ポケモンGOの「謎の仕様変更」 広告ビジネス本格化の予兆か

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12月1日、ポケモンGOの新機能「Nearby(近くに居るポケモン)」が北アメリカ大陸全土とヨーロッパの大部分に導入された。ナイアンティックは、これまで一部の地域に限定してテストを行っていた。しかし、最新アップデートでは仕様が大きく変更されており、ユーザーから不満が噴出している。

テスト版では、近くのポケストップにいるポケモンがわかる「Nearby」と、近くにいる野生のポケモンがわかる「Sightings(目撃情報)」という2つのリストが表示されていた。しかし、新仕様では、Nearbyにポケモンが表示されているときには、Sightingsが表示されなくなっている。都市部ではポケストップの数が多く、Sightingsが表示されることはほとんどないため、すぐ近くに野生のポケモンがいても気が付かない可能性がある。

ポケストップが少ない郊外ではSightingsを是非とも活用したいところだが、Nearbyリストに1件でも表示されているとSightingsは非表示になってしまう。ポケストップから遠く離れた辺鄙な場所でもない限り、Sightingsは表示されなくなってしまったのだ。

多くのユーザーは、ナイアンティックが数か月間テストを行ったにも関わらず、このような使い勝手の悪い仕様にしたことに対して不満を抱いている。しかし、筆者はナイアンティックが何らかの意図をもってこのような機能に変更したのだと分析している。

広告ビジネスへの活用か?

筆者が最も有力だと考える説は、ポケストップを活用した店舗向けマーケティングを強化するというものだ。ナイアンティックはこれまでいくつかの地域で「スポンサー付きポケストップ」のテストを実施しており、マクドナルドなどと提携している。

Nearby機能によってどこのポケストップにどのポケモンが出現しているのかわかるようになったため、スポンサー付きポケストップにレアポケモンを出現させれば、店舗側が希望するタイミングで集客を図ることが可能になる。これはポケモンGOならではの画期的な集客策だ。

例えば、あるレストランがポケストップのスポンサーになり、ヒトカゲを出現させたとしよう。すると、ヒトカゲのアメを集めてリザードンに進化させたいプレーヤーはこぞってそのレストランに足を運び、ついでにランチも注文するに違いない。

そのレストランの近くのスターバックスがミニリュウを出現させれば、食後のコーヒーを飲みつつ捕獲しにいく人も多いだろう。こうしたマーケティング施策がナイアンティックと店舗にもたらす経済的メリットは計り知れないが、これはNearby機能があってこそ実現できるものだ。ナイアンティックはこれまで特定のポケストップに特定のポケモンを出現させることはなかったが、店舗向けマーケティングを強化する上でこれを実現することはほぼ間違いないだろう。

訴訟対策の可能性も

2つめの説は、ナイアンティックが訴訟リスクを避けるために行ったというものだ。Sightingsを非表示にしてNearbyだけを表示させれば、プレーヤーはポケストップにしか行かず、危険な場所に足を踏み入れる可能性は減る。ポケストップが100%安全とは言わないが、悪意のある店舗はナイアンティックが常時消去しているため、プレーヤーが事件や事故に巻き込まれるリスクはほとんどない。

しかし、筆者はこの説にはやや否定的だ。ナイアンティックはこれまでにも事故による訴訟を避けるために、高速で移動中のプレイを制限しているが、今回の場合は事情が異なる。Sightingsを非表示にしても、野生のポケモンがいなくなる訳ではない。これまで通り道路の真ん中や治安の悪い地域に出現することはあり、その場所にプレーヤーが近づけば地図に表示されるのだ。

筆者は法律の専門家ではないが、Sightingsが表示される頻度が減らしたからといって、ナイアンティックが法的責任を免れる訳ではないだろう。また、これまでポケモンGOのような種類のゲームは存在しなかったので、プレーヤーが被害に遭ったときの責任の所在はグレーだ。こうした理由から、筆者は今回の仕様変更は訴訟を避けるためではなく、純粋にマーケティング目的だと考えるのだ。

ナイアンティックの意図が何であれ、現状のNearby機能は使い勝手が悪く、改善が必要であることには変わりない。まず、ポケストップのポケモンばかりを表示させるのではなく、より近くにレアなポケモンが隠れていたら、そちらを優先して表示させるべきだ。

また、Sightingsを表示させるか否かは、プレーヤーが選択できるようにするべきだ。ポケストップの少ない郊外に住むプレーヤーは、Sightingsを常時表示させたいと思うだろうし、都会に住むプレーヤーであっても、近くのポケストップに欲しいポケモンがいなければ、Sightingsを確認したいと思うだろう。現状の仕様は、どちらのプレーヤーのニーズも満たしていない。

筆者はナイアンティックに今回の仕様変更の背景を問い合わせているが、まだ回答は得られていない。詳細が判明し次第、改めて読者に報告したい。