DeNAのキュレーションメディアが著作権侵害・内容の信憑性に問題があるとして閉鎖、写真加工アプリ「Everfilter」がこの夏の大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』の新海監督の作品を許諾なしに使用したとして配信中止になった。

このように、このところ、著作権に関する話題が続いている。

ネットに限らず、著作権者の権利を侵害する行為は刑罰の対象となる犯罪だ。
これまでにも、同人誌の2次創作が著作権侵害で摘発されたというケースもあった。
表現の自由と著作権については、長年議論されてきたテーマだ。

とはいえ、ネットがインフラとなることで、ちょっと様子が違ってきた。

今回のキュレーションメディアの件は著作権だけの問題ではないのだが、ここでは著作権を軸に、ネットとコンテンツの関係について考えてみたい。

◎デジタルデータになったコンテンツ
ネットが生まれる前から著作物(コンテンツ)はあったわけだが、ネットの登場以前と登場後で大きく異なるのは、
・テキスト、静止画(イラスト・写真)、動画など、あらゆるコンテンツがデータ化されたこと
・ネットでは誰もが手軽に情報発信できること


ネット上のコンテンツは(もちろんプロテクトされているのだが)、いまやあらゆる手段でローカルに保存でき、それを誰でも容易に頒布(はんぷ)できる環境がある。
違法なデータがアップロード/ダウンロードできるファイル共有サイトなども存在する(現在は違法なコンテンツデータのダウンロードも刑罰の対象になる)。

「誰でも手軽に情報発信」はブログの時代然り、SNS時代になってさらに顕著になってきている。
たとえば、『君の名は。』の違法動画リンクがTwitterで多数拡散され、公式アカウントが削除を呼びかけるという騒動も起こっている。

◎ネット上のコンテンツをどうとらえるか
実際、YouTubeや動画サイトなど、ストリーミングで気軽に動画を視聴できるサービスには、数多くのテレビ番組がアップされている。
では、コンテンツホルダー側がその事態にどう向き合っているかというと、
・違法動画が見つかれば削除依頼を出す
・消極的な放置
・積極的な活用
と、さまざまだ。

それぞれのコンテンツ、ブランドによるところだ。
ただ、ここで1つおもしろいのは、(放置の場合の意図もそうなのかもしれないが)プロモーションの一環としての積極的なネット活用だ。

・公式に動画をネットにあげて拡散を狙う
・CGM(Consumer Generated Media、一般の消費者が作るメディア、いわゆる「口コミ」)を狙う
など、ユーザーの2次創作を認める手法を取ることもある。

こうして生まれたコンテンツをUGC(User Generated Contentといったりする。

映画の短期的なプロモーションに使われたり、あるいは長期的に展開され、商品とはもう別のカルチャー(「初音ミク」など)に発展していたりしている。

こうした手法はネットとコンテンツの、ある意味「幸せな関係」といえるだろう。

◎ネットとコンテンツの関わり
・ネットは無法地帯なのか。
・ネットには信頼性の低い情報しかないのか。

そう言われるのは、何もいまに始まった話ではない。
ネットが普及した頃から言われている。ただ1つ異なるのは、ネットがインフラとしてここまで普及し、その収益の構造がもっぱら広告ビジネスに集中してきたことだ。

ネットはすでにコンテンツがあふれている状態だ。
同じようなニュースが、ちょっとずつ言葉を変え、異なるニュースサイトで伝えられてもいる。

素朴な疑問として、「そこまで情報は必要なのか?」 と、1ユーザーとしては思う。

実は、必要としているのは、読者ではなく、メディアやサービスのオーナー側なのだ。
コンテンツを増やし、PVを得て、広告媒体としての価値を出す、それによって収益が出ることでビジネスが成り立っているのだから。

もともとインターネットは、それだけではお金を生まない構造だ。
そこに不幸があるともいえる。
こうした広告モデルに依存しなければ、ビジネスが成り立たないのだ。
事実、ビジネスとして成り立たないことで消えていったサービスをあげたらきりがないだろう。

今回叩かれたのはキュレーションメディアだが、そもそもこうしたインターネットの収益構造が変わらない限り、この手の問題は解決しないのではないか。

ただおそらく今後は、既存のシステムである広告にのったビジネスモデルではなく、ネットにおける新しい収益システムの登場が待たれていくだろう。


大内孝子