森林浴をすると気分がリフレッシュされる、それは誰もが感じることでしょう。緑色のカラーセラピー効果で、精神的な安定が得られるのも理由の一つです。しかし森の木々からは癒しの物質「フィトンチッド」が放出されることがわかっています。
このフィトンチッドは森に出かけていかなくても、簡単に普段の生活に取り入れることが可能なんです。

フィトンチッドとは

木々に囲まれると精神的に落ち着くとは、昔の人も感じていたこと。そのため木々には不思議な力があると考えられていました。その確証が得られたのは1930年頃、旧ソビエトのトーキン博士による実験でした。博士は植物に傷をつけると、その付近にいる病原菌などの微生物が死んでしまうことを発見しました。植物の傷口から、微生物を殺す何らかの物質が放出されているとし、その物質をフィトン(植物)チッド(殺す)と名付けました。
自然界において木々や植物は、常に微生物などから侵される危険にさらされています。そこで自ら抗菌物質フィトンチッドをだして、外敵から身を守っていたのです。

人間に嬉しい効果をもたらすフィトンチッド

微生物を殺してしまうフィトンチッド。しかし私たち人間にとっては、恩恵をもたらす物質であることが、その後の研究で分かってきました。
フィトンチッドの抗菌作用は、私たちの体内でも効果を発揮します。フィトンチッドを吸うことで免疫力を強化し、また呼吸を整え、疲労回復を促す効果もあります。
フィトンチッドは精神面でも影響を与え、興奮を和らげて精神を安定させます。脳内のアルファー波が出されるように働くことも分かっており、森林セラピーとはまさに、これら植物の効果を利用したものにほかならないのです。

フィトンチッドを生活の中に取り入れるには?

森林浴に行かなければ、フィトンチッド効果が得られないということはないんです。家の中に自然素材のもの、例えば木材製品を多く取り入れて接することで、フィトンチッド効果が十分に得られるのです。でもこれは感覚でなんとなく分かるもの。人工素材のものより木材の家具の方が癒しを感じますよね。

ところで先人の知恵とはすごいものです。昔から知らずのうちにも、生活の中にフィトンチッド効果は取り入れられていました。フィトンチッドの抗菌作用のことは知らなくても、痛みやすい食品を葉で巻いて殺菌したり、ある特定の木で家具を作り防虫効果を得る。または菖蒲湯に浸かれば疲れを取り体を丈夫にしてくれることを知っていたのです。

さて、暮れが近くなると、日々慌ただしくなり気分が休まらないことも多いと思います。なかなか自然の中へ出かけていく時間は、取れないかもしれません。でもそんな場合には家の中や仕事場に観葉植物を置いてみてはどうでしょうか。机の上に小さな鉢を置くだけでも良いのです。フィトンチッド効果でリラックスでき、もうひと頑張りできるかもしれません。


writer:Akina