アメリカ最大の賭博都市、ラスベガス

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 既に報じられているように、通称カジノ法こと総合型リゾート(IR)推進法案が衆院で可決され、日本にもこれからカジノが生まれる可能性が高まっている。ギャンブル依存症の問題、既存の公営ギャンブルとの兼ね合いなど論点は様々であるが、本稿で筆者はただ一つのことを論じよう。「カジノは儲かるのか?」である。最初に結論を述べる。カジノの客は、長期的には、何をどうやっても絶対に儲からない。カジノの経営者は、やり方次第で大きく儲かる。これが全てである。

 カジノで客が儲けを出す方法は一つしかない。勝負を短時間・小回数で終わらせることだ。仮にゲームはルーレットの赤・黒で、出目が半々、配当は1,8倍とする。黒に1万円賭けて当たり、1万8,000円が返ってきたとする。そうしたら、即座にカジノを後にするのだ。これで、半々の確率で、8,000円の利益を出すことができる(外れたらそれまでだが)。現状カジノに何度も行くような日本人はそもそもそんなに多くないので、この現象はよく「ビギナーズラック」と呼ばれている。

 もしここで調子に乗ってゲームを続けるとどうなるか?簡単である。確率論に基づいて、所持金は限りなく期待値に収束されていく。要するに、続ければ続けるだけ負ける。古典落語『三枚起請』の中で「博打は止しねえ、場で朽ちるからバクチって言うんだぜ」と語られる所以である。

 もっとも、世の中には「カジノ必勝法」などと銘打たれた情報が溢れている。あれは何なのか?実態は2種類ある。一つは、単なるインチキかオカルト。二つ目は、マーチンゲール法、カウンティングなどの、実在することはするがほぼ全てのカジノで既に対策が為されているテクニックを必勝法と偽っているもの、である。

 マーチンゲール法は倍々法とも言い、負けるたびに掛け金を倍にしていき、何回目で勝っても配当が一定になるようにする手法。カウンティングとは、カードゲーム「ブラックジャック」の技法で、既に場に出たカードを暗記して、次の手を高い精度で予測する方法である。歴史的にはかつて本当にカジノの必勝法だったこともあるのだが、遠い昔に対処法が確立され、現代では実践は不可能である。

 さて、翻ってカジノの胴元の儲け方を考えてみよう。カジノの経営者が儲ける為に大切なことは何か?これも二つに集約できる。一つは、たくさんの客を呼び込むこと。二つ目は、客にとにかく長時間プレイさせることである。

 勝ち逃げしようとする客を引き留めたり、凄腕のディーラーに目配せして大賭けする客(専門用語でハイローラーという)のベットと逆の目を出させたり、などということは、映画や小説の中ならいざ知らず現実にはまず行われることはない。実際のところ、一人のハイローラーから大金を巻き上げるより、百人なり千人なりの一般客に少しずつ金を落とさせた方が安定して儲かるからである。

 むしろ、「ギャンブルの内容どうこう」よりも、どこにどういうカジノを作り、どうやって客を呼び、リピーターとして押さえるか、ということの方が遥かに大切だ。それが「カジノを経営するということ」なのである。

 カジノにはそもそも大きく二つの種類がある。ヨーロッパ型とラスベガス型だ。日本のカジノ法は後者を志向しているようだから、ヨーロッパ型については論じない。ラスベガス型カジノは、大型のホテルなどと併設した巨大なカジノを作り、宿泊やサービスを安く提供する代わりにカジノで金を落とさせる経営方式を取る。

 こういったカジノは、とにかく大規模で集約的である。箱根でも伊豆でもどこでもいいが、とにかくカジノを作る場所に多くの観光客を呼ぶこと、それ自体ができなければどうにもならないのだ。内需だけでは回しきれないだろう。つまり、当たり前といえば当たり前ではあるが、日本の国際観光産業の振興そのものが、「カジノ立国日本」の成立の為には不可欠なのである。

 カジノを作ったら海外からどんどん客が来る、などと甘い幻想を抱いてはいけない。「カジノを作ったら、今以上に海外からどう客を呼び込むかを考えなくてはならなくなる」というのが正確なところである、と筆者は見ている。

 さて、日本の挑むこの大きな賭けは、勝ちの目を引くことができるのであろうか。