進むアマゾンの「独占企業化」、米経済への脅威となるか

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小売業界にとどまらず、米国の経済にインターネット通販大手アマゾン・ドット・コムが及ぼす影響力が大きくなり続けている。

玄関先まで荷物を届けてくれることや魅力的なインターフェース、シームレスなサービスはアマゾンを常に、高評価企業のランキングの上位に位置付けてきた。一方でアマゾンはひそかに、私たちの日々の活動や取引において割合を増しているものの中心に自らを置き、同時に米国の経済全体にもその”触手”を延ばしてきた──地域の自立を目指す活動を行う米国の非営利団体、インスティテュート・フォー・ローカル・セルフ・リライアンス(Institute for Local Self-Reliance、ISLR)は11月に発表した報告書で、このように指摘している。

ISLRはまた、次のようにも述べている。

「現在、米国の世帯のおよそ半数がアマゾンプライムに加入している。また、インターネットショッピングの商品検索の半数は、まずアマゾンのサイトから始められている。米国人がオンラインで支払う2ドルのうち1ドル余りが、アマゾンへの支払いだ。書籍、玩具の販売数はネットでも実店舗でもアマゾンが最多で、来年までには衣料品、家庭用電化製品も同様に、アマゾンが最も多くを売るようになるとみられる。さらにアマゾンは、食料品販売事業にも多額の投資を行っている」

小売業者としてのアマゾンの市場支配力は、ウォルマートに匹敵するか、あるいはすでに上回っている。アマゾンは今後も、ひたすら成長を続けていくだろう。向こう5年以内には、米国の3兆6,000億ドル(約410兆円)規模の小売市場の5分の 1は、インターネットを通じた取引が占めるようになるとみられる。そして、アマゾンはその市場で3分の2のシェアを獲得すると予想されているのだ。

アマゾンだけで十分?

アマゾンは、値引きなどの特典を用意したプライム会員の加入者を増やすことを戦略として掲げてきた。アマゾンのエコシステムに加わる消費者が増えれば増えるほど、その人たちができることはほぼ何でも、アマゾンを通じて行うようになる可能性が高まる。

多くの人たちがすでに、買い物をする時にはグーグルではなく、アマゾンで商品に関する情報を収集したり、レビューを確認したりするようになっている。最初からアマゾンを利用することが習慣化している人は、他社がより安価でその商品を提供していたとしても、価格を比較せずにアマゾンで購入するようになっている。アマゾンプライムの利便性や知覚価値のためだ。

これは、アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)のたぐいまれな能力に基づく行動のおかげだ。だが、こうした消費者の行動がアマゾンにどれだけの力を与えているかを考えれば、恐ろしいことでもある。

店舗と税収が消える?

ILSRは、アマゾンの高まる支配力は米経済に対する脅威だと主張する。小売業界の独占企業となることで、(実店舗の閉鎖に伴う)固定資産税の税収減につながるというのだ。また、アマゾンが商品を保管する物流センターの倉庫での低賃金での採用が増加している。そのほか、小規模企業の減少は地域社会の活気を奪う。

もちろん、アマゾンはブランドやその他の企業がオンラインで商品を販売できるマーケットプレイス型のプラットフォームや、小規模の小売業者がアマゾンのフルフィルメントサービスを利用できるようにする「アマゾン・フルフィルメント・ウェブ・サービス(Amazon FWS)」など、機会を創出してもいる。これは、白か黒かで判断できる問題ではない。だが、アマゾンが米経済のいくつかの側面において、その強みを増大させ続けていることは確かだ。