By Rex Hammock

クラウドファンディングサイトのKickstarter上では、日々さまざまな製品やサービスが生まれています。そんなKickstarter上で出資を募り製品を作ったことのある人物が、自身の経験を共有し、「Kickstarterで製品を作るときのポイント」を明かしています。

How we turned $140k on Kickstarter into $40k in debt. And how we broke even.

https://hackernoon.com/how-we-turned-140k-on-kickstarter-into-40k-in-debt-and-how-we-broke-even-1f86d80fe50f

ジョン・ティーズディルさんは、友人たちと共にクラウドファンディングサイトのKickstarter上で大統領候補者討論ゲーム「The Contender」への出資を募集しました。プロジェクトは成功し、最終的にジョンさんたちは12万7827ドル(約1500万円)という資金をKickstarterから受け取ったそうです。これはKickstarterで出資を募ったことがない一般の人からすると大金に思えるかも知れません。しかし、ジョンさんたちがKickstarter上でプロジェクトをスタートして実に440日が経過していますが、2016年の11月22日になってようやくプロジェクトで負った借金をすべてを返済し終えたそうで、結局もうけはゼロだったそうです。

The Contender - thecontender.us



ジョンさんたちが作った「The Contender」がどんなゲームなのかは以下のムービーを見ればわかります。

The Contender Rules - YouTube

Kickstarter上でプロジェクトを主導したジョンさんですが、特に大きな2つの問題に遭遇しました。ひとつは「どこで製造するか」で、もうひとつは「製造にいくらかかるか」でした。

◆1:どこで製造するか

製造場所のオプションは2つで、アメリカと中国のいずれかだったそうです。アメリカで製造する場合のポイントは、「『メイドインアメリカ』のブランドを得られること」「中国で製造する場合よりも素早く出荷が行えること」「工場に訪れることも可能なので、製造側とのコミュニケーションが容易なこと」「品質などで問題が出た場合に修正が素早く行えること」の4点です。対して、中国で製造する場合の利点は2つで、「アメリカで製造するよりも50%も安く作ることができる」「ジョンさんが以前に中国の工場でゲームを製造したことがあり、工場側とも良い関係を持っていた」というものでした。

チームでミーティングした結果、The Contenderはアメリカの工場で製造されることとなりました。理由は簡単で、クリスマスまでに製品を出荷したいと考えていたからだそうです。

ジョンさんたちのチームがThe Contenderの製造を依頼したのは、アメリカでウノやカタンの開拓者、マジック・ザ・ギャザリングなどのテーブルゲームの製造を請け負う企業でした。ジョンさんたちは工場の持つノウハウが、The Contenderの製造の役に立つと考えてアメリカの工場に製造を依頼したわけです。しかし、大企業は多くの大企業と働いており、仕事ではそういった「大企業との仕事」を優先させます。こういったことについて、大企業が「悪い企業」とは言えないものの、ジョンさんは「我々のような小さな組織の挑戦を理解してくれるベンダーに頼むべきだった」と語っています。

これらの経験からジョンさんが気づいたのは、「自分の会社と同じような規模の企業との実績がある製造先を選ぶ」というものだそうです。



By Thomas Berg

◆2:製造にいくらかかるか

もしもKickstarter上でプロジェクトをスタートさせて製品を作る場合、資金面で気をつけるべき点が2つあるとジョンさん。ひとつは「自分が製品を作るために調達しなければいけない資金」で、もうひとつは「企業をスタートするために調達する必要のある資金」。ジョンさんたちの場合、企業を作るのになんと15万ドル(約1700万円)の資金が必要だったそうで、これだけでKickstarter上で集めた資金以上のものが必要だったことがよくわかります。

Kickstarter上でプロジェクトがスタートすると、The Contenderは月に4000個売れたそうです。もしもこの勢いが続けば、計算上、選挙が終わるまでにThe Contenderは2万個売れる計算となったそうですが、もしも2万個の製造を発注すれば、ジョンさんたちは4万ドル(約460万円)の負債を背負うことになってしまいます。しかし、発注した2万個をすべて売り切ることができれば、ジョンさんたちは15万ドルの儲けを出すことができる計算でした。

以下のグラフは横軸が時間、縦軸がThe Contenderの合計売上を示したもの。グラフを見るとわかる通り、徐々に売れてはいるものの、Kickstarter上のプロジェクトが終了した途端、その売上が伸び悩んでいることがわかります。



以下のグラフは横軸が時間、縦軸がThe Contenderの合計売上を示し、赤色の線がKickstarterでプロジェクトを発表した際の勢いのままに売上が伸びると仮定した場合の売上数値の変化、黄色線は実際にジョンさんたちが予測した売上数値の変化、緑色の線が実際の売上数値の変化、そして青色の線は売上と費用の額がちょうど等しくなる損益分岐点を示しています。



このことから、ジョンさんは「Kickstarterのプロジェクトが終了した後にも製品の販売を考えているなら、多くともKickstarter上で売れた数の倍程度にしておくべき」としています。

その他、ジョンさんは自分たちが遭遇した問題として「在庫を保存しておく場所」や「Kickstarter後にどうやって製品を売るか」などを挙げています。実際にジョンさんたちはFacebookやYouTubeなどで複数回広告を出したそうですが、実際にそれらが売上に貢献することはほとんどなかったそうです。その代わりに、アイオワで行われた党員集会や予備選挙に合わせてニュースサイトなどで記事広告を出すと、The Contenderの売上は大きく伸びたそうです。