11月の「チャイナリスク」関連倒産は13件(前年同月比116.6%増)で、前年同月から倍増した。負債総額も69億6,200万円(同321.1%増)と、大幅に増加した。
 2016年1-11月累計は103件で、2015年の年間件数101件をすでに上回った。本調査を開始した2014年以降で最多だった2015年を上回り、最多記録の更新を続けている。
 1-11月累計の負債総額は698億1,400万円(前年同期比69.7%減)にとどまった。2015年9月に第一中央汽船(株)(TSR企業コード:291084648、東京都、負債1,196億700万円)が民事再生法の適用を申請したが、2016年はこれに匹敵する負債額の倒産はなく、2016年の負債総額は低水準で推移している。
 なお、倒産に集計されないが事業停止や破産準備中などの「実質破綻」は、11月は2件発生した(前年同月は1件)。


  • 「チャイナリスク」関連の集計基準
    「チャイナリスク」関連の経営破綻は、破綻の原因が次の8項目のどれかに該当するものを集計している。
    1. コスト高(人件費、製造コストの上昇、為替変動など)
    2. 品質問題(不良品、歩留まりが悪い、模倣品、中国生産に対する不信など)
    3. 労使問題(ストライキ、工場閉鎖、設備毀損・破棄など)
    4. 売掛金回収難(サイト延長含む)
    5. 中国景気減速(株価低迷、中国国内の消費鈍化、インバウンドの落ち込みなど)
    6. 反日問題(不買、取引の縮小、暴動など)
    7. 価格競争(中国の在庫調整に伴う相場下落、安価製品との競合など)
    8. その他
    ※ 2016年4月の発表分から、より実態に即した集計とするため、集計基準に「7.価格競争」、「8.その他」を追加した。2016年3月以前の発表分についても遡って計上している。
    ※ 「チャイナリスク]関連の経営破綻は、下記の「倒産の定義」のいずれかに該当するケースを「倒産」として集計。「事業停止」や「破産申請の準備中」などは、倒産とは区別し「実質破綻」としている。
  • 倒産の定義(対象:負債額1,000万円以上の法人および個人企業)
    A. 会社更生法、民事再生法、破産、特別清算を裁判所に申請した企業(法的倒産)
    B. 手形決済などで6カ月間に2回の不渡りを出し、銀行取引停止処分を受けた企業(私的倒産)
    C. 企業が経営破綻により事業継続を断念したが、法的手続きを採らず弁護士などに事後を一任して私的整理(内整理)を明らかにした企業(私的倒産)
    ※「チャイナリスク」関連倒産の集計開始は2014年1月。

チャイナリスク関連倒産月次推移

 2016年1-11月累計の「チャイナリスク」関連倒産は103件で、2015年に記録した年間101件を上回り、2014年に本調査を開始して以降の最多記録を更新中だ。
 要因別では、「コスト高」が64件で最も多い。一部の日系企業は、豊富で安価な労働力に魅力を感じ生産拠点の中国移転や現地調達比率を高めることで、収益力を高めてきた。だが、最近の中国国内の人件費高騰や為替変動で計画通りに採算を確保できず、苦慮する日系企業が増加している。
 「中国景気減速」は7件で、前年同期の4件からほぼ倍増した。内需不振を外需の伸び、とりわけ中国向け販売でカバーする戦略を採ってきた日系企業も少なくないが、改めて内需掘り起しや中国以外の海外展開が必要になっている。
 産業別では、最多は卸売業の58件(構成比56.3%)、次いで製造業の32件(同31.0%)で、この2産業で全体の約9割(同87.3%)を占め、中国への製造依存の高さを示している。
 産業を細分化した業種別では、「繊維・衣服等卸売業」、「繊維工業」、「なめし革・同製品・毛皮製造業」など、アパレル関連が51件(構成比49.5%)と全体の半数を占めている。
 チャイナリスクの日系企業への影響はまだ沈静化していないだけに、当面はアパレル関連業種を中心に月10件前後のペースで発生する可能性が高い。