新体制で迎えた初の欧州遠征で、強豪ウェールズをあと一歩のところまで追い詰めた(写真/アフロ)

写真拡大

昨年、W杯の大舞台で“史上最大の番狂わせ”を起こしたラグビー日本代表。それから1年以上経った今、世間のラグビー熱はすっかり冷めてしまったけど、桜のジャージをまとった選手たちは変わらずに奮闘を続けている。

先日のウェールズ遠征では、7万人収容の敵地で強豪相手に金星寸前に迫るなど、再び世界の注目を集めているのだ!

■“究極のアウェー”も新スタイルで金星寸前!

昨年、W杯イングランド大会で南アフリカを破って世界をあっと驚かせ、空前のブームを巻き起こしたラグビー日本代表。

だが、開けて2016年、何事も熱しやすく冷めやすい国民性に加え、代表戦の年間試合数がわずかだというラグビー特有の事情もあって、あの盛り上がりはウソのようにしぼんでしまった…。

しかし、そんな今だからこそ言いたい! 新生ジャパンは頑張っているぞ、と!

まず何より、試合内容がスゴい。ジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチ(HC)が着任し、計10日足らずの練習で迎えた強豪アルゼンチン戦(11月5日)こそ完敗したものの、その後の欧州遠征(11月12〜26日)ではジョージア、ウェールズ、フィジーを相手に1勝2敗。

なかでも特筆すべきは、約7万人の観衆が詰めかけた“究極のアウェー”状態で行なわれた世界ランク6位(当時)のウェールズ戦。同11位の日本は試合終了直前まで同点で食い下がったのだ。

最終的には、残り10秒での相手ドロップゴールによって30−33と惜敗したが、世界、そして目の肥えた本場のファンから惜しみない称賛と拍手が送られたのである。『ラグビーマガジン』編集長の田村一博氏が言う。

「多少のケガ人こそいたものの、ウェールズはベストメンバーを組んでガチンコ勝負を挑んできていました。だから、かけ値なしの善戦だったと評価していいでしょう」

もちろん、それは偶然の産物ではない。

「昨年のW杯までのトレーニングの蓄積、W杯の結果から得た自信、そして実質的日本代表である『サンウルブズ』が今年、世界最高峰リーグの『スーパーラグビー』に参戦し、世界レベルのハードなコンタクトに慣れたことなどが土台となり、エディー・ジョーンズHC時代とはスタート時のポテンシャルがまったく違いますからね」(田村氏)

すでに地力を備えているというわけだ。しかもジェイミージャパンは、エディー時代とは正反対の、世界でも類を見ないユニークなスタイルを持っている。ラグビージャーナリストの村上晃一氏が解説する。

「エディー時代のラグビーは、自分たちがボールを持つ時間をできるだけ長くしようという考えの下、主に手でのパスをつないで大事に粘り強くボールを動かし、最後の最後に相手が疲れ、守備の人数が足りなくなったところで走り勝ってトライを決めるというもの。

でも、このスタイルだと、相手にボールが渡る確率は低いけれど、敵陣形も整っているため、自分たちの攻撃に手間と時間がかかってしまって、なかなか得点できない。去年のW杯のプール戦(グループリーグ)で3勝しながら決勝トーナメントに進めなかったのは、得点力が低く、ボーナスポイントを取れなかったことも一因でした」

そんなスタイルから、どう変わったのか?

「ジェイミージャパンはボール保持にこだわらず、どんどんキックで相手にボールを渡すのです。ですが、ただやみくもに蹴るのではなく、狙うのは相手陣の空いたスペースや、守備の手薄な場所。そうしたところにボールを落とすと、相手は不利な体勢でのキャッチや、陣形が整っていない崩れた状況での切り返しを強いられます」(村上氏)

ラグビーではそんな状態をアンストラクチャー(崩れた局面)と呼ぶが、今の日本はキックを多用してあえてアンストラクチャーの局面をつくり、ボールを奪い取って一気にトライを狙うわけだ。

「相手は混乱状態にあるけれども、自分たちはあらかじめ意図的にアンストラクチャーを狙っているので、整った攻めができる。だからジェイミーHCになってから、きれいにトライが取れるようになりました」(村上氏)

◆この続き、『週刊プレイボーイ』51号「ぐゎんばれ! “ブーム終了”の日本ラグビー!!」では、あの五郎丸でさえ選外に追いやられてしまう可能性があるほどレベルアップしたジェイミージャパンについて、さらに検証。是非お読みください!