人間が感じることのできない赤外線を、透過するだけで可視光に変換できる結晶をオーストラリアの研究者が開発中です。この技術を応用すれば、暗闇でも見えるメガネや、温度に応じた色を感じられるメガネなどが実現すると期待されています。

Nonlinear Generation of Vector Beams From AlGaAs Nanoantennas - Nano Letters (ACS Publications)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.nanolett.6b03525

Night-vision glasses: Nanocrystals developed at ANU allow direct vision into the infrared

http://www.smh.com.au/technology/sci-tech/nightvision-glasses-nanocrystals-developed-at-anu-allow-direct-vision-into-the-infrared-20161207-gt5vsf.html

オーストラリア国際大学のドラゴミル・ネシェフ教授らの研究チームは、赤外線を、人間が見ることのできる可視光線の波長に変換する機能性の結晶を開発しました。この結晶は厚みが髪の毛の500分の1しかなく、アルミニウム・ヒ化ガリウムを用いているとのこと。



人間の目が感知できるのは波長が360nmから830nmの可視光線だけで、この波長の範囲外の赤外線やガンマ線、紫外線などは感じることができず見えません。そこで、暗闇でも見えるように、わずかな光子を捉えて電子に変換して映像化する暗視スコープが開発されていますが、電源が必要なことと装置が大きくなることから、気軽に使えるものとは言えません。



これに対してネシェフ教授たちが開発している結晶は、人間が検出できない波長の光を可視光に変換できる極めて薄い装置なので、例えば、レンズに結晶をコーティングすることで暗視スコープの性能を持つメガネが実現できるとのこと。また、温度に応じて赤外線を変換できるため、色の違いで温度が分かる検温メガネを作ることも可能だとのこと。「熱い物体は青く、冷たい物体は赤っぽく見えると予想できます。もちろん、実際にこの目で確認するまで赤外線の『色』を知ることはできませんが」とネシェフ教授は述べています。

記事作成時点ではオーストラリア国際大学の研究チームは高密度な単一周波数の赤外線しか可視光に変換できていませんが、今後5年以内にサングラスのように軽量で安価な赤外線メガネの実用化を目指して、アメリカ国防省のDARPAとの共同研究が計画されているとのこと。DARPAの狙いが軍事利用にあることは明白ですが、この結晶は赤外線メガネ以外にも、紙幣の偽造防止装置や夜間でも安全に走行できる自動車のフロントガラスなどにも応用できると期待されています。