「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」のほか、「ダウンタウンDX」(日本テレビ系),「水曜日のダウンタウン」(TBS系)などの構成も手掛ける放送作家・高須光聖

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「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」(日本テレビ系)の大みそか恒例の超大型特番「笑ってはいけない」シリーズから、'15年に放送された「絶対に笑ってはいけない名探偵24時」が、ついにブルーレイ&DVDとなって登場! そして、ことしの大みそかも新作「絶対に笑ってはいけない科学博士24時!!」の放送が決定!! 

高須も毎年楽しみにしているという“お料理褒め替え歌”。「名探偵24時」では、浜田が“カツ丼”をお題に珍フレーズを連発!

今回は、10年以上続く「笑ってはいけない」シリーズを陰で支え続ける放送作家・高須光聖にインタビュー。「笑ったら罰を受ける」という当企画の原点や、仕掛ける側の苦労、さらに幼なじみだからこそ語れる“ダウンタウンが「笑ってはいけない」に挑戦し続ける意義”まで、お笑い愛に満ちた持論を披露してくれた。

――まずは、今回DVD化された「絶対に笑ってはいけない名探偵24時」について。特に印象に残っているシーンはありますか。

柳楽優弥くんが、助っ人として“鬼ごっこ”(「捕まってはいけない名探偵24時」)に参加してくれたのがうれしかったです。彼は昔から「笑ってはいけない」の大ファンらしくて、実は、その前の年(「絶対に笑ってはいけない大脱獄24時」'14年)に出てくれるかも、という話もあったんです。

でも、スケジュールの都合で実現できなかった。だから今回、柳楽くんも僕らも、念願がかなったということでなかなか感無量でしたね。ただ実際は、江頭(2:50)さんに捕まって悲惨なことになってましたけど…。またぜひ出ていただきたいです、怒っていなければ(笑)。

――高須さんは仕掛けを考える側ですが、「これは見事に決まったな」というネタは?

やっぱり、山ちゃん(月亭方正)の“ケッコー仮面”のくだりですね。「10分間連帯責任カード」を松本(人志)があの場面で使ったからこそ、それまでの力関係がガラッと変わって。覆面かぶってケツ丸出しでメンバーを笑わせようとしてた山ちゃんが、生のお尻をバシバシたたかれて、一気に劣勢に立たされるっていうね。

かわいそうやったけど、笑いが生まれる流れとしては完璧でしたよね。僕らとしても、「10分間連帯責任カード」がちゃんと機能するかどうか少し不安やったんで、狙い通り…というか、狙ってた以上の展開になってよかったなと(笑)。

――毎年そんなふうに、スタッフの皆さんは、先の流れを読みながら撮影していると思うんですが、当てが外れることはないんですか?

いや、いつもスタッフみんなで綿密にシミュレーションを繰り返すので、ほぼほぼうまくいきますね。もちろん成功率100%とは行きませんけど。

――蝶野正洋さんの方正さんへのビンタの制裁も、お約束の流れがありつつも、最後までどうなるか分からないスリルもありますよね。

蝶野さんのビンタは「(絶対に笑ってはいけない)病院24時」('07年)から始まったんですけど、お約束を裏切ろうにも、もういい加減、パターンがなくなってきてるんですよ(笑)。

だから最近は、裏切るというよりは、山ちゃんが犯人に仕立て上げられてビンタされるまでのプロセスを楽しんでもらおう、みたいな(笑)。毎年、会議ではいろんな意見が出るんですけどね、「ターゲットを変えるべきだ」とか、「いや、方正じゃなきゃダメだ」とか。

――今年の大みそかも期待しています!(笑) では、「名探偵24時」の中で、高須さんが一番お気に入りの仕掛けは?

仕掛けではないですけど、料理の替え歌のコーナー(「褒めて歌って! お料理即興昭和のアイドルソング替え歌」)は笑いましたね。毎年面白いけど、「名探偵24時」のときは特に、浜田(雅功)の天然の部分が出てるのが秀逸でした(笑)。

――替え歌といえば、毎年エンディングで流れる、奥田民生さんや藤井フミヤさんといったアーティスト本人が歌うヒット曲の替え歌も恒例ですね。

皆さんよく怒らずに歌ってくれますよね(笑)。本当に感謝ですね。「名探偵24時」のエンディングを担当してくれたEvery Little Thingも、快く歌ってくれて。「fragile」という名曲に、あんなくだらない歌詞を付けてるのに(笑)。逆にいえば、すごく貴重やと思いますよ。エンディングの曲を聴くだけでもDVDを買う価値があるんちゃうかな。

――お笑いファンの間では、「絶対に笑ってはいけない空港24時」('11年)以来恒例になっている、出川哲朗さんと上島竜兵さんの体を張ったリアクション対決も、今や貴重な企画だと評判です。

ありがたいことに、2人とも毎年秋口くらいからスケジュールを空けて待ってくれてるんです。テッチャン(出川)なんて、海外ロケの予定をわざわざ調整までしてくれて。そこまで気負っておいて、実際やってることは、洋服を熱湯に浸してから1分以内に着替えるとか、お腹に空気をためた状態で腕相撲をして、屁をこいた方が負けとかっていうね、そのバカバカしさがまた素晴らしいじゃないですか(笑)。

腕相撲のくだりなんか、うちの家族は全員ドン引きですけど、思春期のおいっ子だけは大爆笑なんですよ。2人のリアクション対決は、いくら下品だと言われても、喜んでくれる子供たちがいる限り続けたいです(笑)。

――このシリーズにはたくさんの“笑いの刺客”が登場しますが、シリーズ全体を振り返って、特に印象に残っているゲストは誰でしょうか?

僕がまず思い出すのは、「(絶対に笑ってはいけない)スパイ24時」('10年)の仁支川峰子さんと、かたせ梨乃さん。お互いに敵対している“極道の妻”風の受付嬢を全力で演じてくださって。

他にも、大地真央さんが演じた“林家マー子”(「絶対に笑ってはいけないホテルマン24時」'09年)とか、ヒロシになりきってネタを披露してくれた萬田久子さん(「絶対に笑ってはいけない熱血教師24時」'12年)とか、女優さんが印象深いですね。

皆さん、「こんな風にやってください」っていう僕らのリクエストをすぐに理解して、完璧に演じられるのがすごいなと。演技力は確かな方ばかりですから、当然といえば当然なんですけどね。

――ゲストの方々は皆さん、最初からノリノリなんでしょうか? 中には及び腰の人も…?

いや、皆さんオファーを受けた時点で、どういう企画なのかを理解して、腹をくくって来てくださっている感じです。僕らスタッフとしては、台本通りに一語一句やれば絶対に面白くなるって信頼してくださっているのが何よりうれしいですね。

そういえば、萬田久子さんからオンエア直後にお礼の電話をいただいたのもうれしかったです。「今までにないくらい、たくさんのメールや電話がありました。ありがとうございます!」って。

――有名な役者さんが思ってもみないキャラで登場するのも、このシリーズならではですよね。

ドリフ(ザ・ドリフターズ)のコントにゲストで加わるみたいな形はこれまでにもありましたけど、“笑いの刺客”という役回りは、今まであんまりなかったかもしれませんね。何せ、もしウケなければ自分の責任になるわけで、皆さん現場ではずっと緊張されていて。そんな役者の方々のストレスを考えたら、僕らスタッフは大変だなんて言ってられないですよ。

――10年以上続く「笑ってはいけない」ですが、「これは長寿企画になりそうだ」と手応えを感じた瞬間はありましたか?

長時間かけて撮影するドキュメンタリー的な笑いっていう意味では、“廃旅館(「松本一人ぼっちの廃旅館1泊2日の旅」'01年)”のときに手応えみたいなものはあったんですけど、「笑ってはいけない」というルールが一つあれば、いろんな形に発展させていけるなって思ったのは、「(絶対に笑ってはいけない)高校」('05年)をやったときかな。

「高校」の前に、「温泉宿」という設定で2回やって(「絶対に笑ってはいけない温泉旅館の旅」'03年、「絶対に笑ってはいけない温泉宿 1泊2日の旅in湯河原」'04年)、2回ともすごく面白かったんですけど、面白かっただけに「次はどうしよう?」って感じだったんですよ。

でもその後、松本(人志)から「高校を舞台にしよう」っていうアイデアを聞いて。「それは絶対に面白くなる!」って瞬時に思いましたね。国語とか英語とか体育とか、いろんな授業があって、給食もあって…っていう学校の一日の大きな流れの中で、いろんな笑いが仕掛けられてるっていうのは、ある種、延々と集団コントをやってるようなもので(笑)。

例えば、高校の生徒たちに混じってムッシュかまやつさんがいる。エキストラの子に「おい、かまやつ!」って名前を呼ばれて返事をする、その違和感だけでもう、笑いとして成立してるんですよ(笑)。

――実際その後さまざまなシチュエーションを展開してきたわけですが、設定を考える上で何か気を付けていることはありますか?

メンバー5人、キャッチーな服装ができるような設定にしたい、というのは割と意識してますね。6時間の放送の中で、5人だけしか映っていない時間も結構長いので、なるべく5ショットの画を、漫画みたいに分かりやすくしたいんです。

だから例えば、空港だったらパイロットじゃなくてCAにするとか、病院だったら医者じゃなくてナースにするとか。女装させることでインパクトも出ますし。

――このインタビュー連載ではこれまで、月亭方正さん、遠藤章造さんに登場いただいたんですが、お2人とも口をそろえて、「去年の『名探偵24時』が『笑ってはいけない』シリーズの最終回だと思っていた」とおっしゃっていて、非常に驚いたんですけれども。

だって、もうやることないですもん(笑)。ただまぁ、「笑ってはいけない」っていうルールの下でひたすら面白いことを追求できるというのは、笑いをなりわいとするわれわれにとっては、とても幸せな環境だと思うので、何とか続けたいという気持ちも当然強いんですけど。

――その結果、ことしも新作「絶対に笑ってはいけない科学博士24時!」の放送が決定しました。現在(10月下旬)、ロケの準備を進められているそうですが、どんな内容となりそうですか?

いや、実はまだ全体の6割くらいしか決まってなくて。途方に暮れてるところです(笑)。

――ちなみに例年、どのような流れで内容が決まっていくのでしょうか。

だいたい毎年9月ぐらいから会議が始まる感じですね。3つの班に分かれて、とにかく会議。12時間ぶっ続けで会議、なんてこともザラにありますよ。

――「笑ってはいけない」シリーズがここまで続いてきた背景には、ダウンタウンのお2人の中にも、「続けたい」という強い意志があるのではないかと思うのですが、そのあたりはどう思われますか?

まぁ、「もうやめたい」っていうのが本音だとは思いますけど(笑)。ただ、これはあくまでも僕の考えですけど、今や大御所と呼ばれるほどの実力とキャリアを持った松本と浜田が、「笑ってはいけない」のような体力勝負の企画に毎年挑戦するのは、実はすごく意味のあることやと思うんです。

若い人たちの中にはもしかすると、ダウンタウンに対して「いつもスタジオでエラそうなことを言ってる芸人」というイメージを持ってる人もいるかもしれませんけど、そんな2人が、これだけ走ったり驚かされたり、恥をかいたりするのは、すごく大事なことなんじゃないかと。

言わば、ダウンタウンの2人にとって「笑ってはいけない」は、1年間の“禊(みそぎ)”みたいなものなのかもしれませんね。2人がケツをたたかれてるのを見て、「ざまあみろ!」って思ってる視聴者もいるかもしれないし(笑)。

――ともあれ、あのダウンタウンが若手芸人よろしく全力で取り組んでいるところが、「笑ってはいけない」シリーズの大きな魅力である、と。

そう思います。こんなこと言うのはちょっと気が引けるんですけど、2人とも一見やられっ放しのようで、実は決してそれだけじゃないんですよ。2人の何げない言動も、意外と次の展開への伏線になっていたりもするので、そういった細かいところにも注目してみてほしいですね。