対して、「あるある! あるある!」と熱狂的なレスポンスを返した藤村D。


小堺さんがパンツを改造した「パンツサンバイザー」の着用写真を披露すると、「お前はパンツかぶって……」と一瞬絶句しながらも、「ちょっと造作が良すぎる。もうちょっとパンツ感を出してほしい」とリクエスト。だが、いざ、パンツを3枚つかった力作「パッチワーク風パンツ帽子」、セクシー系パンツをあしらった「テンガロンパンツハット」が画面に映し出されると「これはパンツだ!!」「パンツだよ!!!」と興奮気味に連呼。

藤村 「パンツっていうのは素材感があるんだろうね。ツバにあのパンツを選んだ時点で負け。イチゴみたいなやつを持って行けばまだしも……。これ(パンツサンバイザー)は皇居のまわりを走っても大丈夫。これ(パッチワーク風パンツ)はもうアウト」


もはや、パンツ帽子分析が止まらない。

藤村 「お前、これかぶって皇居の前走ってみろ。絶対無理だろ。ギリギリ皇居の前で走れるかどうかぐらいのものを来年はね」
林 「すごく早く走ればわかんないんじゃないですか?」
藤村 「そうじゃねえんだって!! 『これで走れる人〜?』って言ったときに、この中の半分ぐらいがこう、迷いながらも手を挙げるかぐらいのギリギリの製品。よく見ればパンツだけど……という躊躇があるぐらいのね。俺はそれを作りたい!」

まさかの製作宣言。すっかり藤村Dをとりこにしちゃったパンツ帽子がすごすぎる。来年はまさかのパンツ帽子の旅なのか。ちなみに、「社会に対してナンの役にもたたない、無駄なことをしてる集団を年に1回、よくやったなと言ってあげる会」(藤村)は来年以降も続くようですよ。
(島影真奈美)