環境保全と経済成長が両立、フロムファーイーストのビジネスモデル

写真拡大

前回に続き、今回もBoPビジネス3.0の萌芽事例である日本企業を紹介する。今回紹介するのは、大阪に本社を構えるフロムファーイーストという会社である。

フロムファーイーストは、2003年に設立されたベンチャー企業。「美容室向け/一般向け美容商品の製造販売」を事業として推進しており、オーガニックココナッツや米ぬか等から作られる無添加かつノンキャリーオーバーの石鹸、シャンプーを中心とした美容商品を、自社のECサイト「みんなでみらいを」を通じて販売している。

これらは人間の肌に対して非常に優しいとともに、そのまま自然界に廃棄しても地球に負荷をかけない製品である。現在では、自社のECだけでなく、東急ハンズやイオン、伊勢丹等でも取り扱われるようになり、肌疾患で悩む消費者や安心安全な美容商材を求める消費者に高い評価を受けている。

フロムファーイーストの経営理念は「心の幸せ、身体の幸せを日本から世界へ」。阪口社長は日本の美容業界において蓄積された高レベルの技術を途上国に持ち込み、現地の人々と一緒に販売者・消費者・地球環境全てに良い影響を与えるビジネスを実施したいという思いを持っている。

そもそも阪口社長は、リオデジャネイロの環境サミット(1992年)でのセヴァン・スズキのスピーチに感銘を覚え、いつか現在の「経済発展=環境破壊」という仕組みを変えて「環境保護=経済発展」の仕組みを作ることが必要だと考えた。子どもが生まれた時に”100年先の地球”がイメージができなかったためだ。

そして自らも、人々が普通に生活するだけで健康になり、環境も改善していくような仕組みを作る事業をしなければと考えるようになった。

また、フロムファーイーストは、気候変動の影響による社会課題の増大に対しても強い問題意識を有している。例えば、カンボジアでは、気候変動により洪水の被害が年々多くなり、農作物を流されたり、財産を流されたりすることで、BoP層の生活が一層苦しくなっている。

その原因の一端を担っているのがカンボジアでの大量の森林伐採である。フロムファーイーストによる現地調査によって、洪水被害を抑制してくれる森林がない地域ほど、BoP層の生活が不安定になっていることが分かった。

こうした背景から、フロムファーイーストは、”伝統の森”と呼ばれるカンボジアの農村部でBoP層とともに植林をし、洪水抑制を行い、植林した樹木から得られる葉・実・油等の原料を用いたシャンプーや石鹸、ヘアカラー剤等の美容関連消費財を日本市場向けに販売し、日本市場で得た利益をより広範囲の植林へ再投資していくといった循環型のビジネスを推進している。BoP2.0のビジネスモデルだ。

ただ単に原材料を調達するのではなく、BoP層の住む地域や彼らの農地を守るための森を広げていくことで、原材料の持続的な調達と洪水被害の抑制を両立することを目指している。自然を守りながら、自然から得た実や油を有効活用し生活を豊かにするといった手法は、これまでもBoP層が自然と共生していくために用いてきた伝統的な手法である。

【BoP2.0としてのビジネスモデル】
zzz

さらに、フロムファーイーストは、BoP3.0として、”伝統の森”に異なる業界の様々な企業を呼び込むことによって、業界横断型の地域・産業発展を促している。

例えば、大阪を拠点とする「ときまたぎグループ」は阪口社長の呼びかけに応え、現地BoP層の生活や製品製造に必要な電力を供給する太陽光発電もしくは小水力発電事業を推進しようとしている。こうした取り組みによって利用できるようになった電力は、植林・農業のための揚水や原材料を加工するための機械を動かすために活用される。

【BoP3.0としてのビジネスモデル】(赤字:BoP2.0からの変更点)
za
その結果、BoP層は原材料の一次加工ができるようになり、所得向上額を増加させることが可能になる。こうしてBoP層の生産能力が拡大することは、自社製品への需要が高まる中で持続的な成長を目指すフロムファーイーストにとっても喜ばしいことだ。

このようにエネルギー業界といった異なる業界の企業が参画することにより、地域の持続的な発展と事業の成長が一段と加速されることとなったのである。