12月1日、欧州やアメリカなどで国際試合を戦った後、グローバルスポンサーである保険会社「AIG」グループの招きに応じて、「オールブラックス」ことニュージーランド代表9名が来日。東京駅丸の内行幸通りの特設会場で、130名の子どもたちやラグビーファンとラグビー交流イベントを行なった。「AIG」グループは2012年からニュージーランドラグビー協会のメジャーグローバルスポンサーとなっており、胸スポンサーにもなっている。

 子どもたちやファンは、オールブラックスの選手たちといっしょに、ストレッチやタックル、トライなどの練習をして汗を流した。トヨタ自動車でも2シーズンプレーした、オールブラックスの中心選手のひとり、フランカー(FL)ジェローム・カイノは、時折、日本語も交えながら、「子どもたちにケガの予防の大切さを学んでもらえるように、少しでもお役に立てれば」と笑顔で話した。

 イベント終了後、力強いプレーが持ち味の15キャップのロック(LO)スティーブン・ルアトゥア、23歳で11月に代表デビューしたLOスコット・バレット、今秋、その突破力とオフロードパスで世界を魅了した21歳のセンタースリークォーターバック(CTB)アントン・レイナート−ブラウン、今年のスーパーラグビーで大活躍だった21歳の若きフルバック(FB)ダミアン・マッケンジーという2019年のワールドカップの主力になりうる4選手に、日本ラグビーの印象やオールブラックスの強さの理由を聞いた。

 やはり4選手ともに昨年のワールドカップにおける日本代表の活躍ぶりは目にしており、感銘を受けていた。

「南アフリカ戦では特に、ラグビーに対する情熱、勇気を感じた」(ルアトゥア)

「日本のみなさんも感動したと思うが、みなが熱狂的に応援している姿に感動した」(バレット)

「日本の試合は全部見た。整列しているように、ディフェンスしていた。チームとして先進的に取り組んでいた」(レイナート−ブラウン)

「何もなくすものはないという態度で臨んだ勇気に感動した」(マッケンジー)

 彼らに「印象に残っている選手は?」とたずねると、4選手ともすぐにニュージーランドで3シーズンプレーし、日本代表のキャプテンを務めていた「リーチ( マイケル)!」と答えた。レイナート−ブラウンとFBマッケンジーはリーチがいるチーフス所属であり、リーチへの信頼は揺るぎなく、他のチーム所属のFWの選手であるルアトゥア、バレットもリーチを高く評価し、どこかしら誇らしい気持ちになった。

「他にインパクトに残った日本代表選手は?」と聞くと、レイナート−ブラウンは「スコットランド戦は苦戦していたがNo.8(アマナキ・レレィ・マフィ)がお気に入り」とのこと。 

 キッカーも務めているFBマッケンジーに、日本代表のキッカーの五郎丸歩について聞くと、「ユニークなキックのルーティンをしているね(笑)。素晴らしい選手でスキルも高い。ボールの扱いもうまくて、見えないところで努力をしているんだなと思った」と、同じ15番について語ってくれた。

 現在、オールブラックスに選出されている彼らに、「日本代表が2019年のワールドカップで、決勝トーナメントに行くためにはどうしたらいいのか?」と率直に聞いてみた。

 ルアトゥアは「日本代表のワールドカップでの戦いぶりを見ると、才能ある選手も多く、どの大会でも勝てる可能性を秘めている。自分たちのプレーに自信を持ってほしい」と語り、レイナート−ブラウンは「エディー(・ジョーンズヘッドコーチ)がいなくなったのは残念だが、日本代表には大きなポテンシャルがある。ジェイミー(・ジョセフ)がヘッドコーチになったので、今やっていることを信じて続けることが大事」と続けた。

 マッケンジーは「非常に高い期待をかけられれば、もっと自分たちのレベルを上げないといけないと思うだろうし、対戦相手ごとにもっと何をすべきか考えるべき」と意見を述べた。

 オールブラックスは現在、世界ランキングは1位。2009年からその座を保持し、ワールドカップで2連覇中と最強の名をほしいままにしている。そんなチームの一員である選手たちに、「オールブラックスはなぜ強いのか?」とたずねた。

「ニュージーランドには長い伝統があり、ラグビーをサポートする文化がある」(ルアトゥア)

「ラグビーは15人で行なうスポーツであり、みんなが同じ絵、目標を持つことが大事。それができているのが強い理由だ」

「コーチ、マネジメント、選手といい人材が揃っている。そして毎週、パフォーマンスがいいか確認して、それを積み重ねたからこそ負けなかった」(レイナート−ブラウン)

「ファンからも応援を受けていたし、練習からビデオで細かくチェックした。それらが功を奏した」(マッケンジー)
  
 2019年に日本で行なわれるワールドカップでオールブラックスが3連覇を達成するために必要なことや、大会に対する思いも聞いた。

「今、勝てていても2019年に勝てる保証はない。足固めが必要だ。近道はない。着実にやるべきことをやるしかない。日本開催のワールドカップに出場して、3連覇を達成できたらうれしいね!」(ルアトゥア)

「勝つための近道はない。2019年は自分も出場したいが、個々の選手がパフォーマンスを高めていくしかない」(LOバレット)

「オールブラックスだけではなく、すべてのラグビー選手にとってワールドカップはドリームだ。僕も実現したいが、長い道のりがある。練習して成績を残して、ワールドカップに優勝できたら、それ以上に嬉しいことはないだろう」(レイナート−ブラウン)

「スーパーラグビーでいい成績を挙げないとオールブラックスに選出されない。何とかしていいプレーを続けてワールドカップに出場できれば、それほどうれしいことはない」(マッケンジー)

 オールブラックスは、すでに2019年のワールドカップ出場を決めており、それだけに日本代表と同じ組に入る可能性もある。この4選手は、2015年大会は出場しておらず、2019年のワールドカップに対する思いは強い。特に若いBKの2人は、今後のオールブラックスを担う選手と見られている。

 最後に、ラグビーを愛してやまないAIG ジャパン・ホールディングス社長兼CEOのロバート・ノディン氏が選手に負けない熱い思いをこう語った。「2019年のワールドカップに向けて、ラグビーに対する関心も高まっており、日本とニュージーランドが協力して普及活動のイベントなどを行ない、日本ラグビーに素晴らしい貢献をしたいと思います」

 2019年のワールドカップまで、あと1000日ちょっと。来年5月には組み合わせ抽選が行なわれる。果たして、日本代表とオールブラックスの対戦はあるのか。そして、彼らにどこまで迫れるのか。今から、それを夢想するのは気が早いだろうか。

斉藤健仁●文 text by Saito Kenji