1

By Jay Parker

2020年の実用化に向けて開発が進められている自律走行車両(自動運転カー)ですが、研究が進むにつれて解決すべき課題が明らかになっているようです。道路状況などが理由で車両が自動運転モードから手動運転に切り替わった際、運転を引き継いだ人間のドライバーがハンドルの感覚を正しく持つことができず、適切なハンドル操作をできない可能性が判明しています。

Taking back control of an autonomous car affects human steering behavior, Stanford research shows

http://news.stanford.edu/press/view/11665

New study: Humans may falter when taking control of self-driving cars | Popular Science

http://www.popsci.com/new-study-humans-may-falter-when-taking-back-control-self-driving-cars

この研究を行ったのはスタンフォード大学に所属する複数の分野の専門家による研究チームです。実験では、22人のドライバーに実験用の特殊な車両を運転させ、自動運転から手動運転に切り替わった際の反応を記録しました。

実験に用いられたのは、一定の自動運転機能を備えたオリジナルの車両で、自動運転と手動運転を自由に切り替えることが可能になっています。また、ハンドル操作の感度を変更できるようになっているのがポイント。ハンドルを同じ角度だけ回しても実際のハンドルの効きを強くすることができるようになっており、実際のスピードよりも速い速度で走行している状態をシミュレートできるようになっています。



実験では各ドライバーに走行時間15秒程度のコースを走行させ、直線走行と車線変更を行わせました。次に、車両の自動運転モードをオンにして、最初のスタート位置に自動で戻るというサイクルを4回繰り返させました。そしてさらに、今度はハンドルの感度を変化させた状態での走行を10回行い、速度によるハンドルの切れ具合を体験させます。これにより、ドライバーは車両のハンドルの効き具合を把握し、「速度が速い時はハンドルをゆっくりと切る」ということを体に覚えている状態になります。

そしてここから、最も重要な「自動運転からの運転引き継ぎ」の実験を行います。実験に際し、ドライバーにはハンドルの感度が変更されることを事前に知らせており、不意を突く状況ではないことが説明されています。ドライバーは同じコースをまずは自動運転モードで走行し、そこから運転を引き継いで車線変更を行いました。すると、ほとんどのドライバーが「ハンドル切れすぎ」の状態に陥って、ハンドル修正を行ったことがわかっています。

この結果について、論文の共同著者の一人であるスタンフォード大学のLene Harbott氏は「事前にハンドル特性の変更について知らされ、運転操作の違いについてあらかじめ予測しておくことが可能だったにもかかわらず、各ドライバーは通常とはまったく違うハンドル操作を行い、下手な運転になっていました」と語っています。参加者はその後、ハンドルの設定を元どおりにした状態で同様の運転を行い、自動運転でスタートラインに戻るというサイクルを6回繰り返したのですが、この状態になれるまでにある程度の時間を要したとのこと。これは、もとの状態を再現しただけであるにもかかわらず、一度惑わされた感覚を取り戻すだけでも時間がかかることを意味しています。



By Eric Chu

この実験からは、自動運転カーに運転を任せていた人間が、いざ運転に復帰しなければいけない状況に直面した時には、特にスピードの違いによって生じるハンドル特性の違いにうまく対応できない可能性があることがわかってきています。特に、自動運転カーが運転をドライバーに任せるような状況は高い判断が求められるケースも考えられるわけですが、そこでハンドル操作の感覚の違いが生じるということになれば、運転の引き継ぎは容易ではないものになる可能性が考えられます。

このような、ほとんどのドライバーが体験したことがない状況における反応の違いは、まだまだこれからも明らかになってくるものと考えられます。前出のHarbott氏は「これは氷山の一角です」と見方を示しています。



By Benjamin Vander Steen