英国のEU離脱でポンド・ユーロ資産はどうなる?

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英国通貨・ポンドの値動きが乱調だ。背景にあるのは、もちろん英国の欧州連合(EU)離脱問題である。

2016年6月、英国のEU離脱が国民投票で決定された際には、ポンドがドルに対して一時10%も暴落し、マーケットは混乱に陥った。

さらに、この10月にも国民投票後に就任した英国のメイ首相が、経済へのテコ入れより移民制限を重視する姿勢を見せたことを契機として、やはりポンドは下落している。

以前からポンドと足並みを揃えて動く傾向が強い欧州通貨・ユーロも、軟調に推移している点は同じだ。外貨預金やMMFなどで、ポンド・ユーロ資産を保有する人の中には、不安な思いの人もいるかもしれない。

そこで気がかりなのは、今後それらの資産が復調するか? という点だろう。

ポンド・ユーロ資産が上昇するには、欧州経済の状況が上向く必要がある。そこで当座の展望だが、端的に言うと「見通しは明るくない。しかし、最悪期は脱した」となる。

まず、見通しが明るくない理由だが、EUの中にはいまだ財政危機に直面する国が複数ある。一つの国が危機に瀕しても、EU全体への悪影響が広がるとは考えづらいが、市場は不安に陥るだろう。

新たな火種となりそうな懸念事項もある。今最も注目されているトピックは、欧州最大の民間銀行であるドイツ銀行の破綻懸念だ。

ドイツ銀行は、米国でのモーゲージ担保証券の販売に絡み、米国の司法省から140億ドル(約1兆4700億円)の支払いを求められた。これでも同行の破綻は想定しがたく、支払額も大幅減額の方向だが、破綻の噂が市場を揺らす恐れは残る。

細かく挙げるとまだまだあるが、これらが「見通しが明るくない」とする主な要因だ。

なお、肝心の英国のEU離脱問題はどう影響するかといえば、英国側にとってもEU側にとっても、経済的打撃は限定的になると想定される。というのも、英国はEU各国からさまざまなモノを大量に輸入している。EUを代表する大国のドイツ、フランス、オランダにとっても、英国は大のお得意様だ。この先、英国とEUは離脱条件を固めていくことになるが、EU側がその条件を厳しくしすぎた結果、英国の経済状況が悪化すると、共倒れは免れられない。よって、離脱条件はそれほど厳しいものになるとは考えにくく、英国とEUの距離感は、今後も“つかず離れず”のままで継続されていくだろう。

現状ポンドが過敏な動きをしているのは明らかに騒ぎすぎだ。来年以降離脱が現実のものとなったときは、すでに織り込み済みで、マーケットが反応しない可能性も高い。

だが、そもそも英国のEU離脱問題勃発前から、ポンド・ユーロはマーケットの過敏な反応で売り込まれてきた。

これまでは、危機的状況になるたびに欧州中央銀行(ECB)が介入しており、「何かあってもECBが何とかしてくれる」という落としどころが見えているのが現状だ。

そのため、この先もポンド・ユーロ資産がかつてない水準まで値下がりする事態は考えづらく、この先むしろ回復することも見込まれる。ただ、回復するにしても、そのスピードは確実にスローペースになる。塩漬けのポンド・ユーロ資産はそのまま持っていてもいいが、効率的な資産運用を目指すのであれば、損切りして別の投資対象に資金を回すのが賢明だ。

(ブーケ・ド・フルーレット代表 馬渕治好 構成=元山夏香)