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日本国内でも旅客鉄道系電子マネーや、一部のスマートフォンで利用可能なポストペイ(後払い)など、多くの場面で電子決済が普及しつつある。今回は、PayPalの新カントリーマネージャー就任会見を軸に電子決済がビジネスに与えるインパクトについて考えていきたい。

1990年代からクレジットカード型電子決済サービスを手がけてきたPayPalだが、新たに日本のカントリーマネージャーとして、2016年10月3日に曽根崇氏が就任。前カントリーマネージャーであるElena Wise氏に退職に伴い、マーチャントサービス担当ディレクターだった同氏が内部昇格した形となる。

同社は12月6日に都内でプレスブリーフィングを開催し、自社のビジネス進捗状況や今後の注力ポイント、FinTechを含めた戦略について、「今後もオンライン化・デジタル化に加えて安全性や信頼性を同時に実現するのがミッション。さらに進化していくFinTech業界でも顧客中心のサービスを展開したい」(曽根氏)と語った。

1999年に設立し、2002年のeBayによる買収、2015年の独立と長年にわたって決算サービスを提供してきたPayPalは、グローバルミッションとして「カスタマーチャンピオン」を掲げ、顧客が満足するサービスの提供を目指している。このキーワードを紹介しながら曽根氏は「日本でも同じマインドセットを持って行う」(曽根氏)と自社の方向性を表明した。

PayPalはアカウント間で電子決済を行うソリューションだが、同社の説明によれば、200国以上の地域で100通貨での決済に対応し、25(日本は22)種類の通貨に口座が対応している。その結果、グローバルにおける2015年度の売り上げは約282ビリオンドル。アクティブアカウント数は約179ミリオン/人、決済件数は4.9ビリオン/回、モバイル決算は約66億ドルを占める。さらに2015年度第3四半期と2016年度第3四半期の成長率を見ると、売上高は87ビリオンドル(25%増)、アクティブアカウント数は192ミリオン/人(11%増)、決算件数は1.5ビリオンドル(24%増)と著しい成長を見せる。モバイル決算高について曽根氏は後日明らかにすると述べつつも、「44%増。EC(電子商取引)における決済のグローバルスタンダード」(曽根氏)と強気の姿勢を見せた。

曽根氏は就任の1年半前から思案していた注力ポイントとして、「中小企業スタートアップ」「訪日観光」「モバイル」と3つのキーワードを掲げ、「日本のビジネスを待ち受ける3つのチャンス」(曽根氏)と説明する。まず"中小企業スタートアップ"は、一般社団法人Eコマースコンサルタント協会「JECCICA」と共にECを取り巻く現状の課題理解を行いつつ、スタートアップ企業への積極的関与を行ってPayPal APIへの理解を深める。曽根氏はPayPalのクライアントとして、家事代行サービスのANYTIMESや、モバイルキャッシュのCASHbなどの名前を並べた。さらにパートナーシップの拡充として、2016年10月に大手企業向けECパッケージ提供企業であるecbeingと提携し、PayPal利用者の拡充を図っている。「純増数に限っても2桁パーセントで成長中」(曽根氏)と存在感を強調した。

次の"訪日観光"に関しては、訪日外客数の増加傾向を踏まえて宿泊施設の予約決済に注力する。ブッキング(予約)エンジンとの連携を進めながら同分野に注力した結果、2016年度は新たに6社との提携を実現(合計8社)。さらに日本旅館協会と提携し、同協会加盟の2,800施設へPayPal利用促進を進めている。現時点で100施設以上の新規申し込みがあると説明しているが、まだその数は心許ない。その理由として曽根氏は「発表は6月だがエンジン連携を終えたのが9〜10月と、実際に動き出したのが第3四半期から。数カ月という期間を鑑みれば悪くない数字」(曽根氏)と述べ、2017年度もこの数字を増やしていくと表明した。

そして"モバイル"に関しては、利用者の割合がPCからモバイルへシフトしていることを鑑み、アプリケーションのUI改善を行っている。また、異なるECでもそのままPayPalの決済を可能にし、IDやパスワードの入力頻度を大幅に軽減させる「OneTouch」もリリースする。

さらに曽根氏は日本のビジネスを広げるため、3次元的アプローチが必要だという。それぞれにシェア(占有率)、機能性、カバレッジ(訴求範囲)という角度から、デジタルコンテンツ・デジタルグッズ市場の成長に伴うPayPalの関与。コンシューマーの利用者数増加をうながすキャンペーンの実施、グローバルで行っているVISAやMasterCard、Ali Babaグループとの提携を日本市場でも進めていく。「(グローバルではローンチ済みでも)日本では未展開サービスもある。日本市場のトレンドや顧客ニーズの状況、ビジネスの進捗度合いを見ながら、適切なサービスを展開する」と述べた。

阿久津良和(Cactus)

(阿久津良和)