内田裕也と行定勲監督がロマンポルノのイベントに登壇

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ロマンポルノ・リブート・プロジェクト第1弾『ジムノペディに乱れる』の公開を記念し、本作の行定勲監督がインスパイアを受けた傑作ロマンポルノ『嗚呼!おんなたち 猥歌』の上映&トークイベントが、12月8日に新宿武蔵野館で開催。主演の内田裕也と、行定勲監督が登壇した。先日、滞在先のロンドンのホテルで転倒した内田は、入院中のリハビリセンターから会場に直行。満身創痍の体でマイクを取り、当時高畑淳子がクランクイン前日にドタキャンしたことを暴露した。

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体を支えられて登場した内田は「帰ってきてから調子が良くなくて。いまも尾てい骨が痛くて入院してますが、男の約束ということで、ふらふらでたどりつきました」と挨拶。

神代辰巳監督作『嗚呼!おんなたち 猥歌』は、内田自身が神代監督に持ち込んだというロックンローラー内田裕也の半自伝的作品だ。内田は「本当に因縁のある映画です。本当に腹の立つ女優がいて。いよいよ明日から撮影だって時に、プロデューサーから『主演女優が降りたので、一旦中止させてください』と言われ、俺もキレまくって」と静かな怒りを露わにする。

「前日に降板するなんて、この世界にいる価値がない。森光子さんの作品をやってえらいウケたとかいうけどね。そしたらその人の息子が2、3か月前に強姦で捕まったと聞いて。名前は高畑淳子という女です。男同士なら殺し合いになってますよ。でも、人生は面白いもので、そういうことをやるとああいう結果になるのかと、人生を考えさせられた1カ月でした」と爆弾発言。

そこから内田はプロデューサーに交渉したそうだ。「この映画、どんなことがあっても完成させてやると思って。ロマンポルノは脱がなきゃ成立しないから篠山紀信や加納典明に電話をしたんです。そしたら篠山紀信が『素人だけどいいよ』と紹介してくれて。オーディションをして、中村れい子が主演に決定した」。

内田は「俺もしょっちゅう捕まってるけどね」と自虐コメントを入れた後「男は捕まらないとダメなんです」と持論を展開する。「それくらいの毒がないと。犯罪を起こせとは言わないけど、そのくらいの覚悟がないと。だから忘れられない1作となりました。ただ、うれしかったのは、映画芸術で荒井晴彦がその年の第2位に選んでくれて、キネマ旬報でも5位に選ばれて、五木寛之さんとか文化人が絶賛してくれたこと。苦労して完成したかいがありました」。

行定監督も「映画の現場って金があるとかないとかは関係なくて、これで終わってもいいやっていうくらいの気迫がある」とうなずく。『嗚呼!おんなたち 猥歌』については「すごい傑作。どの場面も焼き付くんです」と手放しで絶賛する。「この映画がなかったら、『ジムノペディに乱れる』もなかったし、『贅沢な骨』(01)もすごく影響を受けています。本当に感謝しています」と言葉をかみしめた。

最後に内田は「ボツになる寸前の映画が、日本映画史の1ページを飾ったことをうれしく思っています。あと何本作れるかわからないけど、必ずおお!という作品を作りたい。その時の主演は是非、高畑淳子で」とおちゃめに言って笑いを取った。

『ジムノペディに乱れる』は撮れない日々が続く映画監督の古谷(板尾創路)が、鬱屈とした気持ちを抱えながら女の肌の温もりを求めていく様が描かれる。「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」は「日活ロマンポルノ」の生誕45周年企画で、行定監督の他、塩田明彦監督、白石和彌監督、園子温監督、中田秀夫監督も参加した。【取材・文/山崎伸子】