糖尿病による失明は眼科検診で防げる(shutterstock.com)

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 アメリカ人(成人)の10人に1人は糖尿病患者だ。糖尿病は重篤な眼疾患や失明などの合併症を発症するリスクが著しく高い。

 だが、「HealthDay News 」(2016年11月10日)によれば、約2000人の40歳以上の1型および2型糖尿病患者を対象に調査したところ、糖尿病患者の約10人に6人は、年1回の眼科検診を受けていない事実が判明した。対象患者の55.5%は女性、平均年齢は59.4歳だ(米国眼科学会の年次集会報告による)。

 特に喫煙者の受診率は20%と低く、糖尿病重症度が軽症で、眼のトラブルがない人はさらに受診率が低かった。

 一方、糖尿病網膜症患者の定期的な眼科受診率は30%だ。糖尿病網膜症は、眼底にある網膜の細い血管が損傷を受けて変形し、出血や体液漏出が生じるため、重篤な視覚障害を引き起こすだけでなく、最悪の場合は失明に至る。

 糖尿病網膜症は、アメリカの糖尿病患者や働き盛りの年代の失明原因の第1位だ。

 この研究を主導したウィルズ・アイ病院(ペンシルベニア州フィラデルフィア)のAnn Murchison氏は、「糖尿病による失明は、眼科検診を年1回以上受診すれば、95%以上を防げることを患者は知るべきだ」と指摘する。

 さらに、米国眼科学会(AAO)臨床スポークスマンのRahul Khurana氏は、「眼科検診を先延ばししなければ、眼科の専門医の検診を受けられ、重大な疾患のリスクを知ることができる」と強調している。

糖尿病の合併症は恐ろしい!失明や両足切断に至るリスクも!

 日本糖尿病学会によると、糖尿病の3大合併症は、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害だ。

 糖尿病網膜症は、長期にわたる高血糖によって生じる細小血管障害だ。その発症率は、罹病期間が長いほど高く、罹病期間が20年を超えると80%以上になる。重症化して視力障害が起きる患者は年間約4000人。成人の中途失明の原因の第2位だ。

 糖尿病腎症は、罹病後約10年で発症する。当初は、高血糖によって糸球体濾過量は高まるため、尿中に微量なアルブミン(タンパク質)が排泄され、蛋白尿となる。その後、糸球体濾過量が低下し、血清クレアチニンの濃度が上昇するので、腎不全に陥り、血液透析が必要になる。

 現在、年間約3万6000人が血液透析を受けている。糖尿病腎症は、糖尿病の原因の43.6%を占め、1998年以来、発症原因の第1位だ。

 糖尿病による高血糖の状態が続くと、足や手などの末梢神経障害と、心臓や胃腸の動き、血圧などを司る自律神経障害が起きる。それが糖尿病神経障害だ。

 末梢神経障害も自律神経障害も、高血糖によって神経がむくみ、高血糖で変性した蛋白がたまり、細い血管が閉塞するため、神経が部分的に死滅する。罹病後5〜10年で発症し、罹病期間が長いほど有病率が高まる。

 末梢神経障害が起きると、手足の指先や足底の違和感、正座後のような足のしびれ、足のつりやこむら返りなどを伴う。足先から左右対称性に現れ、ストッキング状に拡大する。進行すると、神経が死滅する。
長期化・重篤化すればするほど、完治は望めなくなる

 このように長期にわたる高血糖が招く糖尿病の合併症は実に恐ろしい。長期化、重篤化すればするほど、完治は望めなくなる。

 しかも、慢性的な高血糖が続くと、動脈硬化が多発しやすくなるため、心筋梗塞や脳梗塞に陥り、突然死のリスクも高まる。動脈硬化は、がんに次ぐ死亡原因の第2位だ。糖尿病患者の心筋梗塞の発症頻度は非糖尿病患者の約3〜4倍、脳梗塞の発症頻度は非糖尿病患者の約2倍で、若年者も少なくない。

 さらに最近の臨床研究によれば、高血糖によってインスリンが多く分泌されると、認知症、がんの発症リスクも強まる事実が確かめられている。

 糖尿病の予防の基本は、糖質の吸収をゆっくりさせることに尽きる。動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、突然死、認知症、がんを招く恐ろしい糖尿病。日頃から発症メカニズムや血糖値の変化に関心を持ちながら、血糖値をコントロールする生活習慣を心がけてほしい。
(文=編集部)