WELQのトップページには問い合わせ専用窓口設置のお知らせが

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 まとめサイトやYouTube、ブログ等が世の中にあふれ、個人でインターネットから広告収入を得ている人も少なくない昨今、IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)が運営する“医療情報キュレーションメディア”「WELQ」が炎上した。出典の曖昧な記事やデマや信憑性が低く、さらに薬機法にも抵触しているような記事を量産し掲載していたことが原因で、新興ネットメディアの運営は大手といえども驚くほどいい加減なものが多いことが浮き彫りになる事件だった。11月29日をもってWELQのすべての記事の非公開を決定、同社が運営するWELQ以外の9つのキュレーションメディアについても、12月7日までにすべて公開を中止した。
 
 東京都の丸山麗子さん(仮名・28歳女性)も、そんな「いいかげんメディア」の運営に関わった一人。某IT企業に転職して間もなく、その会社が持っていたポータルサイトの「編集長」にされてしまったのだという。

――突然編集長に?

丸山:前職で編集の経験があったからか、『このサイトで記事をアップして』って言われたんですね。受けたら次の週、編集長の名刺を渡されたんです(笑)。女性向けの美容とかカルチャーの記事を、まずは準備期間1ヶ月ほどで、1人で1日1〜3記事。ビジネスとしてはかなり小さいものでしたが……会社の「負の遺産」をどうにかしてくれる人が欲しかったんでしょうね。

――負の遺産、とは?

丸山:私が入るずっと前からそのサイトはあったみたいなんですけど、有名な会社にサイトを構築してもらったらしくて、ほっといても月に数十万円の維持費がかかるような状態だったんですね……誰もお金に換えることができなかったから、新人にやらせちゃえ! みたいな(笑)。月間PV3万くらいのサイトを、まず3ヶ月で10万にします! という目標でした。

――まずどのように運営を始めたんですか?

丸山:準備期間のうちに、まず昔の仕事仲間に声をかけました。でも、あんまり安いお金では動いてもらえないから、どうにか予算をつけてもらって、1記事3000〜5000円。「安くてごめんねー」なんて言いながら頼んでました。

 後から知ったんですが、実はこれって破格に高いんですよね? この額って他の有名なメディアと同じくらいだったりしました。クラウドワークスみたいなサービスを使って素人ライターを雇えば1記事100円なんていうのもザラで……。

――節約しきれなかったんですね。

丸山:はい。でも、100円とかで書かれる記事なんて面白いわけがありませんよね……。そんな風に準備をしていたら、PVが実は月間1万以下しかないサイトだということが発覚して。でも、あてがわれた目標は変わりませんでした。3万が10万になるのと、1万が10万になるのは相当違いますよね(笑)。

 相当慌てたので、正式に更新をはじめてからは、PVの稼げるようなことはなんでもやりました。例えばNHKのドキュメンタリー番組には「再放送」があるので、1回目を見た後にその内容を取り上げて記事にすると、2回目の放送の直後にPVが稼げるとか……セコいですよね。芸能人をタダで出したかったので、PR会社の知人に頼って記者会見発表に山ほど行って、どうでもいいような発言をムリヤリ女子の教訓にしてみたりとか……そんな流れの中、自然と行き着いたのは「小エロ系記事」でしたね。

――女性向けのエロ系記事……?

丸山:ライターも全員女性だったんですけど、お任せしておくとエロ系の記事ばっかり上げてくるんですよ(笑)。『an・an』が「セックスできれいになる」って言ってる部分はどこなのか女医さんに聞いてみたりとか、行為の時の手の動きがエクササイズになるだとか……バカでしょ? そういう記事ばっかりだったわけでもないんですが、途中まで順調にPVは上がりましたね。

――目標は達成したんですか?

丸山:1ヶ月遅れで達成しました。でもその先のことは何も考えてなかった。「売れるサイト」にするには特定のジャンルのキーワードで検索に強くなることが必要だったりするんですが、うちのサイトはPVを上げることだけに照準を当てて運用してたので、特定のエロ系ワードにだけ異様に強い感じでした。

 PVが上がっても、収益は上がらないまま……でも、私もみんなも当時はわかってなかったんで、誰にも怒られたりしませんでしたね……。

――サイトはどうなったんですか。

丸山:その後もしばらく続けていましたが、予算削減である時静かに閉じていくことになりました。サイトオープン時にすでに2000万円、私が入るまでに3000万円かかっていたサイトは、どうでもいい記事を世の中に撒き散らして消えたんです。でも、ゴミみたいなサイトをネットの海に残しちゃうより、うちのサイトはちゃんと消えたから、まだマシかな……と思っています。