たいまつを持ってデモに参加する市民の様子(写真はJTBCニュースルームFBページより)

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 先週末、韓国では朴槿恵大統領の下野(退陣)を求める第6次国民集会が開かれ、ソウル市だけで170万人、全国併せて230万人がデモに参加したと報じられた。デモは13歳の少年が朴槿恵下野を叫ぶ演説をして聴衆の称賛を浴びたり、100歳を超える老人が参加したりと拡大の一途を辿っている。

 一方、韓国政界では、大統領の「自身の退陣は国会の決定に従う」という発言以降、大統領弾劾決議は延期され、与党・セヌリ党は「4月退陣」で調整をはじめた。大統領弾劾で息巻いていた野党も、与党非主流派「非朴系」の議員らの造反が曖昧な状況となり、一旦は弾劾は難しいという雰囲気が醸成されたが、ここにきて「非朴系」議員ら29人が弾劾決議に賛成の意を表明(与党28人の造反で弾劾訴追案が可決する見込み)し、一気に息を吹き返した状況だ。

 大統領の弾劾決議は、12月9日に発せられる予定。残された時間は100時間余りだ。今週には朴大統領と「非朴系」議員らとの面会が噂されており、大統領スキャンダルを巡る混乱の行く末は予断を許さない状況にある。

 そんな中、先月の17日に与党セヌリ党・金鎮台(キム・ジンテ)議員の発言が波紋を呼んだ。

 大統領下野を叫ぶ「100万人デモ」を見て、「ロウソクの火は風が吹けば消える」と発言したのだ。この発言に韓国国民は激怒。奇しくも彼の発言が、デモの参加人数が大きく増加させる要因となった。

 特に、金議員の地元である江原道・春川では、「ロウソクの火が消えるのなら、この火ならどうだ」と言わんばかりに、たいまつを持ってデモに参加。約7000人の市民らが、金議員の事務所前で、大統領だけではなく、金議員自身の即刻退陣を要求し怒りをぶつけた。

 しかし金議員は、自身のフェイスブックページで「朴大統領の下野に反対する市民の集会」について言及し、彼らを「愛国市民」と呼ぶとともに、彼らのような人がいるから、韓国にも希望があると書いた。

◆朴大統領を揶揄した替え歌も流行

 韓国には、「韓国を輝かせた100人の偉人」という歌がある。

 古代から近現代に至るまで、韓国の歴史に出てくる偉人たちを紹介した歌で、小学校の朝礼時間などで歌われ、子ども達の歴史学習に一役を買っている。50歳くらいまでの韓国人であれば、誰もが知っている国民的ソングだ。

 最近、この「韓国を輝かせた100人の偉人」をパロディー化した替え歌が、国民の中ではやっている。タイトルは「槿恵(クネ)を輝かせた100人の危人」。

「偉人」と「危人」、どちらも韓国語では「ウィイン」と発音する。この歌には、崔順実はもちろん、彼女の父親の崔太敏や、夫や娘、姪っ子のチャン・シホなどの崔一族のほか、「青瓦台の門番三人衆」や大統領の専属医師、看護将校、国会議員の面々など、無数の人たちが登場する。これほどまでの人たちが、大統領特権に関わっていたのかと、唖然とするレベルである。

 前代未聞の「崔順実ゲート事件」。間違いなく、山場は今週末である。「4月退陣論」で次期大統領選挙までの時間を稼ぎたい与党と、大統領退陣を1日でも早めたい野党。弾劾決議に賛意を示すかまだまだ不透明な与党非主流派議員と、弾劾決議だけは阻止したい大統領。政界が泥沼の様相を見せる中、国民たちの怒りのデモは、強大化の一途を辿っている。

<文・安達 夕>